「紙・パルプ」「機械」などは戻し率が低い・前年同月比でプラス5.2%(2010年12月分大口電力動向)

2011/01/28 07:14

電気事業連合会は2011年1月21日、2010年12月分の電力需要実績の速報を発表した。それによると同年12月の電力需要(使用量)は10社販売電力量合計で719億kWhとなり、前年同月比でプラス2.0%を記録した。産業用の大口電力需要量は前年同月比でプラス5.2%を記録し、これで1年を超えて13か月連続で前年同月の実績を上回ることになった(【発表リリース、PDF】)。

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今調査の概要および用語解説は過去の記事まとめページ【大口電力使用量推移(電気事業連合会発表)】で解説をしている。そちらで確認のこと。

2010年12月においては大口全体で前年同月比プラス5.2%。「前年同月比」というしばりがあるが、それだけ工場の施設の稼働率が(昨年の同じ月と比べて)増えたことになる(機器の技術進歩などによる節電効果も多少は数字には反映されているだろうが、誤差の範囲でしかない)。

大口電力使用量産業別前年同月比(2010年11-12月)
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比(2010年11-12月)

今月も前月に続き、すべての項目で前年同月比でプラスを見せている。数字がプラス値であることそのものは頼もしい話ではあるが、昨年のこの時期は「リーマン(ズ)・ショック」で急激な下げを見せていただけに、単純に安心はできない。リーマンショックの反動を超えたものではない(2009年12月の全体値はプラス1.9%)。「鉄鋼」などは数か月ほど大きなプラスを維持していることから、やや息を吹き返した感はあるが、「紙・パルプ」「機械」などは戻し率が低く、今後の動向が気になるところ。

先月比のグラフでは中長期の流れをつかむことは難しい。そこで記録保全の意味も含め、2007年1月以降の全産業別の前年同月比推移グラフを掲載しておく。

大口電力使用量産業別前年同月比推移
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比推移(2007年1月以降)

2010年12月の時点で大口電力使用量の観点においては、同年4月を天井に、3月までの状況回復傾向が失速期に転じた状況が確認できる。この半年ほどは「前年同月比」において、昨年の「マイナス20%、30%は当たり前」と比較した形での値が出るため、見た目は急速に回復していたように見えても、実はそれほど驚くべき内容ではない、繰り返しになるが「コンビニの売り上げ」や「住宅の新築着工」でも見受けられた「前年同月比のトリック」が発生している(去年の下げ方が異常な大きさなら、今年は下げていても「それよりマシ」に見えてしまうという現象)ことに留意しなければならない。

昨年同月のデータを見ると、2009年11-12月くらいまでは前年同月比でマイナス値が確認されており、今回の2010年12月まではその補正を考える必要がある。すでに「鉄鋼」などは回復基調を見せているが、それがしっかりとした形で認識できるのは2011年1月以降。全体のチャートを見てもやや凸凹はあるものの、この数か月は「惰性」「充電」期間のように見える。そろそろ次の動きが見えてもおかしくは無い。

今件大口電力は国内景気(内需)を推し量る物差しとして注目に値する指標の一つ。来月以降も横ばいを続けるのか、それとも上か下へ向かうのか、その動きに注視を行うべきである。

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