誌上で試乗ができるARアプリ

2011/03/15 06:56

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誌上最近流行りのデジタルキーワードの一つに「AR」というものがある。Augmented Reality(拡張現実・強化現実)の頭文字を取ったもので、VR(バーチャルリアリティ)と対を成す言葉。現実の環境にプラスする情報として、バーチャルな物体をデジタル情報を使い合成提示することを指す。最近では【ラブプラスのARカメラ】や、【来場客殺到で箱根町でのローソンエヴァンゲリオン企画中止】で触れた「ARヱヴァンゲリヲン初号機 出現プロジェクト」が記憶に新しい。そのARを巧みに使い、紙面上の広告とスマートフォンのアプリを組み合わせる形で、ある会社が誇る自動車の新技術を多くの人に「体感」してもらえるという、ステキな仕組みを持っているのが、今回紹介する広告である(I Believe in Advertising)。


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↑ Test drive a Volkswagen inside a print ad。
↑ Test drive a Volkswagen inside a print ad。

これはノルウェーで展開しているフォルクスワーゲン社によって行われた、「スマートフォン」と「新聞や雑誌」の双方ではじめて成立する、ARによる広告。それは「いまだかつてない体験……紙媒体の広告でのテストドライブ」と銘打たれたキャッチコピーで展開されている。

同社は技術革新を推し進めている自動車技術について、多くの人に知ってもらい、自社の製品の良さを心に刻んでほしいと思っていた。しかしそれらの技術を紙面上で分かりやすく紹介するのは困難、との問題点をかかえていた。やはり新技術はその自動車に乗ってこそ良さが分かる。それがかなわなければ、せめて体験してもらわねば……ということでAR技術の登場となる。

まず手始めに、誰もがダウンロードできるスマートフォンのアプリケーション(アプリ)を作成し、提供する。

↑ まずはスマートフォン用のアプリを作成し、誰もが入手できるようにする
↑ まずはスマートフォン用のアプリを作成し、誰もが入手できるようにする

そのアプリでは3つの機能、つまりフォルクスワーゲン社が「知ってほしい新技術」たち、具体的には「走行レーンの維持アシスト機能」「走行中のコーナリングの際に、そのまま真っすぐにでは無く、進行方向に光を照らしてくれるアダプティブ・フロントライティング システム」「アダプティブクルーズコントロールこと車間距離制御システム」が選択できる。

そしてそれぞれのアプリを作動させながら、新聞や雑誌に掲載されている見開きの同社広告の車道上でスマートフォン本体を走らせると、その機能を作動させた状態の自動車の動きを確認できるようになる。

↑ 走行レーンの維持アシスト機能
↑ 走行レーンの維持アシスト機能

↑ アダプティブ・フロントライティング システム
↑ アダプティブ・フロントライティング システム

↑ アダプティブクルーズコントロール
↑ アダプティブクルーズコントロール

どれほど進歩的な技術でも、それが文字だけの説明ではピンとこない人も多いだろう(新技術であればあるほど、前例のない・体験したことのないものだからだ)。動画を視聴出来れば納得はいくが、さらに自分自身がスマートフォンを動かしてそのようすを言葉通り「手に取るようにして」確かめられるのなら、理解度・把握度も段違いなものとなる。

例えば単に「走行中のコーナリングの際に、そのまま真っすぐにでは無く、進行方向に光を照らしてくれるアダプティブ・フロントライティング システム」と説明されても「そうなんだ?」程度で終わりかねない。が、自分でスマートフォンを広告上で滑らせ、カーブを曲がろうとするところで少しずつ内側に余計に光が傾斜し、進行方向の地面にライトが当たり続ける様子を見ると、「なるほど」と納得させられてしまう。まさに言葉通り「手に取るように」長所が分かる、かけ言葉的に表現すれば「誌上で試乗ができるアプリ」として多くの人により深い興味を抱かせることになる。

AR技術は主にスマートフォンの普及率向上と共に、大きく動き出した手法といえる。今回のフォルクスワーゲン社の使い方も、ほんの一例に過ぎない。今後多種多様なアイディアの表現方法として、スマートフォンと何か他の媒体を組み合わせたAR的な広告・プロモーションが登場することだろう。


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