紙媒体すべてマイナス、オンラインも成長に陰りが…米新聞社広告費動向(2010年3Q)

2011/02/08 12:00

先に【アメリカの新聞広告の売上推移をグラフ化してみる(2009年分まで)】で、アメリカの新聞協会「Newspaper Association of America(NAA)」が公開しているデータを基に、アメリカの新聞における広告費動向を確認した。年ベースでは2009年までしか収録されていなかったが、四半期(Q)ベースでは第3四半期、つまり2010年6月-9月分までのものが用意されている。それを見ると2009年までは下落一本だった同業界においても、復調の様子が確認できるものとなっている。今回はその部分について検証することにしよう。

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データの取得場所や広告の種類に関する説明はまとめ記事【定期更新記事:米新聞社広告費動向(Q単位)】で説明されている。そちらで確認をしてほしい。

21世紀に入ってからは、2009年までは米新聞の広告収入は右肩下がりだったのは以前の記事でお伝えした通り。

↑ 米新聞の広告収入推移(前年比増減率)
↑ 米新聞の広告収入推移(前年比増減率)(再録)

↑ 米新聞の広告収入推移(単位:100万ドル)
↑ 米新聞の広告収入推移(単位:100万ドル)(再録)

このグラフだけを見ると「アメリカでは新聞業界はオンラインも含めて、広告収入はいまだにフリーフォール状態なのだな」と思えてしまう。しかし2009年-2010年は直近におけるターニングポイントとなる年であり、実は2010年に入ってから各部門で差はあれど、回復基調(あるいは「下げ幅縮小」)を見せている。それを確認できるのが、次の直近2年間を対象にした、「四半期単位の」前年同期比における推移。

↑ 米新聞の広告収入推移(前年同期比増減率、直近2年間)
↑ 米新聞の広告収入推移(前年同期比増減率、直近2年間)

「クラシファイド広告」がもっとも立ち直りの”気配”を見せるのが早く、グラフが上昇傾向にあるのが確認できる。他の部門は2009年第3四半期までは漸減か横ばいだが、それ以降は急激な戻しを見せている。確かに2010年は2009年までと比べると雰囲気が変わりつつある。

グラフただし注意すべき点もいくつかある。まず一つは「前年同期比のワナ」。これらはあくまでも前年同期と比べての値に過ぎず、その対象となる期間のデータがあまりにも大きな下げっぷりを見せていた場合、その反動として「前年の同期と比べればまだマシ」に過ぎない可能性がある。実際、例えば「クラシファイド広告」の2008年第1四半期における前年同期比はマイナス34.9%で、それと比べればまし、という程度でしか無い。

そしてもう一つは、いくらグラフ上のカーブが右肩上がりになっていたとしても、それは単に「下げ幅が」「ましになってきた」に過ぎず、前年同期比としての値が「マイナス」である以上、額面(広告費)そのものは減少している事実に変わりはないということ。つまりプラスに転じているオンライン広告以外は、下げ幅が縮まっているとはいえ、広告費の額そのものが減少を続けているのに違いは無い(ギリギリセーフに見える「ナショナル広告」の2010年第3四半期はマイナス0.57%)。しかも2010年に入ってからの「戻し」は非常にゆるやかで、このままではマイナス圏に留まる気配すら見受けられる。



2010年の年ベースでのデータは、おそらくこの数か月以内には公知されるだろう。その際には改めて先の記事と合わせグラフを再構築し、動向を確認することにしよう。アメリカにおける景気そのものが上向く気配を見せる一方で、メディア周りの流れはそれ以上に大きく動いている。広告費の視点から見て新聞がどのように変移を見せるのか、気になるところだ。

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