休刊報道のあった「ザ・スニーカー」の印刷証明付き部数をグラフ化してみる

2011/02/26 19:35

先に【「ザ・スニーカー」休刊、マイコミ報じる】で第一報をお伝えしたが、角川書店が発行している隔月刊のライトノベル誌『ザ・スニーカー』の休刊が報じられた。2011年2月28日発売の『the Sneaker(ザ・スニーカー)2011年04月号』が最終号になるという。今回はこの「ザ・スニーカー」の印刷証明付き部数をグラフ化してみることにした。

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同号の正式な発売日は28日であるが、今件が伝えられたのは25日。現時点ではザ・スニーカーや角川書店の公式サイトに正式に発表はまだ無く、恐らくは早売りを入手した上で編集部に確認を行い、確証を得た上での報と推定される。元記事にはザ・スニーカーの坂本浩一編集長による、

「今後は文庫ラインアップのさらなる拡充、ウェブの活用や電子書籍での展開など、読者のニーズに迅速に対応した企画を強化していきますので、応援のほどよろしくお願いいたします」

という、今件報道が正しい事を編集長自らが裏付ける表記が見られる。

「ザ・スニーカー」は1993年4月に文芸誌の「野生時代」の増刊として、ライトノベル系文庫の「角川スニーカー文庫」における母体雑誌の立ち位置として創刊。アニメ化などでさらに盛り上がりを見せた『涼宮ハルヒの憂鬱』をはじめ、数多くの小説・ライトノベルを輩出している(昨今ではアニメ化予定の『ダンタリアンの書架』が表紙に描かれるなどで大いにプッシュされている)。

今回の休刊理由については特に説明は記事上には無い。そこで「部数減少が起因では」との推測から、【ゲーム・エンタメ系雑誌の部数変化をグラフ化してみる(2010年10月-12月データ)】などでも用いている、社団法人日本雑誌協会が公開している「印刷証明付き部数」のデータをもとに、「ザ・スニーカー」の動向をグラフ化してみることにした。

↑ 「ザ・スニーカー」印刷証明付き部数(万部)
↑ 「ザ・スニーカー」印刷証明付き部数(万部)

販売部数が大いに伸びているポイントを確認すると、いずれもグラフ内吹き出しで説明しているように、「涼宮ハルヒの憂鬱」関連の付録がついていたり、話題を呼んだ映画『涼宮ハルヒの消失』関連情報の独占公開など、ファンなら「この号だけは確保しよう」という内容となっている。これが印刷部数を底上げした要因と見てよいだろう。

また、中期的に見れば確かに印刷部数は減少傾向にあるものの、『ダンタリアンの書架』のアニメ化や、ようやく新刊発売が決定した『涼宮ハルヒの憂鬱』の今後の展開(、そしてそれらを絡めた企画次第で容易に部数跳ね上げ効果が期待できること)を考えれば、”「角川スニーカー文庫」における母体雑誌”という主たる存在意義は失われていない。

にも関わらず今回角川側が「ザ・スニーカー」の休刊を決定したのは、先の編集長の文言にある「ウェブの活用や電子書籍での展開など、読者のニーズに迅速に対応」がカギだと思われる。

すでに【角川とグリーが業務提携、GREEでソーシャル電子書籍サービスや「涼宮ハルヒ」のソーシャルゲームを展開へ】【角川グループ、マルチプラットフォームのコンテンツ提供サービス「Fan+」にコンテンツショップをオープンへ】でも伝えているが、今年に入り角川側は自社コンテンツのデジタル方面への展開を加速化している。この流れの中で、コンテンツ制作・管理・運営の体制をよりデジタル面に向けるためのアクションの一つとして、紙面としての「ザ・スニーカー」の休刊と、デジタル方面へのさらなる展開に方針変化を行った、と考えれば道理が成り立つ。

実のところこのような内情が公式に発表されることは滅多にない。世間一般に知らされるのは、「休刊」という事実だけ。書を愛する立場の一人として、媒体は変われど「ザ・スニーカー」(の魂)のさらなる発展と輩出作品の躍進を、ただひたすら願うのみである。

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