収入と税金の変化をグラフ化してみる(2010年分反映版)

2011/03/01 12:20

総務省統計局は2011年2月15日、【家計調査報告(家計収支編)平成22年(2010年)平均速報結果の概況】を発表した。2年ほど前に同じ系統のデータ(2008年分)から、収入と税金の変化をグラフ化して状況を精査した記事を作成したこともあり、今回はこの記事のデータ更新を行うことにした。

スポンサードリンク


今件データは勤労者世帯の平均値を算出したもの。平均世帯人員は2.47人・世帯主平均年齢は56.4歳(2010年データ、以下同)。また、実収入は1年に得た各種収入(世帯主と配偶者収入)の合計を12で割った、つまり一か月の平均値なので、ボーナスなどは月単位で分散加算されている。また宝くじや保険金、退職金などの特殊事情による収入は除外してある。さらに「実収入」は「非消費支出(税金や社会保険料)」と「可処分所得」(自由に使えるお金)に分けられる。

・(実)収入……世帯主の収入(月収+ボーナス臨時収入)+配偶者収入など
・支出……消費支出(世帯を維持していくために必要な支出)
     +非消費支出(税金・社会保険料など)
     +黒字分(投資や貯金など)
※可処分所得=「収入」-「非消費支出」

まずは実収入と、非消費支出・可処分所得の推移を見ることにする。

↑ 実収入と非消費支出・可処分所得の推移(円)(勤労者世帯)
↑ 実収入と非消費支出・可処分所得の推移(円)(勤労者世帯)

2000年以降減り続けた実収入だが、2004年-2005年を底値にようやく上昇の兆しが見えている。しかし実際に自由に使えるお金「可処分所得」は 2000年と比べて3万円近く減ったまま、ほぼ横ばい。その理由として、実収入と同じように減少を続けた「非消費支出」が2005年あたりから急速に増え、実収入の増加分をほとんど食いつぶしているからなのが分かるはず。

前回の記事からの更新分にあたる2009年-2010年においては、非消費支出が一時減少する傾向を見せたものの再び増加。実収入も同様の動きを見せ、後者の下がり方が前者を上回っているため、結果として可処分所得は2008年までと比べ、さらに下がってしまっている。

これらの動向がより分かりやすくなるのが次のグラフ。「実収入」に占める「非消費支出」こと税金や社会保険料の割合の変化を示したものだが、実収入が減少を続けた2004年-2005年までが横ばいだったのに対し、2006年から急激に割合を増やしているのが確認できる。2008年から2009年は0.2ポイント増加しており、これが可処分所得の減少につながっている。

↑ 実収入に占める非消費支出の割合
↑ 実収入に占める非消費支出の割合

↑ 実収入に占める税金や社会保険料比率
↑ 実収入に占める税金や社会保険料比率

累進課税・上限値の設定などもあり完全な比例関係にはないが、一般的に収入が増えればその分税金や社会保険料も増加する。額が増えても収入に占める割合そのものはそれなりに定率になるはずなのだが、この数年においては「平均的なモデルの世帯では」公租公課の負担「割合」が増えている。率にして1-2%。この上昇分が、2008年あたりまでの「収入が増えても使えるお金が増えない」という事態を招く一因となっている。また、前回からの補完分である2009年-2010年においては、直接税が占める比率は減ったものの、それ以上に社会保険比率が増加し、結果として非消費支出が増えているのが分かる。

「可処分所得が増えなくても物価が安定していれば同じ水準で生活できるはず。物価が下がれば生活はむしろ楽になるのでは?」という意見もあるだろう。しかし【過去60年にわたる消費者物価の推移をグラフ化してみる】にもあるように1990年代以降は消費者物価指数はほぼ横ばい、あるいは減少の傾向を見せている。直近2年間のデータに限っても(【平成17年基準 消費者物価指数 全国平成22年平均】から、主要指数と食料指標を月次ベースで取得)、安定した動きを示しているのが分かる(食品はややぶれが大きいが……)。

↑ 消費者物価指数(CPI)動向(2005年=100)
↑ 消費者物価指数(CPI)動向(2005年=100)

この2、3年は「税金はちょっぴり減ったがそれ以上に収入が減り、可処分所得は減少した」状態。物価が安定していても使えるお金が減っているのだから、生活が厳しくなって当然というもの。



2005年以降の公租公課の増加原因については先の記事で解説しているが、年金・社会保険料の漸増が続いている事、定率減税の撤廃が大きな要因。また、今回追加した2年分のデータにおいては、実収入・可処分所得が目に見える形で減少している点に注目したい。やはりリーマンショックの影響は非常に大きく、そしてその後の政変・政策転換もまた少なからぬ影響を与えていると見るべきだろう。

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2017 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー