震災の影響が大きく表れる・前年同月比でマイナス6.3%(2011年3月分大口電力動向)

2011/04/26 06:59

電気事業連合会は2011年4月25日、2011年3月分の電力需要実績の速報を発表した。それによると同年3月の電力需要(使用量)は10社販売電力量合計で722億kWhとなり、前年同月比でマイナス1.4%を記録した。産業用の大口電力需要量は前年同月比でマイナス6.3%を記録し、16か月ぶりに前年同月の実績を下回ることになった。震災の影響が多分にあったようだ(【発表リリース、PDF】)。

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今調査の概要および用語解説は過去の記事まとめページ【大口電力使用量推移(電気事業連合会発表)】で解説をしている。そちらで確認のこと。

2011年3月においては大口全体で前年同月比マイナス6.3%。「前年同月比」というしばりがあるが、それだけ工場の施設の稼働率が(昨年の同じ月と比べて)減ったことになる。

大口電力使用量産業別前年同月比(2011年2月-3月)
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比(2011年2月-3月)

今月は前月から転じて、複数項目で前年同月比でプラスを見せている。数字が良好化したのは「繊維」だけ。「非鉄金属」「機械」が共に2ケタ大のマイナスを示すなど、状況の急激な悪化が確認できる。これらはいうまでも無く東日本大地震とそれに続く余震、各種震災に伴い、東日本地域の工場が被災したのが大きな要因。さらに被災を免れても「計画停電や節電による操業ストップ、稼働率低下」「原発事故絡みで操業が出来ない」「部品不足で工場の稼働率低下」など、二次的な被災によるところも少なくない。

全体値がマイナスを見せるのは、リーマンショックの影響を受けて2008年10月にマイナス0.5%を記録してから2009年11月のマイナス6.2%に至るまで継続していた時期以降、約1年半ぶりの話。「そこから一年経過した上でのプラスは(上げ幅こそ小さいものの)力強さを覚える。特に鉄鋼は1割超えを記録しており、頼もしい限り」としていた先月のコメントにもある、景気の復調を期待できるような雰囲気が、すべて吹き飛んでしまった形となる。

先月比のグラフでは中長期の流れをつかむことは難しい。そこで記録保全の意味も含め、2007年1月以降の全産業別の前年同月比推移グラフを掲載しておく。

大口電力使用量産業別前年同月比推移
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比推移(2007年1月以降)

2011年3月の時点で大口電力使用量の観点においては、「2010年4月を天井に、同年3月までの急速回復傾向がやや失速に転じた後の、安定成長期に移行したように見え」た動きがほぼすべて失われ、大きく下落しているのが改めて確認できる。下げ幅こそ数年前のリーマンショック時のそれには及ばないが、1年前のこの時期が回復傾向にあったことを考えると、「それ(1年前)と比較して」の値が算出されるので、今しばらくはマイナス値を継続することが容易に想像できる。

今件大口電力は国内景気(内需)を推し量る物差しとして注目すべき指標の一つ。今後は被災した工場が復興するまで、物理的な消費元が減ることになるのに加え、各種部品不足に伴う工場の稼働率の低下、夏に向けた大口契約者に対する節電通達を実行するための各種自主規制による消費電力減退など、数字の低迷は否めない。

突発的な大規模停電による経済への影響を防ぐためとはいえ、電力消費を自主的に抑えねばならないのは、「電力で経済の動きをかいま見る」主旨の今件記事としては、皮肉な状況ともいえよう。

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