フルタイムの平均賃金は29万6200円・前年比でプラス0.6%(2010年版)

2011/03/22 12:10

厚生労働省は2011年2月22日、2010年における賃金構造の基本統計調査の概要【平成22年賃金構造基本統計調査(全国)結果の概況】を発表した。それによると2010年のフルタイム労働者(常用労働者。正規・非正規を問わず)の所定内賃金(所定内給与額)は29万6200円となり、前年2009年の29万4500円と比べて1700円・プラス0.6%の上昇となったことが明らかになった。これは2006年以降5年ぶりの上昇となる。

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今回のデータは2010年6月分を対象としたもの。「賃金(所定内給与額)」とはあらかじめ定められている支給条件・算定方法によって支給された現金給与額から、超過労働給与額(要は残業代)やボーナスなどを除き、所得税などを控除する前の額を指す。言い換えれば基本給に家族手当などを足したもの。

公開されたデータを元に、1989年以降の賃金額と前年比推移を示したのが次のグラフ。

↑ 性別賃金の推移(千円)
↑ 性別賃金の推移(千円)

↑ 性別賃金の対前年増減率の推移
↑ 性別賃金の対前年増減率の推移

グラフを見ればお分かりのように、女性に限れば2006年以降は男性や全体平均とは異なり、2009年まではプラスに推移していた(4年連続)。これは企業において女性社員の比率が増加したこと、さらには賃金が正社員よりも低めな非正規社員が失職したことで、平均値が押し上げられているものと思われる。しかし2010年はここ数年の傾向である「全体・男性はマイナス」「女性はプラス」という傾向とまったく逆、「全体・男性はプラス」「女性はマイナス」という結果になった。この数字動向だけを見れば、これまでの4年間の傾向が「不景気を起因とするところが大きい」だけに、2010年の動きは一種の景気悪化の底打ち感すら覚える。

【過去60年にわたる消費者物価の推移をグラフ化してみる】などにもあるが、1990年代以降は物価は安定、一時期はむしろ低下する傾向もあり、一概に賃金がマイナスになると「前年より生活が厳しくなった」と断じることはできない。しかし所定内給与額はボーナスなどと比べて景気や企業の業績の影響を受けにくい(労働各法の定めにより、基本給を下げる場合にはそれなりの手続きや理由付けが求められるため、経営側ではむやみに上げるのも躊躇する傾向がある)。にも関わらず全体・男性が上げているのは、全体的な風向きが変わってきた気配を感じさせる。

もちろん人員整理・再構築による正社員・非正規社員の構成比率の変化や、高額賃金の高齢者の退職など、労働者そのものの状況変化も賃金上昇率の変化の一因として挙げられる。しかし過去の事例を見るに「景気の底打ち、回復、成長期には賃金も上昇する」動きが多々見られることを考えると、今回の流れは決して悪いものではないと考えることができよう。

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