週刊現代がプラス17.1%と大躍進…諸種雑誌部数動向(2010年10-12月)

2011/02/17 06:41

先に【少年・男性向けコミック誌の部数変化をグラフ化してみる(2010年10月-12月データ)】などで【社団法人日本雑誌協会】が2011年2月10日に発表した、2010年10月から12月分の主要定期発刊誌の販売数を「印刷証明付き部数」ベースで公開したデータを元に、いくつかのグラフを生成した。今データは定期的に更新され、当方でもいくつかの雑誌について丸一年以上のデータが取得できたため、季節属性にとらわれない「前年同期比」の値を出せるようになったことは、これまでの記事でお伝えした通り。今回は番外編として、当サイトで定点観測しているデータ以外のいくつかの雑誌について、「前年同期比」における部数推移をグラフ化してみることにした。雑誌不況はどこまで、どのジャンルに浸透しているのか、どこまで進行しているのか、ある程度はつかみとれるに違いない。

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データの取得場所の解説、及び「印刷証明付部数」などの用語説明については、一連の記事まとめ【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】で説明されている。そちらで確認をしてほしい。

まずは一般週刊誌。状況としては前期とあまり変わらず。

一般週刊誌印刷実績変化率(2010年10-12月、前年同期比)
↑ 一般週刊誌印刷実績変化率(2010年10-12月、前年同期比)

一般週刊誌印刷証明付き部数(2010年10-12月)(万部)
↑ 一般週刊誌印刷証明付き部数(2010年10-12月)(万部)

今回計測分では前期比(前年同期比では無い・グラフは略)でプラスに転じている雑誌は1誌「週刊ポスト」のみ。今グラフのように前年同期比で見ると、その「週刊ポスト」以外に「週刊現代」が順調な伸びを見せ、それ以外は押し並べて軟調であるのが分かる。

「週刊現代」は前年同期が48.3万部、今期が56.5万部と1年間で10万部近い増加で、昨今の出版不況の中ではかなり稀有な存在。2009年6月に編集長が変わり、編集方針の変更を行ったのがプラスに働いていると思われる。もっとも手元のデータを見る限りでは、「2009年7-9月期」「2010年4-6月期」の2回に分けて大きな部数増加が確認できるので、編集長の交代だけでは説明が付きにくい気がする。

それにしても6期連続して前年同期比でマイナス10%超えを見せた「SPA!」や「FLASH!」などは先行きが心配……と毎回この言い回しを続けているが、そろそろ動きが無いと後が無い。やはり「写真週刊誌」という紙媒体は、インターネットや携帯端末に取って代わられる存在なのだろうか。

続いて育児系雑誌。

育児系雑誌印刷実績変化率(2010年10-12月、前年同期比)
↑ 育児系雑誌印刷実績変化率(2010年10-12月、前年同期比)

育児系雑誌は比較的手堅いジャンルだったはずだが、今期は前回掲載時と比べて多少改善はされているものの、辛い状況に変わりは無い。「プレモ」は前回同様前年同期比で大きな伸びを見せており、(グラフは略するが)前期比でもプラス。部数自身も最新データで約5万9000部とそれなりの数のため、少数による「ぶれ」ということでもない。

また、グラフの掲載は略するが「ひよこクラブ」と「edu(エデュー)」は(前年同期比では無く)前期比でプラス10%近い伸び率を見せている。前者は『2010年11月号』の布絵本や離乳食の別冊付録、後者は『2010年12月号』のストーリー性に優れた「子供にお勧めの本」の紹介、『2011年1月号』の付録「同音異義語 辞書カルタ」が好評を博したようだ。

食・料理・レシピ系雑誌。内食・中食への注力が高まる一方の昨今、ニーズは強まるばかり、のはずだったのだが、全般的に伸び悩み状態なのは前期と変わらず。インターネットにお客を奪われているのかもしれない。

食・料理・レシピ系雑誌印刷実績変化率(2010年10-12月、前年同期比)
↑ 食・料理・レシピ系雑誌印刷実績変化率(2010年10-12月、前年同期比)

赤一色でまるで今年の酷暑のように灼熱化した前回と比べ、やや状況は改善している……とはいえ、マイナス値に違いは無い。特に前回同様「bonmerci! little」の減少ぶりが気になる。前回の-35.5%より多少悪化した-36.0%とは尋常ではない。この1年の間に約9万5000部から6万1000部への落ち込みは、まさに急降下状態。

