【更新】待機電力の実態

2011/04/26 07:03

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プラグ【今日から出来る、電気・ガス・水道の節約術を学ぶ】【経済産業省など、主要家電の省エネによる効果試算を発表】などでも触れているが、節電の工夫の一つに「いかに無駄な待機電力を減らすか」という視点がある。この待機電力は「待機時消費電力(量)」とも呼び、普段は使用していない電化製品でも、コンセントを差し込んでいるだけで(常時待機モードにあるため)消費する、通常使用時と比べれば小規模な電力のことを指す。今回はこの「待機電力」について、いくつかのまとめとグラフを生成することにした。


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参考にした資料は以前【電気使用の「アクセス解析」こと「スマートセンサー」とは?】でも紹介した[財団法人 省エネルギーセンター]で毎年発表されていた[待機時消費電力調査結果]。なぜか2008年度版までで調査結果が終了してしまい、2009年度以降のデータが存在しない。今件について省エネルギーセンターに直接問い合わせたところ、これらの調査は国の委託事業であり、2009年度・2010年度は委託が無かったので実施しなかったとの回答を得ることができた。仕方ないので実存する最新のデータである2008年度版を用いることにする。また、このデータを基にした[中部電力の「省エネのヒケツ」コーナー内の待機電力]も併用する。

まずは待機電力がどのくらいの電力量になるのか。これは一年間の消費電力量の6%に相当する。

↑ 2008年度における平均家庭消費電力量に占める待機時消費電力量の割合
↑ 2008年度における平均家庭消費電力量に占める待機時消費電力量の割合

↑ 平均家庭における待機時消費電力量推移(kWh/年)
↑ 平均家庭における待機時消費電力量推移(kWh/年)

消費電力の軽減は各家電で逐次行われており、最新の家電製品を揃えていればもう少し割合は減少しているはず。大体5%と見れば順当か。

この待機電力量の構成を主要機器別に区分したのが次のグラフ。ガス温水機器が意外に大きな待機電力量を消費しているのが分かる。

↑ 待機時消費電力量・主要機器別内訳
↑ 待機時消費電力量・主要機器別内訳

エアコンや固定電話機、温水水洗便座など、指摘されれば「確かに待機電力が大きいかもなあ」という家電製品がずらりと並んでいる。

さてそれでは、どのようにして待機電力をさらに節電していくのか。一番単純明快なのは、コンセントを抜くこと。これで電力は消費されない。しかし例えば扇風機や電子レンジ、洗濯機ならともかく、タイマーで作動させるビデオデッキや冷蔵庫などにはこの方法は使えない。その代わりとして、一部の家電製品に装備されている省エネモードを作動させるなり、主電源をオフにすることで有る程度消費電力を節約できる。

↑ 2008年度における待機時消費電力量・機器の使用法による待機時消費電力量の削減効果(kWh)
↑ 2008年度における待機時消費電力量・機器の使用法による待機時消費電力量の削減効果(kWh)

ごく普通に何も節電を考えずに消費電力を使っていた場合に比べ、最大限の配慮をすれば、待機電力を4割近く減らせる計算になる。通常の消費電力量の6%のうち4割だから、概算で2.4%。これをそのまま「ピーク時の家庭内需要電力」に当てはめるのはリスキーだが、スズメの涙以上に少なからぬ効力があることは確認できる。

最後にいくつかの具体的な例を挙げて、主電源をオンにした場合、オフにした場合の待機電力をグラフ化しておく。もちろん電子レンジなどのような「使わない時は電源プラグそのものを抜」き、実質的な消費電力をゼロにすることができるものについては、それをお勧めしたい。

↑ 待機時消費電力(W)
↑ 待機時消費電力(W)

ビデオデッキなどは面倒なのでつい主電源をオンにしっぱなしにしてしまう。しかしそのスイッチを切るだけで、相当な節電になることが分かる。また、ここに掲載されていない機器でも、基本的に主電源をオフにするだけで、それなりの節電は可能(【節電方法トップ項目「こまめに消灯」は正しい?】)。

プリンタ複合機の場合、節電のためにはプラグそのものを抜きたいところだが、FAX受信が出来なくなるため、それはかなわない話。このような事態になると、「色々な機能を一つにまとめた機材が、本当に便利なのか否か」について、再考する必要も出てくる。



なお今回使用したデータは本文で触れたように、あくまでも2008年度調査結果によるもの。3年ほど前の資源価格高騰とそれに伴う省エネ・新エネルギーへの注視への動きに伴い、家電製品の省エネ化が進んでいるため、現状ではもう少し待機電力は小さなものとなっているはずだ(今件資料でも「家庭で使用されている機器と現販売機器の待機時消費電力」を比較すると「全体的には待機時消費電力が小さくなっており」という文言が確認でき、各データにもそれが反映されている)。

しかし残念ながらそれを検証するための2009年度・2010年度のデータは存在しない。これもまた本文で触れているが2009年秋以降の政策転換により、国からの委託が行われず(予算が計上されず)、データが断絶したままになっている。節約・節電の上で必要不可欠な検証用データの蓄積を、節約と称して削るあたり、本末転倒の好例と言わざるを得ない。まったくもって残念でならない。


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