カプコンの事業区分別営業利益率の推移をグラフ化してみる

2011/02/05 12:15

グラフ先日【『モンスターハンターポータブル 3rd』の貢献でカプコンの営業利益は165.1%増】でお伝えしたように、カプコンは2011年2月2日に2011年3月期第3四半期決算短信と共に業績報告を行い、同社の同年第3四半期連結業績は前年同期比で売上高プラス41.6%・営業利益プラス165.1%であることを発表した。主に『モンスターハンターポータブル 3rd』のセールスが堅調だったのが好業績の理由なのだが、発表資料には他にも各種業績関連のデータが盛り込まれており、興味深い内容となっていた。今回はその発表資料も含め過去数年間にさかのぼり、同社のセグメント(事業形態)別の営業利益率の推移を見ることにした。

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「(売上高)営業利益率」とは本業における儲け具合を意味する。具体的には本業の売上から原価が引かれ、これが「売上総利益」になる。そしてそこからその事業部門における「販売費」や「一般管理費」(俗にいう「販管費」)が引かれ、本業による儲けである「営業利益」が計算される。その「営業利益」を「売上高」で割って100分率で算出したのが「売上高営業利益率」。

・売上高-売上原価=売上総利益
・売上総利益-(販売費+一般管理費)=営業利益(本業の儲け)
  ・営業利益÷売上高=売上高営業利益率

「結局売上高営業利益率は何を意味するのか」という疑問があるだろう。この「売上高営業利益率」とは「その会社の本業(あるいは各事業部)でのお仕事の利益率」を意味する。例えばこの値が10%なら、1000円の商品を売るとその本業・事業部門では100円の儲けが出ている計算になる(本当はもっと細かい計算があるのだがここでは省略)。

「1000円の商品を売って10円しか儲からない(売上高営業利益率が1%)」と「1000円の商品を売って100円儲かる(10%)」なら、後者の方が効率よいビジネスをしていることになる。売上高営業利益率が高い方が「賢い・割の良い商売」をしているわけだ。

さてまずは直近、2011年3月期における業績を再掲載しておこう。

↑ カプコンの2011年3月期・事業セグメント別第3四半期連結業績(億円)
↑ カプコンの2011年3月期・事業セグメント別第3四半期連結業績(億円)(再録)

↑ カプコンの2011年3月期・事業セグメント別第3四半期連結業績(営業利益率)
↑ カプコンの2011年3月期・事業セグメント別第3四半期連結業績(営業利益率)(再録)

売上・利益の大半を占める「コンシューマ・オンライン事業」で『モンスターハンターポータブル 3rd』の躍進による売上増が全体にも大きく貢献したこと、営業利益率もかさ上げした事などが見て取れる。なお全事業の営業利益を足すと会社全体の営業利益を超えてしまうが、これは各セグメントに該当・配分していない全社費用29億3300万円が存在し(主に各事業に帰属しない一般管理費)、これが差し引かれているため。

実はカプコンでは2011年3月期からセグメント区分の一部変更をしている。それまで「コンテンツエキスパンション事業」に区分けしていた携帯電話向け配信事業をモバイルコンテンツとして独立計算させるなど、区分変更の前後で割り振りが違う項目が生じている。そこで直近の2011年3月期のセグメントを優先し、グラフを生成することにした。特に「アミューズメント機器」(旧コンテンツエキスパンション事業)の部分はセグメント変更前はモバイルが入っているため完全な連続性はないが、「大まかな推移」ということで甘受する。

生成する対象とした期間は、区分変更後の直近3/4四半期と、その前の3年分。営業利益率の推移は次の通りとなる。

↑ カプコン四半期別営業利益率推移(2011年3月期からセグメント区分変更)
↑ カプコン四半期別営業利益率推移(2011年3月期からセグメント区分変更)

ひと目で分かるのは「アミューズメント機器」の高低差の大きさと不調時期の多さ。ゲームセンター向け機器以外にパチンコなどの遊戯機向けのがこのセグメントに該当するが、最初のグラフにあるように売上高そのものはさほど大きくは無い。その上、利益率はお世辞にも良いとはいえない。

「良いとはいえない」という点では「アミューズメント施設」もしかり。特に2008年3月期後半からは低迷を続けているのが分かる。もっとも最近、特に今年の期に入ってからはやや持ち直しを見せており、収益改善の体質変化が起きているのが見て取れる。

一方、売上高でもメインとなる「コンシューマ・オンライン」部門はやや波があるもののプラス20%内外を維持し、高い利益率を確保しているのが分かる。さらに世間一般によく言われているように、キャラライセンスなどで構成される「その他」部門は(売上こそ小さいものの)極めて高い利益率を誇っている。

細部の変化が分かりやすいように、全体と「コンシューマ・オンライン」「その他」のみを抽出したのが次のグラフ。

↑ カプコン四半期別営業利益率推移(全体、コンシューマ・オンライン、その他)
↑ カプコン四半期別営業利益率推移(全体、コンシューマ・オンライン、その他)

「コンシューマ・オンライン」が売上の大半を占めているのが原因ではあるが、「コンシューマ・オンライン」と「全体」の営業利益率がほぼ連動しているのが確認できる。かつ「全体」が「コンシューマ・オンライン」より常に下にあることから、他の部門が(間接的ではあるが)営業利益率の点で「コンシューマ・オンライン」の足を引っ張っているのも推測できる。

「経営資源の効率的運用という観点では、当たり外れが大きい部門をざっくりと切り捨てるなり別会社に移行すれば」と考えるのは素人の浅はかさ。リスク回避や相乗効果などを考慮すれば、たとえムラが大きくとも欠かせないセグメントなのだろう(だからこそ今までそのセグメントが継続しているとも言える)。

贅沢をいえば営業利益率の高い「その他」(キャラライセンスなど)部門にもう少し注力し、売上を伸ばすことができれば……と数字の上からでは考えてしまう。そうすれば、高い利益率を活かして利益向上にもさらに貢献できるのだが。

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