「東電管轄内の一般世帯で250-310万kWの節電が可能」日本エネルギー経済研究所試算

2011/04/27 12:10

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計算先日掲載した【従来型・新エネルギーの純粋コスト】で色々と資料をたどっていた際に見つけたサイトの一つに、経済産業省資源エネルギー庁所管の財団法人【日本エネルギー経済研究所】がある。同研究所でも東日本大地震以降、特に電力周りの観点からエネルギーに関連するレポートを【随時掲載している】。その中でも2011年4月11日に改訂版が呈された【夏期における家庭の節電対策と消費電力抑制効果について(PDF)】が注目に値する、良い出来栄えのものとなっている。今回はこのレポートから家庭内での節電対策と、具体的な消費電力抑制効果をピックアップしていくことにしよう。


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レポートではまずはじめに【東電、計画停電は6月3日まで「原則不実施」】【東京電力管轄内の最大電力需要の推移(追補版)】などの状況にもあるように、今夏の東京電力管轄内ではピーク時に500万kW-1000万kWの供給不足が生じ得ることを呈している。その上で、「夏期の電力需要増加時間帯は昼間から夕方」「しかし一般家庭では在宅率が低いので節電対策は限定的」としている。

↑ 時間帯別電力需要(東電)と起床在宅率(起きて家にいる割合)(レポートから抜粋)
↑ 時間帯別電力需要(東電)と起床在宅率(起きて家にいる割合)(レポートから抜粋)

しかしながら先日【待機電力の実態】で伝えた待機電力絡みの話をはじめとした、きめ細かな節電対策を施すことで、東京電力管轄内では250-310万kWの節電が可能と試算している。具体的な手法・対策として挙げているのは次の通り。

・エアコン:設定温度1度上昇。64万kWの節電(1度で約10%節電可能)
     :フィルタのこまめな掃除で22-44万kWの節電(こまめな掃除で約5%の節電可能)
・家事など:洗濯・掃除などを朝や晩などに行う。43万kWの「ピークシフト」
・テレビやビデオ機器:コンセントを抜いて待機電力削除。38万kWの節電(在宅で無くとも可能)
・冷蔵:設定温度の最適化や詰め込み防止。37万kWの節電(在宅で無くとも可能)
・照明:こまめに消す。日照を活用。15-36万kWの節電
・パソコン:電源オプションを「モニタの電源OFF」から「システムスタンバイ」に。27万kWの節電
・温水洗浄便座:不使用。15万kWの節電
・テレビ:輝度、音量を抑える。3万kWの節電

一般家庭においては上のグラフの「起床在宅率(※個人ベース)」が高い時間帯の方が、当然ながら節電対策も打ちやすい(それだけ誰かが居る=節電行動をとれる住宅の率が高くなる)。

つまり帰宅後の時間帯である18時-21時は冷房や調理などによる家庭での電力消費量が大きくなるが、同時に節電もしやすくなる。一方で昼間(10時-18時)は在宅率が低いことから、節電対策も限られたものとなる(世帯のうち誰か一人でも在宅ならば対策は可能だが、一人暮らし世帯が増えていること、共働き世帯の増加などから、「夫が仕事先、子供は学校だが、主婦は自宅で家事をしているので節電可能」というパターンは、上記グラフの「起床在宅率」をひっくり返すほどのものではないことは容易に想像できる)。

しかしながら、その「限られた効果」でも東京電力管轄内に存在する2000万世帯の多くが協力することで、規模は大きなものとなる。待機電力周りの節電が好例だ。

↑ 待機時消費電力(W)
↑ 待機時消費電力(W)(再録)

また上記一覧の「家事など」にもあるように、消費電力が大きい「電子レンジ、掃除機、IHクッキング、洗濯乾燥機、アイロン、ドライヤー、食器洗い乾燥機」などはピーク時の利用を極力さけることで、「ピークシフト」として貢献が可能となる。最優先事項は「ピーク時間帯」の電力需要を減らすことであるのを忘れてはならない。

最後にエアコンや冷蔵庫など、消費電力の大きな家電の中には、エネルギー消費効率が大いに改善されているものもある。「まだ使えるのにもったいない」という意見もあるし、初期投資費用はかかる。しかしこの際、消費電力効率の悪い機器を省エネ型のものに買い替えるのもまた、節電の一つの施策であるとまとめている。

同レポートでは今後も精査を続け、試算結果を見直す可能性についても触れている。そのような動きがあれば、また検証をすることにしよう。


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