店舗数は微増、在庫数はさらに増える…レコード・CDレンタル店舗数動向(2010年発表)

2011/02/06 12:00

CDレンタルショップ先日【ツイッター経由】で当サイトにて昨年掲載した、漸減するレコード・CDレンタル店舗数をグラフ化して精査した記事の2009年度分を参照される方がいた。「そういえばこのデータも一昨年のものであるし、そろそろ去年版が出ているのでは」と調べたところ、案の定2010年11月25日付けで【CDレンタル店調査 2010年度】が発表されているのが確認できた。そこで今回はこのデータを基に、2010年度(2010年6月末調査)におけるCDレンタル店の動向をグラフ化してみることにした。

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同調査は店舗規模・業態を勘案したサンプル調査方式で、960店を訪店調査した結果によるもの。それによれば2010年におけるCDレンタル店舗の特徴として、

・店舗数減少
・大型化再開
・アルバムCD増加、シングル減少
・書籍レンタル兼業店増加

などの傾向が確認できる。

店舗数減少は止まらず、そして数の減少と共に……
まずは店舗数の動向だが、これは一部【「日本のレコード産業2010」】のものを利用した。そして今回の【CDレンタル店調査 2010年度】のデータで補完している

↑ レコード・CDレンタル店数の推移(各年年末)
↑ レコード・CDレンタル店数の推移(各年年末、2010年は6月末時点)

ゆるやかなカーブを見せてはいるものの、減少の傾向を続けていることに違いは無い。これだけを見ると単純に業界そのものが縮小しつつあるように見えるが、単純な縮小ではないのが理解できるのが次のグラフ。

↑ CDレンタル店のコーナー別店舗面積(1店舗平均、平方メートル、コーナー別)※コーナーの重複計算のためか一部の年では全項目を足すと全体数以上になる
↑ CDレンタル店のコーナー別店舗面積(1店舗平均、平方メートル、コーナー別)※コーナーの重複計算のためか一部の年データでは全項目を足すと全体数以上になる

データが存在する1994年以降、「その他」の売り場も含めた平均店舗面積は年々拡大を続け、単純に「店舗数縮小」では無く「多様化・兼業化の促進」と「規模の拡大」(あるいは小規模店舗の統廃合、自然淘汰)が行われていたのが分かる。

2009年度は初めて店舗面積が前年比で縮小に転じており、特に「その他」部分の減少度が大きいのが確認できた。しかし2010年は再び大幅に、特に「その他」部分が増加を見せている。これは後述するように、ゲームソフトの販売や書籍のレンタルが増えていることに起因する。

1店舗あたりの在庫数は増加を続ける
レンタル用CDの在庫だが、シングルの減少・アルバムの増加という傾向に変わりは無い。ただし総数増加率は微々たるもの。一方で店舗数が減少しているので、逆算的に1店舗あたりの平均在庫数は勢いのある増加を止めていない。

↑ CD総在庫数(千枚)
↑ CD総在庫数(千枚)

↑ 1店舗平均在庫数
↑ 1店舗平均在庫数

各店舗側は在庫を増やし、多種多様なニーズに対応すべく努力しているように見える。

また、2002年-2003年以降はシングルCDそのものの売上急減(≒需要減退)に伴い、在庫をシングルからアルバムにスライドしている傾向が顕著なものとなっている。いまや在庫の大部分(2010年では93.4%)をアルバムCDが担っている状態。

兼業傾向にも変化が見える
さらに兼業率を見ると、興味深い動きが見られる。「CDレンタル専業」ではビジネス的に難しいことは昨年までと同じだが、買い取りの兼業率が減少し、コミック・書籍のレンタルの兼業率が明らかに増加している。

↑ CDレンタルショップの兼業状況
↑ CDレンタルショップの兼業状況

2008年度まではほぼ全業態の兼業率が増加していたが、2009年度に入ると元々急増状態にあった「コミック・書籍レンタル」、在庫の融通もしやすいためかほぼ全店が兼業している「中古CD販売」以外はすべて減少傾向を見せた。2010年度においては「ゲームソフト販売」がやや持ち直しを見せているものの、その他の動きは継続している。これらについては利用客の財布の固さが増し、娯楽を安上がりに済ませようとする姿勢にそった動きと考えれば、納得はいく。

また、上記グラフで店舗売り場面積について、「その他」部分の減少度が大きいとしたが、これが「他商品の新品販売や買い取りの兼業率が減少した」ことによるものとすれば、上手く説明できる。

さらにグラフ上には明記はしていないが、在庫のDVD化がますます促進され、ビデオテープの取扱い店舗も前年63.5%から45.8%、在庫数比率では映像レンタル全体の3%にまで過ぎない比率に落ちている。レンタルショップのワゴンセールで、レンタル用のビデオテープソフトが安売りされている状況を良く見かけるのを思い起こさせ、改めて映像再生の主役がすっかり入れ替わったことを再認識させられる。

そして以前の記事でも指摘したが、「購入CDを中古として売りに出すような『CD取得・保存への傾注度の低い人』たちはオンライン・デジタルの楽曲購入に流れてしまい、市場が拡大していない」の流れが拡大し、結果として買い取り窓口も減少する傾向にあると見ることもできる。



レンタルCDショップが、商品のオンライン販売や、楽曲そのもののデジタル販売の浸食を受けるなど環境変化の中で『大型化・多様化』によって最適化を図ろうとしている様子に大きな違いは無い。店舗数の減少が続いていることを考えると、これに『自然淘汰』も加わるのだろう。この流れは【書店数とその坪数推移をグラフ化してみる(2010年・「出版物販売額の実態」版)】【本屋の場所、大きさ別・雑誌やコミックの売上全体に占める割合をグラフ化してみる】でも指摘しているような、書店業界の動きと変わらない。

書店もCDレンタルショップも
大型化・多様化が
生き残る道
……のはずなのだが。
書籍にしてもCDにしても、そしてゲームにしても、他人の創造した文化的作品を楽しむという観点では何ら変わるところはない。その視点から見ると、インフラとしてのインターネットとデジタル系の商品が普及しつつある今、これらの商材(書籍・CD・ゲーム、そしてDVD)の物理的店舗が生き残るには、繰り返しになるが「文化メディア会館」をイメージさせるような大型・総合店舗化するか、本当の意味での専門特化店(例えば各分野のコンシェルジェ的な存在の店員がいるような)化するのが妥当な考えといえる。だからこそ、書店・本屋とCDなどの音楽系メディアの店舗が融合しつつあると考えれば、昨今の動向も納得がいく。

今後モバイル端末の普及率がさらに高まり、デジタル機器に慣れ親しんだ世代が歳を重ねていくにつれ、CDそのものやCDレンタルのニーズはますます減少していく。もちろんそれらが無くなるはずは無く、一定量は維持され続けるはずだが、状況に対する適正化への動きはまだしばらく継続することになるだろう。

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