年齢別の平均賃金の移り変わりをグラフ化してみる(2010年版)

2011/03/26 12:00

先に【フルタイムの平均賃金は29万6200円・前年比でプラス0.6%(2010年版)】で厚生労働省発表の資料を元に2010年におけるフルタイム労働者(常用労働者。正規・非正規を問わず)の所定内賃金(所定内給与額)について触れた。その資料には多種多様な面から賃金の流れを知ることができるデータが盛り込まれており、非常に興味深いものがある。今回はその中から、年齢階層別の平均賃金の移り変わりについてグラフを生成してみることにした。

スポンサードリンク


今回使用したデータは、2010年における賃金構造の基本統計調査の概要【平成22年賃金構造基本統計調査(全国)結果の概況】からのもの。それと同様に過去において発表された「賃金構造基本統計調査(全国)結果の概況」のデータも(昔の部分の補完用として)用いている。

まずは2010年における男女別・性別の平均賃金。なお賃金(所定内給与額)とはあらかじめ定められている支給条件・算定方法によって支給された現金給与額から、超過労働給与額(要は残業代)やボーナスなどを除き、所得税などを控除する前の額を指す。言い換えれば基本給に家族手当などを足したもの。

↑ 2010年の年齢階層別平均賃金(千円、月)
↑ 2010年の年齢階層別平均賃金(千円、月)

男性が50代前半まで年功序列制的な動きをしているのに対し、女性は40代前半でほほ頭打ちの形を見せている。ただし女性は年齢階層別の差異はさほどなく、結果として若年・高齢層では男女の差が縮まる傾向がある。

続いて同じ区分で前年比を計算したもの。

↑ 2010年の年齢階層別平均賃金(前年比)
↑ 2010年の年齢階層別平均賃金(前年比)

2009年と比べれば動きは小さく、また女性は30歳後半以降で下げ傾向が、男性は40歳後半以降で上げ傾向が確認できる。2010年は全体として男性がプラス、女性はマイナスという値が出ているが、これが「男性は中堅層以降の平均賃金の上昇」「女性は若年層より後の層での賃金下落」を起因としていることが分かる。

続いて過去のデータを絡めた、経年の平均賃金の推移を年齢階層別に。男女のデータは存在するのだが、あまりにも煩雑なものとなるので、今回は男性に限定しておく。まずは一番気になる人が多いに違いない、20代前半について。こちらは金額と前年比の双方をグラフ化しておく。

↑ 年齢階層別平均賃金(20代前半男性、千円、月)
↑ 年齢階層別平均賃金(20代前半男性、千円、月)

↑ 年齢階層別平均賃金(20代前半男性、前年比)
↑ 年齢階層別平均賃金(20代前半男性、前年比)

絶対金額では10年来の安値に達した去年とほとんど変わらない(消費者物価指数などによる修正はないので、実質賃金とはまた別……とはいえ、この二十年ほど消費者物価指数に動きは無く、実質賃金と変わりは無いと見てよい)ことが分かる。また、2007-2008年においては景気動向に反して上昇しており、初任給のマイナス以上に、手取りが低い非正規労働者の失職が想定できる(全体に占める「手取りの低い非正規労働者」の比率が下がれば、その母体での平均賃金は上昇する)。

続いて30代前半-50代前半を続けて。



↑ 年齢階層別平均賃金(30代-50代前半男性、前年比)
↑ 年齢階層別平均賃金(30代-50代前半男性、前年比)

2010年では下げ幅は比較的小さい値に留まった30代だが、やはり賃金上昇率は昔から抑えられているのが改めて分かる。2005年の賃金上昇時においてですら、わずか0.2%の上昇しか認められず、あとはほとんどマイナス圏。2008年では20代前半同様に、恐らく非正規社員の解雇から、平均が押し上げられる現象が起きているが、2009年にはそれもひと段落つき、平均賃金は下がったまま。また上記で触れているが、2010年では男性の中堅層において賃金面でプラスを見せており、それが50代前半でもプラス1.2%という結果に表れている。

最後に、これらを一つにまとめたグラフを。

↑ 年齢階層別平均賃金(20・30・40.50代前半男性、前年比)
↑ 年齢階層別平均賃金(20・30・40.50代前半男性、前年比)

中期では30代前半が一番下側にいることに違いないが、ここ数年ではむしろ40代の下げ率が大きい。この年代の男性非正規社員が増えたのか、あるいは元々賃金が高く、しかも下げやすい層として目をつけられた可能性はある。

これらのグラフを見て気がつくのは、今回対象とした1997年以降においては多少の起伏があるものの、賃金に大きな上昇・下落の変移は無い(毎年ほぼ2%内に収まっている)こと、そして年齢階層別に賃金の上下にむらが生じていること。すべての年齢階層で上昇・下落といったパターンはほとんど無く、必ず互いに補完し合っているように見える。今回はグラフが雑多になるため各年齢階層の後半(20代後半など)は略したが、仮に入れたとしても同じような傾向が確認できている。ただし2009年-2010年は例外で、2009年の急落ぶりと翌年の反動がいかにレアケースであったかが分かる。

次年、つまり現在進行中の2011年においてはどのような動きを見せるのか。現時点では景気動向の先行きは、極めて厳しい状況が予想できる。色々な意味で気になるところだ。

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2017 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー