世界各国の石油埋蔵量などをグラフ化してみる(2011年3月作成・EIAデータ版)

2011/03/03 07:28

石油地中海南東沿岸諸国の情勢緊張化を受けて原油価格が高騰し、それに伴い当サイトの石油関係の記事、特にCNBC.comの【Slideshows】のコーナーを参照にした、世界各国の石油埋蔵量などをグラフ化した記事には多くの注目が寄せられている。折しも先日、元記事の【世界で大量の石油埋蔵量を誇る国々たち(World's Biggest Oil Reserves)】のデータが更新されたこともあり、今回はそれを基に各種データを書き換えて見ることにした……

スポンサードリンク


……のだが。データを入力してグラフ化していくうちに、一般に知られている情報との食い違いが目に留まった。アメリカ合衆国と中国のデータが寸分違わず一致しているなど、入力ミスをしているとしか思えない部分もある。そこで同記事のデータ取得とされている【アメリカのエネルギー情報局(EIA:Energy Information Administration)】のデータを参照しなおしたところ、相当量のミスが確認された。そこで今回は、EIAの【石油関連部分のデータ一覧】や、同サイトトップページ右部分のランキングなどを活用し、各種ランキングについて当方で改めて一から生成をし直すことにした。なおEIAのデータは現時点で基本的に2009年のものが最新であり、各種データもそれに従っている(CNBCのもベースはこれのようだ)。

グラフの掲載の前に、いくつか用語説明を。「1バレル」は良く耳にする、石油・原油の量を測る単位。樽(たる)が語源で42ガロン・158.987294928リットル(約160リットルと覚えれば、日常生活では問題ない)。「確認埋蔵量」とは、現在の技術で経済的に採掘できる量。科学技術が進歩して、より深いところまで採取できるようになれば、これまで以上に「確認埋蔵量」が増える可能性もある。逆に計測ミスで減る可能性もあるわけだが。

また「石油」はいわゆる採掘直後の「油」を指す場合もあるし、採掘した油からガスや水分、その他異物を大まかに取り除いた、精製前のものを指す場合もある(こちらはむしろ「原油(Crude oil)」と呼ぶ場合が多い)。「確認埋蔵量」「総生産量」は前者の「採掘直後の(石)油」、「原油生産量」は後者の「原油(石油)」を指す。

さて、まずは「確認埋蔵量」をグラフ化する。

↑ 石油の確認埋蔵量(億バレル)
↑ 石油の確認埋蔵量(億バレル)

サウジアラビアが世界最大の石油埋蔵量国であることがひと目で分かるが、それにも増して驚きなのは、カナダがそれに次いで第二位の立ち位置を占めていること。アメリカ合衆国への石油輸出量はカナダが世界でもっとも多く、その位置関係とあわせ、アメリカにとってカナダはエネルギー面で大切な同盟国であることが分かる。

また、面積の小さな国や国政が不安定な国のいくつかも大きな埋蔵量が確認できる。アメリカをはじめとする世界の大国たちが、これらの国に熱い視線を向けている理由が理解できるというもの。

続いて「埋蔵量上位15か国を対象にした」原油生産量ランキング。元記事には総生産量も記載されているが、今記事では大きな意味はないので今回は省略。なおこちらのデータは1日あたりの生産量を、「万バレル」単位で記している。

↑ 1日あたりの原油生産量(万バレル)
↑ 1日あたりの原油生産量(万バレル)(埋蔵量上位15か国対象)

サウジアラビアやイランなど一部の国を除き、最初の「確認埋蔵量」と「原油生産量」の順位が大きく異なるのは、国内での石油の必要性や石油が採掘できる場所の採掘の難易度、資本算入の度合いなど数々の要素が絡み合った結果によるもの。特にロシアや中国などが必死に採掘を進めている様子がわかる。

次にグラフ化するのは、自国内での消費量。以前【産油国が「石油輸入国」になる日】でも触れたが、当初は石油輸出国だったのが「石油が売れる」「代金で国を活性化」「国内近代化」「石油消費量増加」「消費量が生産量を上回る」「石油輸入国に」のプロセスを踏んでいる国がいくつも存在する。そこで今グラフでは直上の「原油生産量」と併記する形で、自国内消費量を掲載してみる。「原油生産量」の方が大きければ計算上は「自国内で石油をまかなえて他国に売るなり自国内に備蓄できる」、「消費量」の方が多ければ「石油が国内生産量だけでは足りないので他国から輸入する必要がある」ことになる。

1日あたりの原油生産量と消費量(万バレル)
1日あたりの原油生産量と消費量(万バレル)(埋蔵量上位15か国対象)

カナダはほぼトントン、そしてアメリカと中国が自国内の生産量だけではまかないきれず、事実上輸入に頼っている計算となる。それにしてもアメリカの消費量のいかに大きい事か。一方、ロシアやサウジアラビア、イランは大いに原油の輸出で潤っているかが容易に想像できる。

最後に、この「石油大量消費国アメリカ」の石油量の帳尻を合わせるため、他の14か国がアメリカに輸出している量のグラフを(こちらも2009年のデータ)。

↑ 1日あたりのアメリカへの原油輸出量(万バレル)
↑ 1日あたりのアメリカへの原油輸出量(万バレル)(埋蔵量上位15か国対象)

カナダはアメリカと地続きという地の利を活かし、アメリカへの石油最大輸出国の立ち位置を占めている。一方で距離が遠い、あるいはアメリカとあまり仲の良くなさそうに見える国の量は少ないのも確認できる。



原油価格は2007年の金融危機以降、各資源価格の高騰とその後の急落の荒波の中心的な存在として、大きく値を動かしている。昨今では冒頭で触れたように世界情勢の動きを受けて原油価格は再び(数年前の資源高を思い起こさせるような)上昇を見せている。

EIAのデータベース上の数字は年単位でのものなので、2010年のものに更新されるにはしばらく時間を要することだろう。それが確認できれば、今記事・グラフも再び新しいものを生成することにしよう。

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2017 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー