「週刊ダイヤモンド」「週刊東洋経済」が生活密着型特集で伸びる…ビジネス・マネー系雑誌部数動向(2010年10月-12月)

2011/02/16 06:20

【社団法人日本雑誌協会】は2010年2月10日、2010年10月から12月分の印刷部数を公表した。主要定期発刊誌の販売数を「印刷証明付き部数」ベースで公開したデータで、各紙が発表している「公称」部数より正確度が高く、各雑誌の現状を「正確に」把握できるデータといえる。今回は当サイトのメインテーマにもっとも近い「ビジネス・マネー系雑誌」についてデータをグラフ化し、前回からの推移を眺めることにする。

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データの取得場所の解説、及び「印刷証明付部数」などの用語説明については、一連の記事まとめ【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】で説明されている。そちらで確認をしてほしい。

それではまず、2010年の10-12月期とその前期、2010年7-9月期における印刷実績を見てみることにする。

2010年の10-12月期とその前期、2010年7-9月期におけるビジネス・金融・マネー誌の印刷実績
↑ 2010年の10-12月期とその前期、2010年7-9月期におけるビジネス・金融・マネー誌の印刷実績

【少年・男性向けコミック誌の部数変化をグラフ化してみる(2010年10月-12月データ)】の週刊少年ジャンプの「郡を抜く売れ行き」のように、雑誌名通り「プレジデント」が断トツで印刷部数が多い状況に変化はない。また、いわゆる「季節特性」(前期は夏休みを含むので通勤・通学の際に読まれる雑誌は減少する傾向がある。そこで今期はその反動があるはず)は、いくつかの雑誌に影響が出ているようだ。ただ、中期的な減少ぶりが季節特性云々を超えているのが現況で、前回に続き今回もマイペースで部数を減らしているものも多い。

続いて各誌の前期・後期の販売数変移を計算し、こちらもグラフ化する。要は約3か月の間にどれだけ印刷部数(≒販売部数)の変化があったかという割合を示すもの。よほどの「イベント」が発生するか、あるいはたまたま定期的な印刷部数見直し時期に当たらない限り、3か月間で大きな変化は見られないはず。

雑誌印刷実績変化率(ビジネス・マネー系)
↑ 雑誌印刷実績変化率(ビジネス・マネー系)

前期比伸び率で大きなプラスの値を見せた「週刊ダイヤモンド」と「週刊東洋経済」。コンビニやキオスクでもよく見かける両誌だが、昨年後半以降雇用問題やスマートフォンなど、生活に身近な問題と経済を上手く絡めた特集が多いように思われる。特集のテーマを表紙に大きく描いて注目を集め手に取らせ、資料性の高さで購入を決意させるという、黄金パターンに合致した感はある(個人的な感想を加えるとすれば、特集内容によってはインターネット上のクチコミで広まっている部分も一部にあるような気がする)。

それ以外は「THE21」がプラスである以外はすべてマイナス。前述の「季節特性」があるにもかかわらず、これだけ大きくマイナス値を示しているのは少々残念。

さて一連の定点観測を続けたことでデータ蓄積量も一年分を超え、「前年同期比」のデータを算出することができるようになった。今回も「季節属性」を考慮せずに年ベースでの動向をつかみとれる「前年同期比」のグラフも生成し、掲載する。

雑誌印刷実績変化率(ビジネス・マネー系、前年同期比)
↑ 雑誌印刷実績変化率(ビジネス・マネー系、前年同期比)

不景気な昨今において経済誌は「情報武装をするために欠かせない『武具』」としての立ち位置を持っているはず。しかし今期は前期以上に状況はひどく、前年同期比でプラスを見せた雑誌は皆無という状態になった。「週刊ダイヤモンド」はやや状況の悪化を食い止めている雰囲気はあるものの、その他の雑誌は押し並べて悪い状態のまま。「武具」を「武具」として見てもらえていないのか、それともサビついていると判断されたのか。



2008年秋の「リーマンブラザーズショック(リーマンショック)」で多くの人が経済情報に注目したを時期を直近における天井とする形で、それ以降は金融・経済系のウェブサイトにおける(確証度・知名度・権威度の高い新聞社・法人系サイトを中心にした)アクセスの増加傾向は速度をゆるめ、あるいは減少に転じている。しかしパソコンや携帯電話、スマートフォンなど各種モバイル端末からアクセスできるインターネットメディアへの、紙媒体からの読者移行の流れは加速を続けている。特に日々情勢が変化する経済系ジャンルにおいては、記事の作成と読者への展開の間に時間差が生じる雑誌の不利さは他のジャンル(漫画や趣味系の雑誌)の比では無い。経済の流れが加速化する昨今においては、今ジャンルのインターネット上での情報展開はますますその重要度を増しつつある。

頑なに古い体制ばかりのみを固持することなく、現状を正しく認識し、「紙媒体・雑誌ならではの内容、雑誌にしかできない情報提供・読者へのサービスとは、そしてその仕組みとは何だろうか」という基本原理に立ち返ること。あるいは「新しいメディアと相乗効果を生み出せる仕組み、アイディアは無いだろうか」といった模索をすること。さらにそれらの答えを見つけ出して躊躇することなく実践し、読者に受け入れられるように自らの姿かたちを変えていくこと。ビジネス・金融・マネー誌にはその「進化のための努力」が求められている。環境の変化に対応・進化できない生物が種としてどのような結末を迎えるかは、これまでの歴史が十分すぎるほどに語っているはずである。

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