【更新】フランス政府、世界最大の輸送機An-225で震災支援物資・原発対策用技術支援を実施

2011/03/24 12:00

An-225在日フランス大使館は2011年3月22日、同年3月11日に日本で発生した東日本大地震(東北地方太平洋沖地震)による被害に対し、すでに同国各方面から行われている支援に加え、追加支援としてロシアの超大型輸送機アントノフAn-225(非量産機としては世界最大)に大規模な支援物資、原発事故対策に有益な支援物資・機材・人員を乗せ、空輸すると発表した。総重量150トン、総量1100立方メートル。同機は成田国際空港に向けて、3月22日にフランスのシャトールー空港を出発している。その後はすでに派遣されているフランス市民安全部隊の2隊が支援物資の分配を行い、ユーロコプター提供のヘリコプター2機で分配作業を支援する(【発表リリース】【ベース記事:世界唯一・最重量・数百トンの運搬可能なAn-225ムリーヤ、日本に支援物資空輸のために来訪】)。

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↑ 昨年日本に初来日した際に撮影された動画(今件による来日のものでは無い)。
↑ 昨年日本に初来日した際に撮影された動画(今件による来日のものでは無い)。【直接リンクはこちら】

An-225は「ムリーヤ(Mriya、ウクライナ語で「夢(希望の方の)」の愛称を持つ超巨大輸送機。最大離陸重量600トンと現時点で世界一重い航空機として知られている、ロシアの6発輸送機。公式スペック上の最大積載量は250トンとけた外れの性能を有し、サイズも全幅88.74メートル・全長84.0メートル・全高18.1メートルと、全長だけを見てもボーイング747-8の76.4メートルを10メートル近く凌駕する大きさを誇る。同機は2機製造されたものの1機しか完成せず、現時点で「唯一無比」な存在となっている。今回はフランス政府の依頼を受け、日本に向けて支援物資や原発事故対策用機材を運ぶことになる。

3月22日時点のリリースに記載された支援物資の内容は次の通り。

●技術支援(アレヴァ(仏原子力大手)、フランス電力公社(EDF)、フランス原子力庁(CEA)で構成されるINTRA(原子力事故ロボット工学的介入経済利益団体)が提供)
・放射線防護および放射線量計測装備30トン
・大気モニタリング用トレーラー1台および環境放射線測定用トラック3台
・排水ポンプ10台、可動空気圧縮機5台、自家発電機5台

●人道支援(フランス外務・ヨーロッパ問題省の危機対策センターが提供)
・毛布 7000枚
・ミネラルウォーター 10万本
・酸素マスク 100万台
・缶詰の果物 5トン
・乾燥スープ 5万食
・アルコール消毒液 10万ボトル
・医薬品、医療関連品 5トン

(総計150トン、1100立方メートル)

このうち、原発関連で提供される技術支援については、先行する形で3月18日付けで、フランス電力公社から発表されたリリース(【Le GIE Intra envoie des robots et du mate'riel spe'cialise' pour assister le Japon】)を翻訳する形で、大使館側から概要が公表されている(【3月18日付リリース】)。

それによると、GIE Intra(原子力事故ロボット工学的介入経済利益団体)が所有する130トンもの高度特殊機器群が送られる。同団体はフランス電力公社が主要株主で、他にフランス原子力庁、アレバが出資しており、重大な原子力事故発生時に、人間に代わって施設周辺および内部で作業できるロボットの考案、開発、提供を業務とするもので、シノン原子力発電センター近くに本拠を置いている。この支援機器には、採取機器や遠隔操作型ロボットをはじめ、放射線量が高すぎて近づけない場所で緊急作業ができる機器が含まれている。

フランスはチェルノブイリ原発事故の経験を生かし、極限状況で使用する特殊機器を考案、製作、これらの機器のオペレーターを養成する唯一の国。GIE Intraの機器の活躍が期待できる。

リリースによれば遠隔操作型機器は次のようなことができるとされている。

・放射線量が高くて近づけない場所での移動
・屋内外での作業
・現場での土木工事(パワーショベル、ブルドーザー)、複雑かつ技術的な作業(採取、破片の回収、標識など)
・放射能測定の実施
・画像の撮影および伝送

↑ 遠隔操作型機器
↑ 遠隔操作型機器

また今回の支援機材の運用のため、6人の技術者が別ルートで派遣される。さらにフランス電力公社は3月14日から始まる週において、原子炉冷却用のホウ酸100トンを送ったとも伝えている。

【各国のエネルギー政策が見えてくる・世界主要国のエネルギー源をグラフ化してみる】【今使ってるその電気、何から作られてるの? …主要国の電源別発電電力量の構成をグラフ化してみる】にもあるように、フランスは発電量の大半を原子力に頼っており(独立独歩的な政策により、他国に関与されにくい原発を促進しているのが主要因)、それゆえに実践的なノウハウにも長けている。さらにリリース中でも言及されているが、旧ソ連のチェルノブイリ原発の事故への対応による経験も豊富。今回の支援の中では純粋な物資同様に頼もしい存在といえる。

同機の到着は予定通り事が進めば3月25日+1-2日。事前の万全な準備と、到着後における各方面の迅速な対応を願いたいところだ。


※3月24日21時57分修正:
An-225をチャーターした[Air Partnerのリリース]によれば、同機は「The giant freight aircraft, the largest in the world, was chartered by the company’s France-based freight team and departed for Tokyo Narita Airport late yesterday (Tuesday March 22) from Cha^teauroux Airport south of Paris.」とあり、29日火曜日ではなく22日火曜日にパリのシャトー空港から出発とあります。フランス大使館のリリースは23日水曜に発せられたもので、その時点で「火曜日」とありますが、Air Partnerのリリースに従えばこれは29日出発ではなく22日出発を意味するとなります。そこで本記事においても「29日出発」の表記を「22日出発」と訂正しました。訂正とお詫び申し上げます。成田到着は早ければ明日25日朝になるとの話も【専門筋(月刊エアライン編集部)】から入っていることを付け加えておきます。

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