日本における学歴・性別と失業率との関係をグラフ化してみる(2010年版)

2011/03/09 06:20

先の2011年3月7日に掲載した【日本の学歴・年代別失業率をグラフ化してみる(2010年版)】でも取り上げたが、総務省統計局は2011年2月21日、2010年の「労働力調査(詳細集計)」の速報結果を発表した(【労働力調査(詳細集計) 平成22年平均(速報)結果:発表ページ】)。2010年、あるいは2010年を含む過去数年間の、日本の労働環境や雇用問題に関する各種データが盛り込まれている。今回はその資料から、日本における学歴・性別と失業率との関係をグラフ化して内容を精査した過去の記事の各種データを更新しておくことにする。

スポンサードリンク


元となるデータの取得元は「労働力調査(詳細集計) 平成22年平均(速報)結果」の「平成22年平均(速報)結果の概要、統計表」から。さらに同様の統計データについて記録が確認できる2002年分平均までをさかのぼり(【2005年発表分】など)、データをピックアップした。まずは全体の変移。

教育別完全失業率(卒業者)
↑ 教育別完全失業率(卒業者)

「完全失業率」は完全失業者÷労働力人口×100で求められ、労働力人口は従業者、休業者、完全失業者を合わせたもの。非労働力人口(状況をかんがみて求職活動をしていない人など)が除外されているなどの問題もあるが、今回の考察とは別の話。教育の別なく失業率が昨年同様に高い水準にあるのが確認できる。特に「大学・大学院」の失業率が、2009年同様に2010年も上昇している点は要注目な動きといえる。

続いて男女別にそれぞれ、学歴別のグラフを生成する。

教育別完全失業率(卒業者)
↑ 教育別完全失業率(卒業者)(男性)

教育別完全失業率(卒業者)
↑ 教育別完全失業率(卒業者)(女性)

大まかに分けて失業率が「小学-高卒」「全体値」「短大・高専」「大学・大学院」の順に低い値となるのは男女合わせた全体値と変わらず。ただし、

・失業率は全体的に男性の方が高い(後述)。
・学歴の差による失業率の違いは男性の方が大きい。
・男性では2006年以降、女性では2007年以降、「短大・高専」と全体値との差異がほとんどなくなっている(≒失業率が上昇している)。2002-2003年にも近い現象が見られ、景気が悪化すると「短大・高専」に大きなしわ寄せが出ている可能性がある。2010年においては男性は再び接近し、女性は差が開いたまま。
・他の階層が2006年以降失業率を高めつつある中で、男性の「大学・大学院」のみが失業率を下げてい”た”。しかし2009年にはその例外も失われ、その傾向は2010年においても継続している。
・男女間では2010年は「男性…悪化」「女性…改善(高学歴除く)」の傾向がはっきりと表れている。

などの傾向が見られる。一言で表現するのなら、2009年においてはこれまでの特徴、傾向を多方面で打ち破る形で状況が悪化し、その傾向が2010年にはさらに継続しているのが分かる。女性の状況改善は後述するように、男性と比べて賃金が安いことに起因するものと考えて良い(【若者の貯蓄は男性200万・女性150万円…? 一人暮らしの平均年収や貯蓄高をグラフ化してみる】)。

男女の差
「失業率は全体的に男性の方が高い」について、「全体」及び「大学・大学院のみ」を男女それぞれで抽出してグラフを作り直したのが次の図。

教育別完全失業率(卒業者)(男女・全体のみ)
↑ 教育別完全失業率(卒業者)(男女・全体のみ)

教育別完全失業率(卒業者)(男女・大学・大学院卒のみ)
↑ 教育別完全失業率(卒業者)(男女・大学・大学院卒のみ)

男女で比べると男性の方が失業率は全般的に高い。これは「完全失業率」の計算方法(完全失業者÷労働力人口×100で求められ、労働力人口は従業者、休業者、完全失業者を合わせたもの。非労働力人口(状況をかんがみて求職活動をしていない人など)は含まれていない)や、女性の雇用形態としてパートタイマーが増加したのが大きく作用している。実際女性に限れば「パート・アルバイト」に該当する人は前年比で30万人も増加しているのが確認できる(男性は9万人増)。さらに直上で触れているが、同じ雇用形態でも男性と比べて女性の方が賃金が安い傾向にあるのも一因と考えて良い。

また、2006年に一時的な逆転現象が起きているが、この年に該当する関連事項といえば「改正・男女雇用機会均等法」の成立(施行は2007年)しかなく、これが影響しているものと考えるのが妥当である。

繰り返しになるが、これらのデータはあくまでも数字的に「学歴が高い方が失業率が低い傾向にある」という失業率の一側面を示しただけであり、「高学歴万能主義」の肯定・否定はまた別問題。さらに「昨年と比べた悪化傾向」という点では、むしろ高学歴の方が厳しい状況にある(無論これは非正規雇用までを含めて失業している・していないを考えているのが遠因ではあるが。【大卒正社員率は82.7%…学歴や年齢別の若者労働者の正社員・非正社員割合をグラフ化してみる】参照のこと)。

ちなみに今件データに年齢を絡め、クロスオーバー・立体化したものはすでに【日本の学歴・年代別失業率をグラフ化してみる(2010年版)】で記事化している。こちらも合わせて目を通せば、理解がさらに深まるだろう。

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2017 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー