リーマンショックからの回復顕著、だが…20余年の媒体別広告費動向を探る(2011年発表)

2011/02/24 12:00

[電通(4324)]は2011年2月23日、日本の広告費に関する調査報告書を発表した。それによると、電通推定による2010年の日本の総広告費は前年比1.3%減の5兆8427億円であることが明らかにされた。景気後退による企業の予算縮小を受けて、広告の出稿も減少。結果として広告費全体額も減ってしまった。ただしここ数年来で比べれば、下げ幅は縮小傾向にある。今報告書では広告業界に関する多種多様なレポート・データもあわせて掲載されており、業界の動向を知るのにはよい資料といえる。今回は1985年以降の主要メディア毎の広告費の移り変わりについて、グラフ化し内容を精査してみることにする(【発表リリース、PDF】)。

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今資料では1985年以降の主要媒体別の広告費一覧(あくまでも電通の推定によるものだが)が掲載されている。そこでそれを基にその推移をグラフ化したのが次の図。

↑ 媒体別広告費とGDPの移り変わり(1985-2010年)(単位:億円)(右軸:GDP)(電通推定)
↑ 媒体別広告費とGDPの移り変わり(1985-2010年)(単位:億円)(右軸:GDP)(電通推定)

計測基準の変更により2004年と2005年との間には断続性が生じている(正確には雑誌、インターネット広告、SP広告/プロモーションメディア広告の3項目)。特に「SP広告/プロモーションメディア広告」では大きな差異が両年間に生じているが、それを念頭においた上で確認してほしい。

このようにグラフ化してみると、(断続性の部分は別にしても)オーソドックスな「SP広告/プロモーションメディア広告」がそれなりに順調な伸びを示していたが、「金融危機」以降は下降傾向にあること、今世紀に入ってからまともな成長を見せているのは「衛星メディア」と「インターネット広告」だけであることが分かる。

「雑誌」はそれでも2005年に少々ふくらんだようにも見えるが、これは「断続性」によるもので、むしろその差分が生じたあとはじわりと下げている。「新聞」は多少の起伏はあれど1990年代前半にピークを迎えた以降は横ばい、2000年以降は急速に減少を見せているのが確認できる。「テレビ」は1990年代後半にピークを迎えたあとに横ばい、ここ数年で落ち込み、昨年2010年にようやく底打ち感を感じさせる動き。

いずれの「伸び悩んでいる媒体」にも共通していえるのは、1990年代後半(媒体によっては前半)にピークを迎えたあと(広告費の)成長が止まっており、 2002-2003年あたりから下げ基調を見せていること。この「下げ基調」の時期は携帯電話やインターネットの普及など、新メディアが世間一般に浸透し始めた時期と一致する。

ちなみに次の図は、各メディア毎の広告費「前年比」。最初に示したのは全項目で、あまりにも起伏が激しいインターネットと衛星メディアのものを除いたのが二枚目の図。

↑ 媒体別広告費の移り変わり(1985-2010年)(前年比)(電通推定)
↑ 媒体別広告費の移り変わり(1985-2010年)(前年比)(電通推定)

↑ 媒体別広告費の移り変わり(1985-2010年)(前年比)(電通推定)(衛星メディア、インターネット除く)
↑ 媒体別広告費の移り変わり(1985-2010年)(前年比)(電通推定)(衛星メディア、インターネット除く)

2004-2005年の間に断続性があるのでその部分がおかしな形になっているが、それをのぞけば前世紀(20世紀、-2000年)まではGDPの変化とほぼ連動する形をとっていた。しかし21世紀に入ってからは「上昇時期における」連動性を失い、一貫して下げ基調にあることが分かる。これは【民放連曰く「諸君らが愛してくれたテレビの広告費は減った。何故だ!?」】で民放連が指摘していたのとまったく同じ結果といえる。しかもその一方、2008年以降の金融危機の下落傾向時には共に落ちており、「上げる時には伴わず、下げる時には一緒に下がる」という、該当者にしてみれば非常に嬉しくない状況。



「広告費全体が削られているから既存メディアの広告費も減っている」という主張はさほど筋が通らない。今回は掲載を略したが元データには総広告費も載っており、それによれば総広告費はGDPの伸びにほぼ連動する形で上昇。1985年と比べると2010年のそれは2倍近くに達している。

また、この数年の動きを良く見直すと、不況に伴う広告費そのものの削減を良い機会ととらえ、各企業による広告メディアに対するリバランスが行われている雰囲気がある。前年比でGDPの回復が見られた2010年において、前年比プラスを維持したインターネット広告、衛星メディア、テレビと、マイナスのままのその他メディアとの間には、企業側が考えるウエイトに、これまで以上の差がつけられている気がしてならない。

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