アメリカの新聞発行部数などをグラフ化してみる(2009年分)

2011/02/09 06:45

グラフ先に【アメリカの新聞広告の売上推移をグラフ化してみる(2009年分まで)】で、アメリカの新聞協会「Newspaper Association of America(NAA)」が公開しているデータを基に、アメリカの新聞における広告費動向を確認した。その場所には他にも新聞に関するいくつかのデータが盛り込まれており、資料性が極めて高い。今回はそこから発行部数などを抽出してグラフ化し、アメリカでの新聞業界の動向を眺めることにする。

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データ取得元はアメリカの新聞協会「Newspaper Association of America(NAA)」のサイト内にある、【Trends & Numbers】のコーナー。ここから「Circulation」、そして「Total Paid Circulation」を選べば1940年以降の(年単位は1945年以降)発行部数や発行紙数などが確認できる。

まずはNAAによる新聞購読者の年齢階層。古いデータ(2006年)しか掲載されていないが、大まかな動向は確認できる。

↑ アメリカの新聞読者層(2006年)
↑ アメリカの新聞読者層(2006年)

インターネットによって新聞のシェアが大きく「食われる」のは2007年以降のことだが、すでに2006年の時点で「若年層が新聞を避けている」「新聞は高齢者向き」なことが分かる。日曜版がやや平日版(通常版)と比べて若年-中堅層にウケが良いのは、エンタメ性が強いのとクーポンのおかげ。

それではまず、21世紀に入ってからの発行紙数と発行部数をグラフ化する。「紙数」とは発行されている新聞の種類の数。例えば読売・朝日・毎日・産経・日経しか無いとすれば、「紙数」は5紙となる。

↑ アメリカの新聞紙数
↑ アメリカの新聞紙数

↑ アメリカの新聞発行部数(千部)
↑ アメリカの新聞発行部数(千部)

「紙数」全体は漸減という程度だが、夕刊紙が勢いよく減り、その分朝刊紙がその穴埋めをしていることが分かる。採算ベース・読者ニーズという点でより危うい夕刊紙がバタバタと倒れているようすがうかがえる。

一方、「紙数」以上に「発行部数」の減少は著しく、【1年間で103万部減……新聞の発行部数などをグラフ化してみる(2010年分・新聞業界全体版)】で触れた日本の新聞業界以上に火の車状態なことが分かる。同じ領域で「前年同期比」を算出すると、それがより一層把握しやすくなる。

↑ アメリカの新聞発行部数(前年比)
↑ アメリカの新聞発行部数(前年比)

夕刊は元々「潜水艦の潜望鏡深度状態」だったのが、2003年以降は「深々度潜航」へと移行。朝刊もほぼ同じタイミングで下落し始め、2007年あたりからはフリーフォール状態。インターネットによるニュースの配信が活性化し、紙媒体のシェアを本格的に奪い始めたのが2007年頃だから(傾向は2004年-2005年あたりから見え始めていた)、「夕刊は元々衰退傾向にあったのがインターネットによって加速化した」「朝刊はインターネットによるニュース取得のスタイルが普及するのと連動して減少傾向を強めつつある」と見てよい。さらに2007年以降は不景気によるところも大きい。

これを長期データで見ると、新聞のすう勢が単にインターネットの普及によるものだけではないことが分かる。

↑ アメリカの新聞紙数(長期データ)
↑ アメリカの新聞紙数(長期データ)

↑ アメリカの新聞発行部数(長期データ)
↑ アメリカの新聞発行部数(長期データ)

↑ アメリカの新聞発行部数(前年比)(長期データ)
↑ アメリカの新聞発行部数(前年比)(長期データ)

夕刊紙の紙数減少は昨今に始まった話ではなく、1970年代後半からの継続でしかないこと、朝刊紙は漸増しているが夕刊紙の減少ぶりを補うことはできず(それだけ紙数的に市場動向にあわせて適性化したともいえる)、全体としては減少を続けている。

また新聞の発行部数は夕刊紙の減少・朝刊紙の増加に合わせてそれぞれ減少・増加をしているが、1990年代後半には朝刊紙の部数増加も止まり、以降は減少の一方。インターネットそのものの普及やインターネット経由でのニュース取得の浸透「以前」から、新聞周囲の環境が厳しさを増していたのは、日本と同じである(【アメリカの人種別出生率の詳細をグラフ化してみる】にもあるように、アメリカの合計特殊出生率は人口置換水準前後を行き来しており、人口の減少が新聞部数の減少につながるとする推論は成立しない)。



新聞とグラフ数字を見る限りでは日本同様にアメリカの新聞業界においても、元々規模の縮小や構造変化の動きがあり、インターネットの普及によるニュース取得スタイルの社会的な環境変化が、業界周りの動向を加速させただけに過ぎないことが分かる。そして21世紀に入ってから、特に2005年-2007年以降の動きはこれまでに無かったレベルのものであるのも確認できる。

今後、例えばインターネットが使用できなくなるなど環境の劇的な変化がない限り、この流れを押しとどめることは不可能と考えて間違いない。紙媒体における新聞(のニーズ)が無くなることは無いが、さらなる再編を求められることは誰の目にも明らかといえよう。

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