従来型・新エネルギーの純粋コストをグラフ化してみる

2011/04/24 19:30

エネルギー【東電、今夏の電力需給予想を更新発表・ピーク時で5500万kWの需要に対し供給は5200万kW】【東電、計画停電は6月3日まで「原則不実施」】などにもあるように先の東日本大地震とそれに伴う震災で、東日本、特に東京電力管轄内の電力事情は大幅に悪化している。それと共に今後どのようなエネルギー源で電力供給をまかなうべきかについての論議が沸騰しているのは御承知の通り。【世界のエネルギー供給量の推移をグラフ化してみる】では世界のエネルギー供給量の推移概算を見たわけだが、今回はアメリカの公的機関のデータを基に、主要なタイプ別の発電所における、コストパフォーマンスについてグラフ化を試みることにする。

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今回グラフの元記事は【原子力発電の代替エネルギーは何か「空想エネルギー論」を蔓延させないための本質的コスト論】。2011年4月15日に掲載されたもので、概要をまとめると、

・安くて効率の良いエネルギー源が開発されたから近代化が成し遂げられた

・エネルギー源の利用価値判断基準は価格、コストが最重要。そしてさらに
 1)汎用性 2)量的柔軟性 3)貯蔵性と運搬性 4)ユビキタス性
5)エネルギー密度 6)出力密度 7)出力安定性 8)環境負荷
9)エネルギー供給安全保障
 の9点が重要。特に電気は貯蔵が出来ないことに留意

・コスト(市場価格では無く生産コスト)で考えた場合、エネルギー版ROI(投資利益率)ことEROEI(Energy Return On Energy Invested)の高低が大切。要は「安上がりで済むか否か」ということ。

そして「安上がりで済むか否か」を考える際に使われたのが、これから紹介する【米国エネルギー省エネルギー情報局(DOE/EIA)】が毎年改定算出している、アメリカにおける新規の発電所の電源別推定コスト比較になる。

元記事では2008年分のデータが用いられているが、現時点では2009年分のもの、つまりより新しいデータを反映したものが該当ページ【Levelized Cost of New Generation Resources in the Annual Energy Outlook 2011】で確認できるため、そのデータを用いることにした。

データ表には2016年に運用開始すると仮定した際の各種電源別発電所の稼働率(設備利用率)が掲載されている。そして100万Wh発電毎に必要な「初期建設費用」固定運営維持管理費」「燃料費も含めた運営維持管理費」「送電機材の投資費用」そしてそれらを合わせた「総経費」が米ドルで記されている。今回は各電源種類でのコストパフォーマンスの比較が必要なので、「総経費」をグラフ化する。

↑ アメリカエネルギー省エネルギー情報局(DOE/EIA)作成による、アメリカでの新規発電所(2016年運用開始)の電源種類別コスト比較(100万Whあたりのコスト・米ドル)(Levelized Cost of New Generation Resources in the Annual Energy Outlook 2011から生成)
↑ アメリカエネルギー省エネルギー情報局(DOE/EIA)作成による、アメリカでの新規発電所(2016年運用開始)の電源種類別コスト比較(100万Whあたりのコスト・米ドル)(Levelized Cost of New Generation Resources in the Annual Energy Outlook 2011から生成)

グラフ中の「CSS」について補足すると、これは「Carbon dioxide Capture and Storage:二酸化炭素の回収・貯留」を意味する。要は排出される二酸化炭素を地面などに閉じ込めるシステム込みのもの、言い換えれば「環境負荷を減らしたタイプ」ということ。グラフを見れば分かるように、地球には優しいが、その分コストには厳しくなる。

単純にコストで比較した場合、天然ガスや水力発電などの従来型の電源が比較的コスト安、風力発電はともかく洋上型風力発電、そして意外にも太陽光発電・太陽熱発電のコスト高が確認できる。

このコスト計算の上では、いくつかの追加説明をしておく必要がある。先に述べたように電気は保存できないから、稼働率の高低がそのままランニングコストに響いてくる。今件計算で用いられている稼働率は次の通りで、太陽発電周りのものが非常に低くなっている。これが太陽光発電・太陽熱発電のコスト高の要因。理由は当然、現状の技術では太陽が照らされた昼間でないと、稼働が出来ないため。

↑ アメリカエネルギー省エネルギー情報局(DOE/EIA)作成アメリカでの新規発電所(2016年運用開始)の電源種類別コスト比較における稼働率設定値(Levelized Cost of New Generation Resources in the Annual Energy Outlook 2011から生成)
↑ アメリカエネルギー省エネルギー情報局(DOE/EIA)作成アメリカでの新規発電所(2016年運用開始)の電源種類別コスト比較における稼働率設定値(Levelized Cost of New Generation Resources in the Annual Energy Outlook 2011から生成)

もちろんこれらの値は上記で挙げた9項目、すなわち「1)汎用性 2)量的柔軟性 3)貯蔵性と運搬性 4)ユビキタス性 5)エネルギー密度 6)出力密度 7)出力安定性 8)環境負荷 9)エネルギー供給安全保障」は数字にはほとんど反映されていない(一部は自動的に収まっている。例えばCSS対応のものは環境負荷の点ではプラスとなる)。だから単純に、「数字の低い方から大量に作っていけばいいのでは」とする考えは明確な間違いとなる。あくまでも総合的な判断をする際の、材料の一つに過ぎないと考えてほしい。

なお一つ目のグラフに上げた「100万Whあたりのコスト」はあくまでも平均値であり、元資料には「想定され得る上下コスト」も併記されていることを記しておく。

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