【更新】「横断歩道を渡りましょう」を別の視点から実践させる方法

2011/04/17 12:00

道路横断【年齢層別の交通事故死者数をグラフ化してみる(2010年分データ反映版)】などでも触れているが、歩道橋や横断歩道が無い場所における道路の無理な横断で、少なからぬ人が交通事故に遭遇している。これは何も日本に限った話ではなく、世界どこでも行政当局にとって頭を抱えるような問題。ブラジル南部にある都市Curitiba(クリチバ)では、この道路横断問題を解決するため、ある手法を試みることになった。

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↑ Curitiba City Hall: Crosswalk Art。
↑ Curitiba City Hall: Crosswalk Art。

他の都市に違わずクリチバでも「道路横断の際には横断歩道を使う」というシンプルなルールを守らない人が多発し、問題視されていた。一方で、芸術作品、アートには誰もが目を見張り、足を留め、注目する。

↑ 横断歩道は無視しても、アートの類には誰もが目を留める。そういえばその通り。
↑ 横断歩道は無視しても、アートの類には誰もが目を留める。そういえばその通り。

そこで「アートを使って道路の横断をもっと安全なものに出来ないか」、つまり芸術作品の力で人々に横断歩道を使ってもらえないかという発想が見出された。結論。横断歩道をアートにしてしまえばよい。かくして各所の横断歩道はキャンパスと化し、さまざまなデザインが施されていく。


↑ さまざまなアーティストらによって横断歩道は彩られていく
↑ さまざまなアーティストらによって横断歩道は彩られていく。

そして次のようなメッセージも横断歩道には添えられる。「(芸術作品によって)ちょっと気になったでしょ? 横断歩道を使いましょうね」。さらにはURLも。

表記されているURL([http://www.artenafaixa.com.br/])へアクセスすると、横断歩道に描かれたアートの一覧と、その描き手のプロフィール、そして作品を手掛けている情景が映し出される。GoogleMapとも連動しており、その横断歩道がどこにあるのかもひと目で分かる。さらにはツイッターなどへの投稿連動機能も用意され、ソーシャルメディアとの連動性もばっちり。

↑ 専用のサイト、Arte na faixaへアクセス。横断歩道はまるで短冊のようなキャンパス。ずらりと並ぶ作品群。クリックすると詳細が表示される。
↑ 専用のサイト、Arte na faixaへアクセス。横断歩道はまるで短冊のようなキャンパス。ずらりと並ぶ作品群。クリックすると詳細が表示される。

このような仕組みを設けることで、「横断歩道を渡りましょう」の類の交通安全の啓蒙をすることなく、人々は横断歩道を積極的に渡り始めるようになる。主目的が「横断歩道上のアートをチェックするため」であっても、横断歩道を渡ることには違いない。横断歩道への意識・注目が高まり、そして次第にアート云々を気にせずとも、足は自然に横断歩道に向かうことになる。

↑ 横断歩道を使うことがごく当たり前の習慣として身に付くように。
↑ 横断歩道を使うことがごく当たり前の習慣として身に付くように。

この「横断歩道アート」に用いられた経費は、インキやテープなど合わせて2618ドル(米ドル)。多くの人の目に触れられ、ウェブサイトなどにも掲載されるため、参加したアーティストらにとっては良い自己表現の場となった。そして12万2915ドル分もの広告費に換算されるほどの多くのメディアに取り上げられ、大きな公知効果を生み出した。

さらに歩行者による交通事故(無理な横断での事故を意味するのだろう)は、前年の同じ時期比で21.8%も減少。その上このキャンペーンを実施した2010年は、過去5年間において自動車による歩行者接触事故件数が最低数を記録することになった。

【思わず見つめたくなる横断歩道たち】などにもあるが、横断歩道にアートの要素を取り入れて自己表現やキャンペーンのアピールに用いる手法はさほど珍しくない。しかしその注目のされ方に目をつけ、横断歩道そのものを積極的に使ってもらおうという試みはあまり聞いたことが無い。さらにインターネット上にアーティストらのデータを盛り込んで連動性を持たせるあたりは、ソーシャルメディア時代ならではの仕組みともいえよう。

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