完全失業者としてはカウントされない「仕事をしたいけど求職活動をしなかった」人の推移をグラフ化してみる(2010年分版)

2011/03/17 07:13

先日公開した記事【日本の学歴・年代別失業率をグラフ化してみる(2010年版)】などでも触れているが、総務省統計局は2011年2月21日に、2010年における労働力調査(詳細集計)の速報結果を同省公式サイトで発表した(【労働力調査(詳細集計) 平成22年平均(速報)結果:発表ページ】)。その報告書では2010年、そして2010年を含む過去数年間に渡り、日本の労働環境や雇用問題に関する各種データが記載されている。今回はその資料から、「仕事をしたいけど求職活動をしなかった」についてチェックを入れてみることにする。要は「完全失業者」には数えられない、一部では「隠れた失業者」と呼ばれている人たちのことだ。

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おおもとのデータは「労働力調査(詳細集計) 平成22年平均(速報)結果」の「要約」部分から抽出したもの。ちなみに「完全失業率」とは言葉の定義としては「完全失業者÷労働力人口×100(%)」で算出される値。総務省統計局の場合には「仕事についていない」「仕事があればすぐにつくことができる」「仕事を探す活動をしていた」のすべてに当てはまる人が「完全失業者」に認定される。一部のみ適用の場合は該当しないので注意が必要。

この条件に一つでも当てはまらない、現在雇用されていない人は「非労働人口」ということになるが、2010年の非労働人口は4446万人。そのうち「就業希望者(就業を希望しているものの、求職活動をしていない人)」は467万人となり、前年比で4万人減少となる。

↑ 非労働人口のうち就職希望者合計の推移(万人)
↑ 非労働人口のうち就職希望者合計の推移(万人)

単に「非労働人口のうち就職希望者」と表現しても、その立場についた理由はさまざま。「この不景気では就職活動をしても無理そうだから、就職はしたいのだけど、あきらめるか」という人、「身体を壊してしまって、静養をしなければいけない。就職したいのだけど」という人、「子供が生まれるので出産と育児で忙しいから難しいな」という人、個々の理由はあるだろう。

そこで、その内訳を示したのが次のグラフ。「非労働人口のうち就職希望者」で一番注目されそうな、「適当な仕事がありそうにない」という人は165万人。「非労働人口のうち就職希望者」全体に占める割合は35.3%と1/3強を占めている。

↑ 非労働力人口のうち就業希望者の内訳(万人、2010年)
↑ 非労働力人口のうち就業希望者の内訳(万人、2010年)

この「適当な仕事がありそうにない」について、さらにその内訳を細かく確認し、その推移を示したのが次のグラフ。実は「今の景気や季節では仕事がありそうにない」以外は年々漸減傾向にあり、唯一「今の景気や季節では仕事がありそうにない」のみが景気動向に大きく反応して上下していた。しかし2010年においては「近くに仕事がありそうにない」「勤務時間・賃金などが希望にあう仕事がありそうにない」も増加しており、これまでとは状況が異なる様相を見せている。

↑ 非求職理由のうち「適当な仕事がありそうにない」の内訳別にみた、就業を希望するが就職活動はしていない「非労働人口」の推移(万人)
↑ 非求職理由のうち「適当な仕事がありそうにない」の内訳別にみた、就業を希望するが就職活動はしていない「非労働人口」の推移(万人)

完全失業率が話題に登る際に「完全失業率には『景気が悪くて就職活動をあきらめた人』(2010年では24万人)は入っていない。だから本当はもっと失業率・失業者は上のはずだ」といった類の話を耳にする。2010年の完全失業者数は334万人だから、それなりに大きな値ではある(7.2%分)。それらの観点で考えれば、現在の雇用情勢は2002-2003年における「前回の不景気」の水準に近しい値であることが推測できる。

また、2010年は2009年と比べて「近くに仕事がありそうにない」「勤務時間・賃金などが希望にあう仕事がありそうにない」の値が増加しているが、これは「完全失業者の仕事につけない理由別割合」から推測するに、中堅層の多くが該当することによるものだろう。

↑ 完全失業者の仕事につけない理由別割合(2010年)
↑ 完全失業者の仕事につけない理由別割合(2010年)(再録)

ともあれ、完全失業者・失業率絡みで「就業を希望するが就職活動はしていない非労働人口」についてチェックをする際には、その内情の変移についても確認をしておく必要がある、ということだ。



やや余談ではあるが、「完全失業者」の定義に当てはまるための要件「仕事を探す活動をしていた」は「ハローワークに登録していること”のみ”」と誤解されがちだが、【労働力調査に関するQ&A】を見れば分かるように、

公共職業安定所(ハローワーク)に登録して仕事を探している人のほかに、求人広告・求人情報誌や学校・知人などへの紹介依頼による人、直接事務所の求人に応募など、その方法にかかわらず、仕事を探す活動をしていた人が広く含まれる

と定義されている。今記事命題の”完全失業者にカウントされない「仕事をしたいけど求職活動をしなかった」”人のニュアンスも、多少は変わってくるのではないだろうか。

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