退職金で投資をした人4割強、リーマンショック後は3割に減る

2011/04/28 06:43

退職金フィデリティ投信株式会社は2011年3月25日、退職金の運用に関する調査報告書を発表した。それによると退職金をもらった退職者から成る調査母体においては、その退職金で投資(元本が保証されていない金融商品の購入)をした人は約1/3であることが分かった。いわゆる「リーマンショック」前よりも後の方が投資実行率は低下しており、投資性向に少なからぬ影響を与えたものと推測される。また退職金額が大きい人ほど、投資実行率が高い傾向も確認できる(【発表リリース、PDF】)。

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今調査は2011年2月1日から14日にかけてインターネット経由で行われたもので、有効回答数は8018人。対象は60-65歳男女で退職金をもらった退職者。男女比は男性7355人・女性663人。調査母体における平均受け取り退職金は1873万5000円。

【加速化する金融危機を時系列化してみる】にもあるが2008年9月のリーマン・ブラザーズの経営破たんをきっかけにしておきた「リーマンショック」では、その1年前から顕著化していたサブプライムローン問題による金融危機を加速化させ、市場は大いに荒れる(下落する)ことになった。

今調査でも「リーマンショック」による、投資からの忌避傾向が見える結果となっている。退職金をもらった年を「リーマンショックの発生した2008年まで」「リーマンショック後の2009年以降」で区分し、それぞれの区分における「退職金で投資(元本が保証されていない、価格変動リスクがある金融商品の購入)をしたか否か」について聞いた結果が次のグラフ。

↑ 退職金で投資(元本非保証型金融商品の購入)をした人の割合
↑ 退職金で投資(元本非保証型金融商品の購入)をした人の割合

リーマンショック前では、元本非保証型金融商品に退職金を振り分けた人は41.4%。ところがリーマンショック後だと10ポイント以上低下した30.1%にまで下がってしまっている。投資にさほど詳しくない、世間一般の人の生活にも少なからぬ影響を与え、記憶に残っている「リーマンショック」による「金融商品は暴落しうる」という現実が、かなり誇張された形で浸透している影響が出ている。

一方、投資の是非については、受け取った退職金の多い・少ないにも多分に影響している。退職金が5000万円以上の人は6割近くが投資をしているが、500万円未満となると16.5%でしかない。全般的に「退職金が多くなるほど投資実行率も高くなる」傾向にある。

↑ 退職金で投資(元本非保証型金融商品の購入)をした人の割合(退職金の金額別)
↑ 退職金で投資(元本非保証型金融商品の購入)をした人の割合(退職金の金額別)

退職金額が少ないと日々の生活への振り分け・切り崩しで精いっぱいだが、額が大きければ余裕が出来、その分を投資に振り分けられる。「投資は余剰資金で」「命金には手を出すな」という原則が守られている(現実には「守らざるを得ない」の方が近い)と考えられる。しかし一方で、5000万円以上の退職金を手にした人でも、投資を一切していない(預貯金は投資の対象外)人が4割以上いるのは、日本の貯金好きを改めて認識させるデータといえる。

日米家計金融資産構成比率比較(2010年4Q)
↑ 日米家計金融資産構成比率比較(2010年4Q)(【日米の家計資産推移をグラフ化してみる(2010年4Q分)】から再録)

なお、投資に振り分けた人の具体的な振り分け比率を聞いた結果は次のグラフとなるが、3割と5割がボリュームゾーンで、5割までで78.9%を占めている。

↑ 退職金のうち投資に振り分けた金額の比率(投資した人限定)
↑ 退職金のうち投資に振り分けた金額の比率(投資した人限定)

「全額」という豪快な人も約20人に1人存在することになるが、これはあくまでも「退職金のうち」という区切り。元々蓄財していた分だけで老後は十分過ごせる人や、退職金をもらった後も年金や嘱託での勤め分で生活が出来る人もいるはずで、それらの人が「退職金は余剰資金」との考え方から全力投球をしたと思われる。とはいえ、大勢は「多くて半分」で、退職金で投資をする人もそれなりに慎重な姿勢であることが確認できる。



宝くじが当たったり会社経営に成功したり巨額なボーナスをもらったり遺産を相続するといった「イベント」が起きない限り、退職金は人生の中で数少ない「まとまったお金」が手に入る機会に他ならない。

どのように使うかは個々の自由で、それぞれの事情もある。投資をする・しないも一人ひとりの判断に任されるわけだが、個人的には「投資する額の割合はともかく、投資する人自身がもう少し増えても良いかな」と思う次第。投資をすることで、金銭や経済に対して自然に敏感になり、情報取得のアンテナが鋭くなり、日々の生活に張りが出てくるからだ。

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