正社員か、それとも非正社員か……雇用形態別の平均賃金をグラフ化してみる(2010年版)

2011/03/24 19:30

先に【フルタイムの平均賃金は29万6200円・前年比でプラス0.6%(2010年版)】で厚生労働省発表の資料を元に2010年における一般労働者(フルタイム労働者。正規・非正規を問わず)の所定内賃金(所定内給与額)について触れた。その資料は色々な面から賃金の流れを知ることができるデータが盛り込まれており、非常に価値が高いものと評することができる。今回はその中から雇用形態別の平均賃金について、グラフを生成してみることにした。

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今回使用したデータは、2010年における賃金構造の基本統計調査の概要【平成22年賃金構造基本統計調査(全国)結果の概況】からのもの。

なお賃金(所定内給与額)とはあらかじめ定められている支給条件・算定方法によって支給された現金給与額から、超過労働給与額(要は残業代)やボーナスなどを除き、所得税などを控除する前の額を指す。言い換えれば基本給に家族手当などを足したもの。また「正社員・正職員以外」は契約社員・派遣社員(つまり非正社員、非正規社員)などを意味する。パート・アルバイトは一般労働者ではなく短時間労働者に属するため、今件のデータには反映されていない。

↑ 雇用形態区分。今件は「一般労働者」のうち「正社員・正職員」と「正社員・正職員以外」の違いをチェックする
↑ 雇用形態区分。今件は「一般労働者」のうち「正社員・正職員」と「正社員・正職員以外」の違いをチェックする

まずは2010年における雇用形態別・性別の平均賃金。

↑ 雇用形態・性別平均賃金(2010年、千円)
↑ 雇用形態・性別平均賃金(2010年、千円)

当然の結果ではあるが、正社員などの方が賃金は高い。非正社員の賃金は正社員に比して、男性で6割強、女性で約7割。

昨今の不景気を反映してか、賃金も減少傾向にあるはずだが、男性は最悪期を脱したようで、正社員・非正社員共に前年比でプラスを見せている。

↑ 雇用形態・性別平均賃金(2010年、前年比)
↑ 雇用形態・性別平均賃金(2010年、前年比)

女性の賃金が前年比で下落傾向にあるのは【フルタイムの平均賃金は29万6200円・前年比でプラス0.6%(2010年版)】で触れた通りだが、このグラフを見る限り正社員・非正社員共に女性はマイナス。正社員だけ、非正社員だけ、というわけではない。一方で男性は両方ともプラス。特に非正社員の上げが大きい。

また、性別を問わず正社員・非正社員別に見ると、非正社員の方が上下幅が大きい。これは労使関係の法令の上で、非正社員の方が与しやすいからだろう。もちろん残業代やボーナスの面では正社員が優遇されているので、「平均賃金」では無く「手取り」の点ではまた別の結果となる。

続いてこれらを男女それぞれ、正社員・非正社員別に年齢階層での推移を見たのが次のグラフ。

↑ 雇用形態別平均賃金推移(男性、千円)
↑ 雇用形態別平均賃金推移(男性、千円)

↑ 雇用形態別平均賃金推移(女性、千円)
↑ 雇用形態別平均賃金推移(女性、千円)

男女とも非正社員の賃金は経年にも関わらずほぼ横ばい。特に女性は30代前半がピークとなっている。これは正社員における「社内でのさまざまな実績・経験による積み上げ」が、非正社員には無い事を意味する。特殊な技術・資格を持ち、それこそ「渡りの職人」のような立場なら話は別だが、普通の非正社員には正社員と同じような「積上げ」を期待できず、結果として賃金もそれ相応のものになる結果が、グラフのカーブ具合に現れている。

なお「非正社員に『社内での様々な実績・経験による積み上げ』を求めない、求められない」傾向は、事業が細分化・広大化している大企業ほどその傾向が強い。構成人数が多いほど、一人ひとりは「オールマイティ」よりも「企業を動かす部品の一つ」であることを求められるわけだ。結果として正社員と非正社員の賃金の格差も、大企業になるほど大きくなる(あるいは単に「正社員の賃金格差は企業規模によるところが大きい」「非正社員の賃金格差は企業規模による差異はあるものの、正社員程では無い」のも一因といえる)。

↑ 雇用形態別賃金格差(同属性正社員・正職員を100とした場合の賃金)
↑ 雇用形態別賃金格差(同属性正社員・正職員を100とした場合の賃金)

非正社員の賃金は大企業ほど、そして女性より男性の方が、正社員との賃金格差が大きい(小企業では男女がかろうじて同じ水準だが)。

49.5%は「非正規社員になりたくない」、「でも自分もなるかも」は29.4%…募る新成人の非正規就労への不安】にもあるように、若年層における非正規就労(つまり非正規社員化)への不安は募る一方。その原因の一端を、この賃金グラフから知ることができよう。そして賃金の面で不安が高まれば、当然将来への不安も増加し、消費を避ける傾向も強まる。

若年層に節約傾向が強く表れているのも、そもそも論として使うお金が無いというのが一因。使うお金を受け取れる環境が無いのに、鞭打つ形で若年層に消費を強要すること自体、「大人たちの考え」に疑問符を投げざるを得ない。

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