情景が「言葉通り」見えてきそうな広告

2011/04/25 19:30

警官隊映画やテレビなどの映像メディアで本物の音をそのまま使うのが難しい場合、それに類した音を合成・創造して用いる場合がある。【「触ってごらん、音が出るよ」なポスター】で紹介した、薄いアルミをヒラヒラさせて雷のような音を出すのが良い例。そのような「分かりやすい効果音」を創る、ブラジルのサウンドプロダクションJamuteが世に送り出したのは、自分達の仕事を多くの人に、瞬時に分かってもらえる、しかもシンプル極まりない広告である(【ADS of the world】)。

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↑ スーパーマーケットに立てこもった爆弾犯を「名詞」で再現
↑ スーパーマーケットに立てこもった爆弾犯を「名詞」で再現

これはスーパーマーケットに立てこもった爆弾犯などを「名詞」のみで再現したもの。すべて英語なので辞書なり翻訳サイトで調べれば大体状況はつかめるはずだが、画面下側には周囲を包囲した警官隊と救急車、さらに通行人、真ん中には歩道が走り、左右には建物の壁が見えている。

犯人のやや前方側そして中央部には爆弾犯人と、そこから放射線状に伸びた、爆発を意味する「EXPLOSION」、「SHRAPNEL」(破片)、よじ曲がる建物たち、そして何人かの人や、人であった構成物などが散乱している。歩道の下側には爆発に巻き込まれて炎上した自動車も複数確認できる。

つまりこのポスターでは、スーパーマーケットに立てこもった爆弾犯とそれを取り巻く警官隊、そのような状況下で犯人が最悪の判断を下した瞬間を「名詞」だけで再現しているわけだ。そして右上にある企業ロゴの下には「あなたは想像して下さい。我々が『何が起きているのか』を(音で)創生しますから」という言葉が躍る。「音」で情景を創り上げることを生業としている、サウンドプロダクションの自信のほどがうかがえる。

この手法は【文字に「魂」を吹き込む技術「キネティック タイポグラフィ」(Kinetic Typography)】で紹介した技術「タイポグラフィ」の活用ともいえる。画面上に並んでいるのは文字列だけなのだが、巧みな配置で情景が手に取るように浮かんでくる次第。

Jamuteでは他にも同じような手法によるポスターを展開している。

↑ あらぶる恐竜とそれを取り巻く原始人
↑ あらぶる恐竜とそれを取り巻く原始人

↑ 戦艦から放たれるミサイルと撃墜される航空機、降下するパラシュート部隊や戦車、燃え盛る都市といった現代戦の戦闘シーン
↑ 戦艦から放たれるミサイルと撃墜される航空機、降下するパラシュート部隊や戦車、燃え盛る都市といった現代戦の戦闘シーン

一枚目は巨大恐竜に群がる原始人たち(※厳密には原始人と大型恐竜は同じ時期には存在し得ないので、SF映画的なもの)、二枚目は戦車や爆撃機、戦艦などが乱舞する近代戦が描かれている。やはり構成要素は文字だけで、名詞だけで躍動するような臨場感が見事に描写されているのが分かる。そしてその際、頭に思い浮かんだ情景内で再生されている数々の効果音やセリフなどを、彼らJamuteは創り上げるというわけだ。

似たような表現方法として以前【擬音をそのまま形にしてみたら……】【美味しさの歓喜がそのまま伝わってきそうなハンバーガーの広告】を紹介したが、これらの場合は「擬音」をそのまま実体化している。今回の事例ではその擬音を創る会社の仕事自慢がテーマなので、それ以外の部分を文字列で表現している。

日本語で同じような手法を試したらどうなるだろうか。アルファベットと違い漢字を使うと面積あたりの密度に差異が生じるので、違和感を覚えるかもしれない。しかし上手く使いこなせば、同じような効果が期待できよう。

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