30.3%は「希望する種類・内容の仕事がない」…完全失業者の「仕事につけない理由」とは?

2011/03/14 12:00

先にいくつかの記事で取り上げたように、総務省統計局は2011年2月21日に2010年での「労働力調査(詳細集計)」の速報結果を同省公式サイト上にて発表した(【労働力調査(詳細集計) 平成22年平均(速報)結果:発表ページ】)。その発表資料では2010年、さらには2010年を含む過去数年間における、日本の労働環境、そて雇用問題に関する各種データが盛り込まれている。今回はその資料から、「完全失業者が仕事に就けない理由」を眺めてみることにする。

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言葉の定義として、「完全失業率」とは「完全失業者÷労働力人口×100(%)」で算出される値。総務省統計局の場合には「仕事についていない」「仕事があればすぐにつくことができる」「仕事を探す活動をしていた」のすべてに当てはまる人(一部ではない)が「完全失業者」に認定される。

さて、2010年における完全失業者数は334万人という結果が出ている。そのうちある程度理由が明確化しているものについてまとめた結果が次のグラフ。もっとも多い理由は「希望する種類・内容の仕事がない」とするもので、人数では100万人の人が該当している。

↑ 仕事につけない理由別完全失業者(2010年、万人)
↑ 仕事につけない理由別完全失業者(2010年、万人)

2010年のグラフ上の人数の合計が334万人に達しないのは、「その他の事由」があるため。また、経年人数変移グラフは略するが、「賃金・給与が希望と合わない」という回答者数は2002年以降ほぼ横ばいを続けており、その一方で「希望する種類・内容の仕事がない」「求人の年齢と自分の年齢が合わない」「条件にこだわらないが仕事がない」の回答人数が2008年から2009年にかけて急増している。そして2009年から2010年では「希望する種類・内容の仕事がない」はやや減ったものの、「求人の年齢と自分の年齢が合わない」「条件にこだわらないが仕事がない」は上昇を継続中。2009年は雇用情勢が急激に悪化、2010年もその後を引きずり気味であることがうかがえる。

これを年齢階層別にみると、世代別の失業事情を見ることができる。

↑ 完全失業者の仕事につけない理由別割合(2009年)
↑ 完全失業者の仕事につけない理由別割合(2009年)(再構築した上で再収録)

↑ 完全失業者の仕事につけない理由別割合(2010年)
↑ 完全失業者の仕事につけない理由別割合(2010年)

・若年層ほど「技術・技能」不足が多い
・家族を抱えているためか、中堅層は(35-44歳は特に)「勤務時間・休日」などの条件がクリアできないことが多い
・どの年齢階層も「条件にこだわらないが仕事がない」割合は一定率存在する
・若年層ほど「希望する種類・内容の仕事がない」(A)
・高齢層ほど「求人の年齢と自分の年齢が合わない」(B)
・2009年から2010年の変移としては、
 1)15-24歳は「希望種類・内容の仕事が無い」が減り、「条件にこだわらないが仕事が無い」が増加しているのが特徴的
2)全体的には「条件にこだわらないが仕事が無い」「求人の年齢と自分の年齢が合わない」など、求職側の努力では太刀打ちできない理由による項目が増加している

(A)と(B)の2項目は2009年・2010年とも顕著な傾向として現れている。まず(A)だが、【職種別有効求人倍率をグラフ化してみる(2010年10月更新版)】でも解説した「仕事における需要と供給のミスマッチ」が多分に作用していると見るべき。さらに「技術・技能」が不足しているからこそ、希望職種・内容が限定してしまうパターンも少なからずあると考えると、単純な「ミスマッチ」以外に「経験・技能不足による選択肢の少なさ」がわざわいしている場合も容易に想定できる。

一方(B)は「年齢のミスマッチ、ハードル」が問題。本人はやる気(、さらには技術や経験)があるが、年齢という越えられない壁が立ちはだかり、職につくことができない状態。一般職における再就職は30代までというのが通例で、40代が含まれる「35-44歳」の層から「求人の年齢と自分の年齢が合わない」比率が高まるのも合点がいく。

さらに2009年から2010年の変移を見ると、「全体的に求人そのものが減少しているが、若年層がとりわけひっ迫化している(とにかく仕事そのものが無い)」「中堅層の”年齢が合わずに職につけない”、つまりやる気や技能があるのに職につけない人が増えている」などの動きが確認できる。いずれも昨今の雇用情勢を反映しているといえよう。



雰囲気的には【2011年2月分の景気動向指数は2か月ぶりの上昇、先行きは横ばいで推移】で言及しているように、雇用関連の統計値は良い方向に動いている。情勢は厳しい状態が継続しているものの、昨年と比べればやや改善されつつあるようにも見える。しかし求職・求人間のミスマッチなど、本文の通りにさまざまな問題点が就職を難しくさせていることに違いは無い。

逆に、その「問題点」を解決すれば、雇用問題を改善できるとする考え方もある。条件のミスマッチは情報の集約と容易な検索ができる環境の整備、経験・技能不足はそれらを習得させることで(本来これは学生時代にある程度成していなければならない)、状況を改善させられるに違いない。

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