「着うたフル」ですら減少を始める…「着メロ」「着うた」などの有料音楽配信販売数と売上動向(2011年発表)

2011/04/10 12:00

日本レコード協会は2011年4月5日、「日本のレコード産業2011」を発表した(【発表リリース】)。同協会調査による2010年のレコード・音楽産業の概要を網羅した資料で、音楽業界の動向を多方面から検証することができる、現時点では最新かつ綿密な資料である。今回はこの資料のデータの中から、「着うた」「着メロ」などをはじめとする、有料音楽配信の売上件数と売上額をやや細密に区分した状態でグラフ化してみることにした。

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【不景気にはデジタル化も勝てず…音楽CDなどの売れ行きと有料音楽配信の売上をグラフ化してみる(2010年版)】で示したように、悪環境の中でも奮闘し、全体の不調を支え切るまでには至らないものの、音楽業界の中でもその重きを増している有料音楽配信。その大部分は「現時点では」携帯電話に代表されるモバイルが担っている。それではインターネットとモバイルそれぞれにおいて、売上件数と総売上はどのように推移しているのか。まずはインターネット部門の結果をグラフ化したのが次の図。

↑ 有料音楽配信売上実績コンテンツ別推移(インターネット、数量は万回、金額は億円)
↑ 有料音楽配信売上実績コンテンツ別推移(インターネット、数量は万回、金額は億円)

グラフを見ると、2005年第2四半期まではほぼ横ばいだった売上件数・額が同年第3四半期から突然動機付き、何度かの踊り場を挟んで大きく躍進を見せている状況が確認できる。これは2005年8月にアップル社のインターネット音楽配信サービス「iTunes」がスタートし、多くの人が利用し始めたことを起因とする。巨大なコンテンツの供給場登場で、市場が一気に花開いた形だ。2010年においては、第2四半期にやや落ち込みを見せてはいるが、以降再び上昇を開始している。音楽業界全体の売上が大きく落ち込む中、iPodをはじめとする携帯デジタル音楽プレイヤーの浸透が進んでいることによる、セールスの確かな進捗ぶりが確認できる。

一方モバイルはインターネット以上の興味深い展開を見せている。

↑ 有料音楽配信売上実績コンテンツ別推移(モバイル、数量は万回、金額は億円)
↑ 有料音楽配信売上実績コンテンツ別推移(モバイル、数量は万回、金額は億円)

まずは聞きなれない用語の説明について。

・Ringtunes……着うた
・Ringback tunes……呼び出し音(メロディーコールなど)
・シングルトラック……着うたフル

これを元に、図から見える「モバイルの」傾向などを箇条書きにすると次のようになる。

・売上高は2008年、件数は2007年をピークに横ばい。件数はわずかに漸減傾向を見せていたが、2010年は両者とも顕著に減少している。
・「着うた」は販売件数が漸減しているが、その減少分を「着うたフル」と呼び出し音などが補っていた。
・しかし2010年においては「呼び出し音」はほとんど変わらないものの、元々停滞傾向にあった「シングルトラック(着うたフル)」も落ち込み始めている。

今年はまだ分析に取りかかっていないが、2月に発表された【2010年度音楽メディアユーザー実態調査(PDF)】に目を通すと、全般的に出費を抑える傾向が強まる中、普段使っているオーディオ機器として「iPodやiPhone」の利用率が微増、iPod以外のデジタル携帯オーディオプレイヤーも下げ幅を最小限に留めているのが分かる。デジタル系の音楽を楽しむ媒体の主流が、少しずつだが携帯電話からデジタル携帯オーディオプレイヤーに移る動きを見せているようでもある。



躍進を続けていたモバイル向け有料音楽配信サービスの中も、不景気と市場の飽和状態を受けてか、頭打ちから漸減傾向を見せ始めている。一方で金額的な市場規模はまだモバイルの数分の一でしかないが、パソコンを経由したデジタル携帯オーディオプレイヤーは確実に前向きな歩みを見せる。デジタル音楽市場における「全部聴けるのならサービスを利用し、CDは買わなくていいネ」という状況は去年から変わるところは無いものの、その主役の座が変わりつつある雰囲気は感じられる。

携帯電話利用者数は頭打ち。
着メロ・着うた(フル)の利用は漸減し、
安価でパソコンと連動性の高い
スマートフォンや
デジタル携帯オーディオプレイヤーが
少しずつ、そして確実に
有料音楽市場に浸透しつつある。
少子化や携帯電話の買い替え需要の安定化により、利用者数そのものの伸びが期待できない今、利用件数を2005年や2006年の時期のようにモバイル端末の利用者(=市場)を伸ばすのは難しい。そして今後携帯電話のハードにおける販売展開においてもスマートフォンに注目が集まる以上、「携帯電話内で完結する着メロ・着うた(フル)」よりも、「パソコン、スマートフォン、デジタル携帯オーディオプレイヤー間でデータを共有できる、インターネット上の音楽配信」が注目を集め、利用頻度が高まっていくのは当然至極の流れといえる。

【収録曲1100万曲・DRMフリー…アマゾンで「Amazon MP3 ダウンロード」がオープン】で紹介したように、大手通販サイトでも積極的に音楽データを販売する動きが見えてきた今、CDやDVDのような物理媒体以上に注目を集める有料音楽配信の中でも、新しい動きが生じていると見て間違いあるまい。

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