学歴別の平均賃金をグラフ化してみる(2010年版)

2011/03/25 06:14

先に【フルタイムの平均賃金は29万4500円・前年比でマイナス1.5%】で厚生労働省発表の資料を元に、2010年におけるフルタイム労働者(一般労働者。正規・非正規を問わず)の所定内賃金(所定内給与額)について触れた。その資料には多種多様な面から賃金の流れを知ることができるデータが盛り込まれており、資料性・情報蓄積性において価値のあるものといえる。今回はその中から、学歴別の平均賃金について、グラフを生成してみることにした。

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今回使用したデータは、2010年における賃金構造の基本統計調査の概要【平成22年賃金構造基本統計調査(全国)結果の概況】からのもの。

まずは2010年における学歴別・性別の平均賃金。なお賃金(所定内給与額)とはあらかじめ定められている支給条件・算定方法によって支給された現金給与額から、超過労働給与額(要は残業代)やボーナスなどを除き、所得税などを控除する前の額を指す。言い換えれば基本給に家族手当などを足したもの。

↑ 学歴・性別平均賃金(千円)
↑ 学歴・性別平均賃金(千円)

他の属性区分同様、女性よりも男性の方が平均賃金は高い。また学歴が高い方が、全般的には賃金も高い傾向がある。ただし【フルタイムの平均賃金は29万6200円・前年比でプラス0.6%(2010年版)】でも触れているように、賃金の減少は女性に著しく、男性は全体ではプラスの傾向を示している。学歴別で見ると、その内情が良く分かる。

↑ 学歴・性別平均賃金(前年比)
↑ 学歴・性別平均賃金(前年比)

2009年は高学歴ほど賃金カットの割合が小さかったが、2010年は立場が逆転。大学・大学院卒が一番賃金減少率が大きい。また【日本の学歴・年代別失業率をグラフ化してみる(2010年版)】【日本における学歴・性別と失業率との関係をグラフ化してみる(2010年版)】でも触れているが、2010年は大学・大学院卒の失業率も上昇している。いわゆる「大学プレミアム」のパワーが小さくなっている感は否めない。あるいは企業側が「今は守りの時期」として機動力を高めるため、いざという時に解雇しにくい、そして経費の高い高学歴を避けているのかもしれない。

教育別完全失業率(卒業者)
↑ 教育別完全失業率(卒業者)(再録)

学歴別に年齢階層別の賃金推移を追うと、興味深い傾向が見られる。

↑ 学歴別平均賃金(男性)(個々の学歴で20代前半を100とした時の値、2009年)
↑ 学歴別平均賃金(男性)(個々の学歴で20代前半を100とした時の値、2009年)

↑ 学歴別平均賃金(女性)(個々の学歴で20代前半を100とした時の値、2009年)
↑ 学歴別平均賃金(女性)(個々の学歴で20代前半を100とした時の値、2009年)

それぞれの階層の20代前半を100とした動きなので金額の絶対額には左右されないはずだが、それでもやはり男性の方が数字が大きい(縦軸の区切りの違いに注意)。これは男性の方が昇給の割合が大きいこと、常勤労働者における正社員比率が高いことを意味する。

また、年齢経過に伴う賃金の上昇だが、

・女性より男性の方がカーブが急こう配。つまり年功序列による昇給の度合いが大きい。
・男女とも高学歴の方がカーブが急こう配。つまり高学歴の方が年を取るにつれてもらえる給与の増加率が高い。
・男性は50代が賃金のピーク。それ以降は減少するのは定年退職や嘱託化から。
・女性も高校卒、高専・短大卒は男性同様の傾向。ただし大学・大学院卒は60代で跳ねあがる。
・女性の高校卒、高専・短大卒は40代に入ると賃金の上昇はほとんど見られなくなる。特に高校卒は事実上横ばいを継続。

などの傾向が確認できる。男女の正社員・非正社員の区分や出世のスピードなどの違いもあるが、「平均賃金」という視点で見た場合、絶対額だけでなく上昇率(昇給率)においても女性は男性と比べて低く抑えらているのが確認できる次第。



男性、女性という性別は生まれながらにしてのもの。だが、学歴は個々の決断によるところが大きく、「生まれながらの運命」的要素はあまり無い(もちろん家庭環境などの問題はある)。そしてやりがいや社会的意味、その他さまざまな要素が「仕事」にはあるが、「賃金の高低」もその一つであることに違いは無い。まずは失職しないのが大前提ではあるものの、同一条件下なら学歴が高い方がもらえる賃金も高くなる傾向なのは確かな話。

学歴を得るためにはそれ相応の勉学を積み重ね、知識を吸収する必要がある。「学歴偏重」を賛美するわけではないが、「学歴」が社会に、そして自分自身にもプラスとなる知識や経験の積み重ねを意味する「勲章」「証明」だと考えれば、それらに注目することはおかしい話では無い。今件データも、それを裏付けるものに過ぎないということだ。

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