小売業の売上推移をグラフ化してみる(2010年12月分まで版)

2011/02/13 07:20

グラフ先日【ガソリンスタンド数の推移をグラフ化してみる】で必要なデータを探していた際に、その探し場所の一つとして経済産業省の商業動態統計調査を当たった。そのデータを色々と調べているうちに、以前、小売業関連の全体的な動向をいくつかまとめていたことを思い出した。ある程度期間も過ぎていることもあり、良い機会なのでこれらのデータを更新することにした。今回は小売業全体の流れを追いかけることにする。

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データ取得元は【経済産業省の商業動態統計調査】。ここから【統計表一覧】を選び、2010年11月までは時系列データを、2010年12月は速報のデータを抽出。それぞれを利用し、一つのデータとしてまとめる。

抽出する項目は、「商業全体」「小売業全体」「大型小売業」「百貨店」「スーパー」「コンビニ」。後者4つは既存店に限定する。新規参入店も含めると、単なる店舗数の増加が売上増加に加算されてしまうからだ。また、コンビニのデータが1998年4月以降のものしか存在しないので、それ以降のものを使うことにした。

早速月次ベースでグラフ化したのが次の図。


主要小売業業態別売上前年同月比(1998年4月-2010年12月、2010年12月は速報値)
↑ 主要小売業業態別売上前年同月比(1998年4月-2010年12月、2010年12月は速報値)

本当に大まかな動きは把握できるが、細かい部分までは少々難儀な形となった。しかしそれでも、

・2003年以降の景気回復期では商業全体も前年同月比でプラスの値を示している。
・小売業は2003年以降の景気回復期でも大きなプラスは無い。ほぼ前年同月比プラマイゼロ付近を行き来している(a)
・大型小売業、百貨店、スーパーなどは前世紀末から前年同月比で縮小の傾向(マイナス圏を推移)。
・2008年後半以降の各業態の売上減が急速な形を見せている。特に商業全体の落ち込みが著しい(b)
・コンビニは(b)の時期でもプラスを維持していたが、2009年後半期にはやはりマイナスを見せる。直近数か月は大きな上下が確認できる(c)

などの傾向が確認できる。

(a)の、「商業全体が売上を増やしているのに小売業の売上増加が今ひとつ」なのは、卸売業の伸びが著しいため。逆に(b)で商業全体の急降下ぶりのわりには各種小売業の下げ方がそれほど大きくないのは(それでもマイナス5-10%だが)、やはり卸売業の縮小ぶりが急激なもののため。(c)のコンビニ堅調、そして直近の大きな上下の理由はずばり前者が「タスポ特需」、後者がたばこ値上げの駆け込み需要とその反動によるもの。

もう少し期間を区切って、かつ「金融危機」が表面化した2007年夏直前からを盛り込む形でデータを抽出し、グラフを再生成してみる。

主要小売業業態別売上前年同月比(2007年1月-2010年12月、2010年12月は速報値)
↑ 主要小売業業態別売上前年同月比(2007年1月-2010年12月、2010年12月は速報値)

大型小売店や百貨店、スーパーなどの業態は元々低迷していたものの、金融危機による景気後退をきっかけに売上下落率が大きくなったこと、しかし(輸出低迷による卸売業に大きく影響を受けた)商業全体の落ち込み具合と比べれば、まだ下げ幅は小さいこと、そして直近に至るまで売上の回復までには至っていない(前年同月比でのマイナス値は小さくなっているが、マイナスなのに違いは無い)ことが分かる。一方コンビニは、奇跡的なタイミングで「タスポ特需」が発生したおかげで金融危機真っ最中の一年強をむしろプラスで維持する事ができ、その後反動で落ち込むも低迷期は1年半ほどの期間で済み、再び安定期に移行(とはいえたばこ値上げによる乱高下の中だが)しているのが確認できる。

スーパーやデパート、百貨店の業績が軟調なのは、何も昨今の景気後退をきっかけとするものではなく、元々根底の問題として存在していたこと、景気後退は単にその縮退化を加速させる要因でしかなったことも分かる。何しろ直近の景気回復期である2003年以降においても、前年同月比でマイナスの売上を継続していたのだから。

ちなみにグラフ化は略するが百貨店や大型小売店、スーパーの統計データは1988年以降から存在する。前年同月比でマイナスを頻繁に示すようになったのは、1992年以降しばらくの間。そして1997年以降は継続的なものである(【スーパーやデパートの主要商品構成比の移り変わりをグラフ化してみる】を見ると、そのタイミングで売上構成に大きな変移が確認できる)。

やはり結果論でしか無いが、仮にこの時、遅くとも1997年か1998年あたりに、各業態、特にスーパーや百貨店が危機感を明確につかみとり、適切な対応策を見出し、対処を打っていれば、昨今の景気後退時期においても、これほどまでの売上低迷は見せなかったと推定される。今できることは状況改善が不可避となった現状をポジティブに考え、むしろ好契機ととらえ、積極的にメスを入れて体質改善を図ることであるといえよう。

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