20余年間の新聞やテレビ、雑誌やラジオなどの広告費の推移をグラフ化してみる(2010年分反映版)

2011/03/02 06:45

新聞先に【2010年の日本の総広告費前年比マイナス1.3%・5兆8427億円…電通発表の「2010年日本の広告費」をグラフ化してみる】などで[電通(4324)]の発表資料【「2010年(平成21年)日本の広告費」(PDF)】を元に、媒体別広告費の変遷をグラフ化した。昨年同様の記事を掲載した後には、減退著しい新聞や雑誌を中心に、経済産業省のデータを基にした解説記事を掲載している。せっかくなので今年も、同じスタイルにのっとる形でデータの補完を行うことにした。

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元データは経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」から【長期データ】。これを元に、まずは特に動きが著しい新聞・雑誌について絶対金額をグラフ化する。

↑ 新聞と雑誌の広告費推移(億円)
↑ 新聞と雑誌の広告費推移(億円)(1988年-2010年)

雑誌と比べて新聞の方が変移が大きい事、ここ数年右肩下がりなのは両紙共だが、特に新聞の下げは今世紀に入ってからすでに起きているのが分かる。また直近では、2008年-2009年の下げ幅と比べれば、2009年-2010年は緩やかな減少ぶりだったことが確認できる。

これをもう少し分かりやすいように、データ掲載元で残っている一番古い年数の1988年の広告費を基準値の「1.0」とし、その後各媒体がどのような変遷を見せたのかを計算したのが次のグラフ。例えば1988年に1000億円だったのが、1995年に2000億円にまで成長していれば、1995年の値は2.0(2000÷1000=2.0)となる。これなら各媒体の広告費市場の大きさの違いを気にせずに、個々の市場毎の変遷が把握可能となる次第。

↑ 1988年を1.0とした時の主要媒体の広告費推移
↑ 1988年を1.0とした時の主要媒体の広告費推移(1988年-2010年)

「プロモーションメディア広告」は2006年以降「インターネット広告」が引かれていることを考慮してほしい。その上で考察すると、

・新聞はラジオと共に1990年中盤から、他メディアの成長過程に乗り遅れている。その後も両者の下げ方は非常に似通っている。
・雑誌やテレビはプロモーションメディアと共に前世紀末までは同じような成長過程を見せている。
・2000年-2001年、今世紀に入ってから「雑誌とテレビ」と「プロモーションメディア」との間には差ができるようになった。前者は成長を止め、なだらかな下落、後者は成長を続ける。
・2005年以降雑誌とテレビは明らかに減少カーブを発現。しかしプロモーションメディアは景気全体が後退する2007年までは成長を続ける。
・2007年以降は景気後退のあおりを受け、どのメディアも下落。特に雑誌は下げ幅で先行する新聞やラジオに追いつくほどの勢い。
・2010年の最新データでは、やや持ち直しを見せるテレビやプロモーションメディアと、減少を続ける新聞、雑誌、ラジオとの間で動きが二分される状況がはっきりと認識できる(緑の丸部分)。

などの傾向が見て取れる。特に注目したいのは2つのターニングポイント。つまり「2000年-2001年」(赤丸部分)と「2004年-2005年」(青丸部分)。後者は【民放連曰く「諸君らが愛してくれたテレビの広告費は減った。何故だ!?」】で解説しているように、ライバルたるインターネット広告の登場が影響したのは明らか。

もう一つ気になるのは「2000年-2001年」。景気後退期に突入するあたりで広告費が減るのは理解できるが、その後に「雑誌やテレビ」と「プロモーションメディア」との違い・分岐がはっきりと確認できたのもこのタイミング。色々と理由は想定できるが、そのひとつが【携帯電話の普及率推移をグラフ化してみる】で説明している携帯電話(インターネット機能云々は抜きにした)の普及率。ちょうどこの時期に携帯電話の普及率が50%を超え、「二人に一人がケータイ保有」状態となっている。

「携帯電話が普及しはじめたからテレビと雑誌への注力時間、費用投入が減り、結果として購入者減少、媒体力低下、広告費の削減につながった」……と考えるのは、このデータのみでは確定するまでに至らない。しかし要因の一つとしては十分に納得のいく話ではある。



一人のひとに与えられた一日は24時間しかない。【働けど働けど……収入と税金の変化をグラフ化してみる】にもあるように、可処分所得はこの十年来ほとんど変化していない。その事実を考慮すれば、携帯電話やインターネットに時間やお金を割くようになることで、それより優先順位が低いものへの注力が減らされるのは当然の話。順番としては「元々新聞やラジオは成長を止めていたが携帯電話・インターネットの普及で下落に加速がついた」「テレビや雑誌は携帯電話の普及で成長を止め、インターネットの普及で減退をはじめるようになった」と見てよいだろう。もっとも直近では、ややテレビに対する注力が増加しているようでもあるが(これは世代間の人口構成比も多分に影響していると考えられる)。

これらはあくまでも「広告費の売上」ベースでの話。例えば新聞なら新聞自身の売上などのように、他にも収益をあげる手段はいくらでも存在する。とはいえ、広告費をかけてまで広告を載せたい・打ちたいメディアには、それなりの集客力・媒体力がある。必然的に媒体そのもののセールスなどとも深い関係が考えられる。今回の「広告費推移」も、各個の媒体の勢いの動向と大きな差異はないものと見て良いだろう。

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