日本の「恋愛結婚」「見合い結婚」の推移をグラフ化してみる

2011/01/25 07:02

出生率や少子化、人口動向について色々な面から各種データを基に分析を進めている昨今だが、先日【アメリカのいわゆる「未婚の母」による出生率をグラフ化してみる】【いわゆる「未婚の母」による出生率をグラフ化してみる】で、「日本の出生率低下の一因には、結婚までのスタイルが見合い結婚中心から恋愛結婚中心に変わったから」という事について触れた。今回はこの点について少し深く掘り下げることにする。

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【いわゆる「未婚の母」による出生率をグラフ化してみる】で詳しく解説したが、日本は婚姻内での出生にこだわる社会文化があり、これが出生率を低くする要因となっている。「ならば婚姻率が高くなれば出生率は上がるではないか」という結論が見出されるのだが、それはそれで【日本の婚姻率・離婚率・初婚年齢の推移をグラフ化してみる(2011年1月版)】でも示しているように、日本では「晩婚化」「婚姻率の低下」が進んでおり、容易にカタが付く話では無い。

ではなせ婚姻率が低下しているのか。社会文化の成熟化や経済上の問題もあるが、それとは別に大きな要因として挙げられるのが「結婚までのスタイルの変化」。一連の記事作成時に偶然「ビッグコミック」にて読み切り作品として「救国のラブソング」なる漫画が掲載されたのだが、そのテーマがまさに少子化対策だった。そこでは少子化問題について

・少子化最大の原因は若年層が結婚しないから。つまり未婚率が高い。
・「若年層は恋愛が苦手」と高齢者は揶揄するが、現在の若年層だけでなく、日本人そのものは恋愛をして結婚するのが苦手。
・日本ではほんの少し前まで「見合い(結婚)」が常識だった。婚姻率の低下は若年層が軟弱になったからではない。

とあった。非常に興味深い話であり、これが正しいのか否かを確かめ、データがあればそれを精査することにした。

婚姻時において「見合い結婚」か「恋愛結婚」かの公的なデータとしては、厚生労働省の【出生動向基本調査】が存在する。【統計データの収録先】には第11回-第13回分が現時点で収録されており、最新のは2005年に行われた第13回のもの。この資料内の「1.夫婦の結婚について」「(2)出会いのきっかけ」において、恋愛結婚・見合い結婚構成の推移が記されている。資料巻末のデータを基に、グラフを再構築したのが次の図。

↑ 結婚年次別にみた、恋愛結婚・見合い結婚の構成比
↑ 結婚年次別にみた、恋愛結婚・見合い結婚の構成比

「救国のラブソング」中の表現のうち「お見合い結婚と恋愛結婚(の比率)が逆転したのは1960年代」という部分が正しいことが確認できる(ちなみにその他の表現「50年代はお見合い結婚は60%」「80年代でも約30%」「バブル直前でも1/3はお見合い結婚」という表現は、今データを見る限りでは間違い。もっと前倒しでお見合い結婚率は減少している)。

年代の経過と共に婚姻数全体におけるお見合い結婚率が減り、恋愛結婚率が増えた。要はお見合い結婚という社会の仕組みが少しずつ希薄化し、恋愛結婚による婚姻率が増加したものの、恋愛結婚そのものが苦手な性質もあり、婚姻数そのものを押し下げたとする仮説には信ぴょう性があるように見える。逆にいえば日本の戦後しばらくまでの婚姻率、そしてそこから連動する形での出生率の高さは、お見合い結婚によって維持された面が大きいことになる。

結婚タイプ別の婚姻「件数」をチェックする
「今件は結婚数に占める比率。各年区分の婚姻数で比較したら、動向は違うかもしれない」という意見もあるだろう。そこで各年区分の比率に、その年に該当する婚姻件数を乗じ、概算平均としての年間婚姻数を算出してグラフ化を試みる。戦後の婚姻数については【日本の婚姻率・離婚率・初婚年齢の推移をグラフ化してみる(2011年1月版)】で示した「人口動態統計の年間推計」で取得できる。ところが戦前のデータは収録されていない。

そこで色々と探ってみたところ、同じく「人口動態統計」の【1998年(平成10年)版】において、人口動態調査を始めてから100周年を記念する意味で、各種データの100年間の年次データが収録されていた。戦中の混乱期など一部では欠けているが、非常にありがたい話である。

早速ここから戦前の必要なデータを抽出。その上で各年区分で、データが存在する年は可能な限り婚姻数を引き出して加算。加算した年数分で割って年平均婚姻数を算出。その上で各年区分の「お見合い結婚」「恋愛結婚」比率を乗じ、各パターンの年間婚姻数を概算する。なお「お見合い結婚」「恋愛結婚」以外に「その他・不詳」もあり、両婚姻数を足しても年間の平均婚姻数にはならないので注意が必要である。

↑ 結婚年次別にみた、恋愛結婚・見合い結婚数(概算、万件)
↑ 結婚年次別にみた、恋愛結婚・見合い結婚数(概算、万件)

1950年代前半に見合い結婚数の大きな減少、1970年代前半に恋愛結婚数の大きな上昇が確認できるが、前者は戦後の西洋文化様式の流入、戦争直後の混乱期からの脱却で社会が安定化したことにより、婚姻のスタイルに大きな変化の流れが起きたことが想定される。後者については【変わりつつある、「一番大切なもの」】でも指摘した「1970年代、高度成長期におけるパラダイム・シフト」によるものと思われる。

いずれにせよやや凸凹はあるものの、「お見合い結婚」「恋愛結婚」の構成比率グラフと大きな違いは無く、やはり1960年後半が転換点であったことが分かる。



出会いもちろんこれらのデータだけで「救国のラブソング」にて断じていた「少子化対策には、もっと強制的に男女が寄りそう仕掛けを構築し見合い結婚を促進すべき」とする結論には至らない。しかしそれを脇に置くとしても、本文中でも触れたように日本の社会性質上の問題などと合わせると、結婚のスタイルが「お見合い結婚」中心から「恋愛結婚」中心に変わったことが、晩婚化・婚姻件数の減少・少子化に結びついた(一つの主要因である)とする考えは、筋が通っているように見える。

それではどうすべきか、というのはまた別の話。しかし解消策を見出すための前提として状況の変化を確認し、事態を把握するのは非常に大切なこと。思い付きと妄想と、周囲への八方美人的な、そしてその場しのぎの対応では無く、中長期的な戦略思考の上での国家的戦略が求められよう。

なお今回データを参照した「出生動向基本調査」には出生率や婚姻周りに関する貴重な調査結果、「人口動態調査」の100周年リリースからは戦前の価値あるデータを確認することができた。こちらは機会を見つけ順を追って考察を入れる予定だ。

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