「本人の自由」6割強、賛成2割・反対1割…首相の正月恒例伊勢神宮参拝は是か非か

2014/11/06 11:15

政治と例年行事との関係において論議される事項の一つに、在任首相における正月恒例の伊勢神宮参拝がある。この行動に関して日本国民はいかなる意見を有しているのだろうか。統計数理研究所による定点観測的調査【日本人の国民性】では、1953年以降2003年に至るまで、毎回調査項目として取り上げていた。今回はそのデータを基に、心情について確認していくことにする。

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調査要件などは今調査に係わる先行記事【「若者は自分勝手で他人より自分のことばかり」は本当か】で確認のこと。

今回焦点を当てる項目は「首相の伊勢参り」。主文では「あたらしく総理大臣になったとき、伊勢の皇大神宮にお参りに行く人がありますが、あなたはこのことをどう思いますか」という設問だが、事実上は毎年正月三が日の次の日(仕事始めの日)に定例的に行われている、その時点での総理大臣による参拝と考えてよい。2014年も安倍総理による参拝が行われている。


↑ 2014年1月6日付で行われた安倍総理の伊勢神宮参拝。【直接リンクはこちら:伊勢神宮参拝 安倍総理】

設問では「行かねばならぬ」「行った方がよい」「本人の自由だ」「行かない方がよい」「行くべきではない」「その他(具体的に記入)」(それ以外に「良く分からない(正規の回答方法で無い等)」)の選択があり、それらから一つを選ぶことになっている。今項目は調査開始の1953年以降毎回行われていたが、なぜか2008年以降は実施されていない(参拝関連ではむしろ靖国神社の方に焦点が移ったからかもしれないが、その靖国神社参拝に関する調査項目は、現時点では存在しない)。現在では2003年調査の分が最新のものとなっている。そこで1953年から2003年までの動向に付き、その結果をグラフ化する。

↑ 首相の「伊勢の皇大神宮へのお参り」について
↑ 首相の「伊勢の皇大神宮へのお参り」について

大きな流れがいくつか同時に起きているのが分かる。具体的には「行かねばならぬ」「行った方が良い」とする「お参り賛成派」が漸減し、1978年以降はほぼ横ばいを続けている。そして「行かない方が良い」「行くべきではない」とする「お参り反対派」が1958年から1968年にかけて大きな伸びを見せたものの、それ以降は漸減。賛成派に約5年遅れること1983年に減少を止め、横ばいに移行しつつある。2003年のもっとも新しいデータでは、賛成派と反対派の比率は約2対1で、賛成派が多い。

参拝事例そして何よりも大きい動きは「本人の自由」が漸増を続けていること。1953年には23%しかいなかったのが次第に増加。1993年に64%を記録してからほぼ横ばいで推移している。この動きを見ると、賛成派・反対派の双方の多数が「本人の自由である」という認識に移って行ったと判断してよいだろう。言い換えれば、総理本人が慣習的、あるいは自分の意思として行きたいのであればそれでOKであり、(一部の人が事さらに問題視している)政治的に争うべき物事ではないと判断する意見が大多数になった次第。

ややラフな表現をすれば「政治的とか特定宗教に利益をもたらすからダメだと主張する人もいるけれど、総理が参拝したから参拝者が倍増するわけでもなく、別にいいのでは? わざわざ変えるべき悪い慣習でもないのだから」というあたりだろう。実際、伊勢参りにはその年一年の無事と平安を祈る意味が込められており、それを過去の実例に習って実践しているだけとの説明もある。「これまでの慣例に従い、まつりごとのトップが日本の安寧を、私的参拝し祈ることのどこが問題なのか」ととらえることもできよう。



ちなみに年齢階層別の動向を見てみると、少々興味深い動きが確認できる。今調査の他の項目でも、若年層が心理的に礼節をおもんばかり、過去の習わしを大切にする傾向が見えてきたことはすでに【若年層で変化を見せる「上司との関係」への考え方】などでお伝えした通り。今調査項目の「行かねばならぬ」「行った方がよい」を足した値の変移にもそれが見えてくる。

↑ 首相の「伊勢の皇大神宮へのお参り」について(「行かねばならぬ」+「行った方が良い」回答率)
↑ 首相の「伊勢の皇大神宮へのお参り」について(「行かねばならぬ」+「行った方が良い」回答率)

時の流れと共に減少するのは本文中での全体におけるグラフの通りなのだが、直近2回分、つまり1998年以降は40代より下の層で下落に歯止めがかかり、むしろ最新の2003年では上昇の傾向が見受けられる。これもまた、「かつての日本の習わしを大切にする」傾向と見ると説明がつくというものだ。

あるいはもっと単純に、彼ら・彼女らの上の年齢層、すなわち自分達の親の世代の姿を見て、それが良いかどうかを判断し、学習した結果なのかもしれないが。次の2018年調査では、是非とも調査項目として復帰し、心境の変化を推し量りたいものだ。


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