エリア情報誌。

エリア情報雑誌印刷実績変化率(2010年10-12月、前年同期比)
↑ エリア情報雑誌印刷実績変化率(2010年10-12月、前年同期比)

対象雑誌は前回に続き今回も全部マイナス。携帯情報端末、特に画像が大きく多彩な情報を提供しうるスマートフォンが浸透する昨今、これまでのスタイルを維持しただけではエリア情報誌の維持は難しい。

【イヌとネコ、耳や鼻が良いのはどっち?…イヌとネコのトリビアたち】にもあるように、必ずといってよいほど対で紹介される「犬猫」双方の専門誌、「いぬのきもち」と「ねこのきもち」。

犬猫雑誌印刷実績変化率(2010年10-12月、前年同期比)
↑ 犬猫雑誌印刷実績変化率(2010年10-12月、前年同期比)

「いぬのきもち」「ねこのきもち」印刷証明付き部数(万部)
↑ 「いぬのきもち」「ねこのきもち」印刷証明付き部数推移(万部)

今回も前回同様、前年同期比では「ねこのきもち」の勝利(……とはいえ両紙ともマイナス)。ただし直近二期では両誌とも印刷部数を減らしており、出版業界全体の不調は犬猫業界にも影響している、という感はある。ちなみに直近期の発行部数は「いぬのきもち」14.7万部・「ねこのきもち」10.9万部で、「いぬ」の勝ち。

最後に小学館の「小学●年生」シリーズ。以前【「小学五年生」「小学六年生」が休刊・来年春に学習まんが誌「GAKUMANPLUS」を創刊へ】で報じたように、「小学五年生」「小学六年生」は休刊しておりすでに無く、データとして提示できるのは「小学一年生」から「小学四年生」まで。

「小学●年生」シリーズ印刷実績変化率(2010年10-12月、前年同期比)
「小学●年生」シリーズ印刷実績変化率(2010年10-12月、前年同期比)

今回も該当雑誌すべてがマイナス。しかも全部20ポイント以上の下げ幅で、特に「小学四年生」は半数以下となってしまっている。前回「かなり不安視される」という表現を用いたが、今回はそれどころでは無いレベルといえる。

ちなみに「小学六年生」「小学五年生」の代わりに登場した隔月刊誌「GAKUMANPLUS」は2010年4月15日に創刊。すでに三期分のデータは揃っているはずなのだが、社団法人日本雑誌協会のデータベースではその姿を確認できない。代替誌として登場した同誌が顧客層のニーズにマッチしているのか否か、確認したいところなのだが。



以上ざっとではあるが、定点観測の対象外となっている各種雑誌について、前年同期比の印刷実績の推移をグラフにしてみた。ほとんどが前年同期で少なくとも1割前後の売れ行き減な状態が確認できる。

意外なのはニーズが高い(【教育費 生活苦でも 減らしません 苦しい時こそ 子への期待を】などで触れているが、子供にかける費用は削られない傾向がある)にも関わらず、育児系雑誌・小学生向けの学習雑誌が大きく落ち込んでいること。育児・幼少教育を本で学ぶ・学ばさせる人が減っているのか、あるいは情報取得元をインターネットにスライドしているのか、その因果関係まではつかめないが、注目すべき傾向といえる。

一方で「プレモ」の堅調な伸び具合には、育児系雑誌だけでなく雑業界全体における、低迷から抜け出すヒントのいくつかが見え隠れしている気がする。合わせて紹介した「ひよこクラブ」との共通点といえば、やはり目に留まるのは「優れた付録、特集」。同じような雑誌、そして情報という観点では山ほど無料で手に入るインターネットが浸透している以上、「オンリーワン」が求められているということか。

雑誌低迷の原因の多くはメディアの多様化、新メディアと比べた上での相対的なデメリットが目立つ点にある。しかしそれと同時にメディアの仕組み・システムそのものではなく、内部でメディアを支え・構築する人たち(特に上層部)の「金属疲労」も否定できない。何度か随所で用いている言い回し「戦線から遠退くと楽観主義が現実に取って代る。そして最高意志決定の場では、現実なるものはしばしば存在しない。戦争に負けている時は特にそうだ」がそのまま当てはまる、その状態に浸かっている状況にある。

果たして彼らは、すでに雑誌業界が最前線にあることを「本当に」認識しているのだろうか。残された時間はあまり無い。

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