成長率マイナスへ、モバイルの減少が顕著…「着うた」などの有料音楽配信売上動向(2011年発表)

2011/04/11 07:24

日本レコード協会は2011年4月5日、「日本のレコード産業2011」を発表した(【発表リリース】)。同協会調査による2010年のレコード・音楽産業の概要を網羅した資料であり、音楽業界の動向を多方面から検証可能な、現時点では最新の資料といえる。今回はこの資料のデータの中から、「着うた」「着メロ」に代表される、有料音楽配信の売上実績をグラフ化してみることにした。

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【不景気にはデジタル化も勝てず…音楽CDなどの売れ行きと有料音楽配信の売上をグラフ化してみる(2010年版)】にもあるように、2010年は不景気には勝てなかったものの、CDなどの物理的楽曲提供媒体の売上減比率と比べれば、インターネット経由の音楽配信や携帯電話向けの「着うた」「着メロ」などの有料音楽配信は、売上の減少率においては小さめで留まっている。ではそれらの「デジタルな楽曲売上」はどのような推移を見せているのか。そのデータをグラフ化したのが次の図。

↑ 有料音楽配信売上実績推移(メディア別)(億円)
↑ 有料音楽配信売上実績推移(メディア別)(億円)

「1Q」「2Q」の「Q」とは四半期を意味し、例えば「1Q」ならば第1四半期、つまり1月から3月を表す。このデータから分かることを箇条書きにすると次のようになる。

・有料音楽配信市場ではモバイルが圧倒的多数を占めている。
・成長率は鈍化。2010年では明らかに減退傾向に転じた。
・2010年はモバイル減少、インターネットが横ばい。モバイルの減少分がそのまま全体的な売り上げ減につながる。

「インターネット」部門を良く見ると、2005年の第2四半期から急速な伸びを見せているのが分かる。これは2005年8月にアップル社のインターネット音楽配信サービス「iTunes」がスタートし、多くの人が利用し始めたことを起因とする。モバイル部門と比べると絶対額は少ないものの、その上昇振りは見逃せない。また、2007年第3四半期以降再び上昇機運を見せ、2010年は一度減少したものの、再び増加に転じているのには要注目。



別記事で詳しく分析しているが、同じパソコン・モバイルそれぞれの有料音楽配信の中でも、急速にシェアを拡大する部門と、そうでない部門が現れている。「有料音楽配信市場は成長を続けている」とはいうものの、その内部でも成長株と成熟株に分化がおきつつある。例えばモバイルの場合、「Ringback tunes……呼び出し音」はあまり変化が無いが、「着うた」は大きな減少ぶりを見せ始めている。

↑ 有料音楽配信売上実績コンテンツ別推移(モバイル、数量は万回、金額は億円)
↑ 有料音楽配信売上実績コンテンツ別推移(モバイル、数量は万回、金額は億円)(再録)

このような内部事情があり、しかも音楽業界全体の売上からすればまだまだ小さな割合でしかないが(1/4近く)、携帯電話・インターネットの普及を足がかりに有料音楽配信の市場は、音楽業界全体におけるシェアを確実に広げつつある。

モバイル部門での成長率鈍化が気になるところだか、不景気に加えて市場の飽和状態、さらにはスマートフォン・携帯デジタル音楽プレイヤーへの移行組が増えてくることを考えれば、来年以降も横ばいか漸減傾向を継続する可能性は高い。今後はアナログからデジタルだけでなく、モバイルからマルチメディア、つまり「パソコン、スマートフォン、デジタル携帯オーディオプレイヤー間でデータを共有できる、インターネット上の音楽配信」への動きが少しずつ、しかし確実に強い流れのものとなるだろう。

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