20年あまりの世界の食料価格の推移をグラフ化してみる

2011/03/04 12:10

先に国連食糧農業機関(FAO)発表による【世界食料価格指数(FAO Food Price Index)】が過去最高値を記録したことをお伝えした。今データは1990年以降にFAOが世界の食料価格の月ごとの変化を定期的に監視・統計した上で食料価格指数として発表しているもので、昨今の各種商品市場の動向や政治情勢を判断する際に、重要な指針となりうるものである。そこで今回は改めてデータを取得しなおすと共に、いくつかのグラフを生成してみることにした。

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世界食料価格指数(FAO Food Price Index)は1990年以降毎月発表されている指針で、総合的な「世界食料価格指数」の他、「食肉価格指数」「乳製品価格指数」「穀物価格指数」「油脂価格指数」「砂糖価格指数」が算出(各指数それぞれ複数の商品を対象としており、合計で55品目が該当する)されている。値そのものは2002年から2004年までの3年間36か月の値の平均値を基準値の100とし、それに対する相対値の値で提供される。なお今回グラフを再構築するにあたり、各要素の表現方法を【FAOの日本事務所】が用いているものに変更してある。

まずは、収録されている全データを使った折れ線グラフを生成する。中長期的な食料価格の変移概要がつかめるはず。

↑ 各食料価格指数推移(FAO)(1990年-)
↑ 各食料価格指数推移(FAO)(1990年-)

砂糖は元々相場変動性の高い食料品のため変動が激しいものの、それ以外は2005年前後までは50-150の領域でほぼ留まっていたことが分かる。それが先の「サブプライムショック」に始まる2007年以降の市場動乱を皮切りに大きなうねりを見せ、全体的には上昇傾向を見せているのが分かる。特に「サブプライムショック」の急上昇とその後の大きな反動による下落の後に起きた「リーマンショック」以降は上昇する一方であるのが見て取れる。

なお2005年前後に砂糖が高値を見せているが、これは干ばつによる砂糖の不作(ブラジルやタイなど)に合わせ、新興国での需要拡大が目覚ましいものになってきたこと(生活水準が向上すると甘いものが欲しくなるワケだ)、さらには原油価格の上昇に伴いエタノール利用度が高まり、エタノールの原材料となるサトウキビへの需要が高まったのが原因。当時は「25年来の最高値」と大きな騒ぎとなったが、昨今はそれをはるかに上回る高値をつけている。

続いて、2007年以降に期間を絞り、直近の金融危機以降の動向が分かりやすいものに生成し直したものがこちら。

↑ 各食料価格指数推移(FAO)(2007年-)
↑ 各食料価格指数推移(FAO)(2007年-)

砂糖の2010年春先の急落が目に留まるが、これは元々過熱感のあった相場に対し、豊作が伝えられたをきっかけにする反動の結果。しかし元々の価格上昇の原因である需要の拡大(新興国、特に中国)に伴う需給バランスの不安定感が解決したわけではなく、再び上昇をはじめ現在に至る。

また、直上でも触れているが、リーマンショック以降は砂糖価格だけでなく他の主要商品価格すべてが値上がりを続けている。特に穀物価格(紫線)が去年夏頃から急上昇を見せているのは注目に値すべき。

昨今の食料価格の上昇ぶりを確認するため、各指標の1年前からの変移を算出し、増加率をグラフ化したのが次の図。

↑ 食料価格指数前年同月比(2011年2月)
↑ 食料価格指数前年同月比(2011年2月)

油脂の6割強をはじめ、穀物5割強、その他の食品も2割前後、「1年間で」上昇した計算になる。原材料費がそのまま食料加工品や世帯の食費に反映されるとは限らないが、食事は欠かせない生活行動である以上、特にエンゲル係数の高い層には痛手となる。



小麦先の記事でも触れたように、食料価格の上昇は特に新興国における需要そのものの急速な拡大に加え、バイオエタノールの問題、天候不順による不作、さらには商品先物市場への資金流入に伴う相場の過熱感と合わせ、値を下げる要素が見つかりにくい状況にある。昨今の地中海北東沿岸諸国の騒乱も、この食料価格の上昇が遠因にあることを考慮すると、今後もしばらくは頭を痛めざるを得ない状況が続きそうだ。

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