とあるQRコードの喜劇物語(検索上位)

2011/05/02 12:00

とあるQRコード先日【シンプルなAR(拡張現実)に「ナルホド」な雑誌広告】でiPhoneを使ったお気楽拡張現実の仕組みを紹介した。その中で「動画上で表示されているQRコードはダミーであり、今件アプリはダウンロードできない」という注釈をわざわざ加えたことに、疑問を感じた人もいるだろう。今回紹介する話は、その事由を説明するものである。具体的に先の記事執筆の際にQRコードを読みこんだところ判明した、検索結果から生じた「あるQRコード」の喜劇とでもいうべきものだ。

スポンサードリンク


先に紹介した「国境なき記者団(Reporters Without Borders)」が提供する拡張現実の宣伝広告の解説動画では、iPhoneでQRコードを読み取ると、その時点で口パクアプリが作動してしまう。


↑ Reporters without borders - The voice。
↑ Reporters without borders - The voice。

しかしこの挙動はQRコードのものとしては少々おかしい。そこで実際に動画に表示されるQRコードを読みこんで試そうとしたところ、出てきた文字列は【「http://justinsomnia.org/」】。色々確認して安全性を確かめた上でアクセスしてみたが、「国境なき記者団」とも口パクアプリとも何の関係も無い、ごく普通のツール製作などを行う個人のサイトだった。

↑ Justinsomnia.org
↑ Justinsomnia.org

「どうしてこのサイトが?」ということで色々と調べたところ、同サイトの持ち主による【説明のページ(Why does that QR Code take me to justinsomnia.org?)】を見つけ、状況を把握することができた。以下にその概要をまとめてみる。

・このサイトの持ち主は「iPhoneも出たことだし、今後QRコードが重要視されるだろう」ということで、自分のサイトのURLをQRコード化し、自分のブログに投稿した。サイトやブログのガイダンス手法としてはありがちなもの。

・iPhoneの発売とほぼ同じくして、iPhone向けに提供したこともあり、Googleのイメージ検索結果で上位に上がるようになった。順位としては第二位だが、第一位のQRコードはBBCのロゴが入っているため、汎用的なQRコードのビジュアルとしてはトップに位置することになった。

↑ 「QR Code」の検索結果。Justinsomnia.orgのURLを意味するQRコードが第二位に収まっている
↑ 「QR Code」の検索結果。Justinsomnia.orgのURLを意味するQRコードが第二位に収まっている

・すると、QRコードをイメージとして使う広告やQRコードそのもののサンプルとして、Justinsomnia.orgのQRコードが使われるようになった。しかもQRコードは通常のURLと違い手を加えることが出来ない(、見た目はどのような内容が組み込まれているのかリーダー無しでは判断できない)ので、そのまま丸写しで使われてしまうのが常となった。

・サイトの本人としては想定もしていない状況だが、自分のQRコードが「浸透」していくにつれ、アクセス数も増加し、月ベースで1万-2万近くほどのアクセスがQRコード経由でやってくるようになった。「Justinsomnia Syndrome(Justinsomnia症候群)」と呼ぶ人まで現れた。

↑ カリフォルニア発のハンバーガーショップThe Counter
↑ カリフォルニア発のハンバーガーショップ【The Counter】の広告。好みで内容をオーダーできるのが特徴なのだが、そこに使われているQRコードもJustinsomnia.orgのものだった

・広告代理店から「料金を払うので特定の国からのアクセスについて、自分達が望んでいるサイトにリダイレクトしてもらえないか」「特定期間、該当するQRコードをあなたのサイトにではなく、別の(自分らが指定する)サイトに飛ばしてくれないか」などの依頼があった。

・直近では5月1日付で、【インドのブラックベリーのサイト】でも該当QRコードが使われた。インドのブラックベリーユーザーにもサイトを知られるようになった。

↑ インドでのブラックベリーのサイト。サイトオーナーいわく「インドのブラックベリーのサイトでも有名になったヨ(I’m famous! (on the homepage of BlackBerry India))」
↑ インドでのブラックベリーのサイト。サイトオーナーいわく「インドのブラックベリーのサイトでも有名になったヨ(I’m famous! (on the homepage of BlackBerry India))」

要は、早期にアップロードしたのも大きな要因だが、たまたま画像検索で非常に有利な位置に検索結果として表示されたこと、そしてQRコードが見た目では内容が分からないので手を加えられずそのまま流用されがちなことなど、複数の条件がそろったことで、「Justinsomnia.orgのURLを意味するQRコード」が「QRコードのサンプル」として浸透し、多くのサイトで使われるようになってしまったわけだ。そしてその状態は掲載開始から4年経過した今なお続いている。流用するサイトが勝手に増えていくわけだから、サイトオーナーが何もしなくとも、上位を維持する状況はさらに堅甲になっていく次第である。

ちなみに今QRコードの利用についてだが、当人いわく「悪用しなければ自由に使ってよい」とのこと。「何しろ掲載そのものが自分のサイトのリンクになるのだからね、ワハハハハ」ということだ。

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2017 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー