【更新】アメリカのスマートフォンのシェア動向

2011/03/05 12:00

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iPhoneとAndroidニールセンは2011年3月4日、2010年11月から2011年1月における、アメリカでのスマートフォンのシェアに関するレポートを発表した。それによるとOS別の市場シェアはAndroid(アンドロイド)が29%を占め、RIM Blackberryと Apple iOSの27%を抜き、トップに立っているという結果が出た。一方メーカー別で見た場合には、RIMとAppleが独自OSを搭載していることから、両社のシェアが圧倒的に多数を占めていることが分かる。今回はこのレポートのデータを基に、グラフを再構築し、状況を斜め読みすることにしよう([発表リリース])。


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まずは最新データにおける、アメリカのスマートフォンのOSシェア。

↑ 米OS別メーカーシェア(スマートフォン)(2010年11月-2011年1月、支払済み携帯電話契約者)(ニールセン調査、n=14701)
↑ 米OS別メーカーシェア(スマートフォン)(2010年11月-2011年1月、支払済み携帯電話契約者)(ニールセン調査、n=14701)

欧米の調査レポートにありがちなスタイル(整数値までの表記)のためやや粗さがあるが、Android OSがOSシェア比ではトップについている。次いでApple iPhone OSとRIMがほぼ同列、さらにMS Windows Mobileなどが続く。【iPhone息切れ気味? アンドロイド猛追撃…米スマートフォンの現状(2010年第2四半期)】のデータと比較すると、(予想されていたことではあるが)Android OSの加速ぶりが目に留まる。

しかし一方で、Apple OSとRIMはメーカーとOSがそのままイコールとなるのに対し、Androidはそのままメーカーを意味しない。飲料のヤクルトがヤクルトという会社の商品である一方(森永のヤクルトやグリコのヤクルトは存在しない)、乳酸飲料は多種多様なメーカーから発売されているのと同じようなもの(この場合、ヤクルト自身も乳酸飲料のため、ややニュアンスは異なるが)。

メーカーとOSが同一である場合、そのメーカーが大手であればブランド力を信用でき、利用者は安心感を得ることが出来る。一方で他社がそのOSに手を出すことはできず、機動力・柔軟性に欠けるという弱点がある。殻の中に閉じこもれば安定感はあるが、そこから飛び出て飛躍する斬新性に欠けるリスクも同時に生じるということだ。

各OSをハード別に分割してグラフを創り直したのがこちら。

↑ 米OS別メーカーシェア(スマートフォン)(2010年11月-2011年1月、支払済み携帯電話契約者)(ハード別構成区分入り)(ニールセン調査、n=14701)
↑ 米OS別メーカーシェア(スマートフォン)(2010年11月-2011年1月、支払済み携帯電話契約者)(ハード別構成区分入り)(ニールセン調査、n=14701)

一応同一OSは同系色でまとめてあるが、かなりごちゃごちゃとした感じになってしまった。それでもApple iOSとRIMの「安定感」と、Android OSのカオスぶり、言い換えれば多種多様性が見て取れる。

一般的に安定性の高い・安心感の強い・手堅いアイテムは中堅層以降、斬新性のある・多種多様性の高いアイテムは若年層が好む傾向がある。歳を取るに連れて新しいことを覚えるのは面倒になるし、失敗した時の(特に時間的な)リスクを恐れるからだ。

それが良く分かるのが次のグラフ。OS毎に年齢階層別のシェアをビジュアル的に表したものだが、Android OSがApple iOSやRIMと比べて若年層に好まれているのが分かる。なお元資料の図のように、個々要素の面積比がそのままシェア比を示しているわけではない点に留意する必要がある(同一機種内でのみ面積におけるシェア比の比較が可能)。

↑ 米年齢別OSシェア(スマートフォン)(2010年11月-2011年1月、支払済み携帯電話契約者)(各数字は全体に占める比率、0%表記は実際には1%未満)(ニールセン調査、n=14701)
↑ 米年齢別OSシェア(スマートフォン)(2010年11月-2011年1月、支払済み携帯電話契約者)(各数字は全体に占める比率、0%表記は実際には1%未満)(ニールセン調査、n=14701)

シェアという概念で表現すれば、「Androidは複数のグループの寄せ集まりで互いをライバル視しながら周囲に勢力拡大を推し量っている」「Apple iOSやRIMは一つの勢力でがっちりと地盤固めができており、勢力拡大を模索しているが、大所帯なために動きにくい」とすれば、イメージ的には合致するだろうか。

市場全体の成長には競争の要素が欠かせない。寡占は既存利権者に安定した利益をもたらすが、時間の経過と共に劣化は否めず、ライバルもいないため「前進」の機運に欠けてしまうのが世の常。もちろん実際には多種多様な要因が絡むため一概には言えないが、今後のアメリカにおけるスマートフォンでのシェア争いについては、このような観点で考えると先が見えてくるかもしれない。


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