【更新】意外かそれとも当然か・面白い漫画を探す時、参考にするのは口コミ以上に…

2011/01/24 12:00

本屋アイシェアは2011年1月21日、新潮社と共に、漫画好きを対象とした漫画に関する調査結果を発表した。それによると調査母体においては、面白い漫画が読みたいと思った時にもっともよく用いている「手掛かり」は「書店・コンビニの陳列」であることが分かった。ほぼ同数で「まわりのクチコミ」が続いている。次いで「インターネットのクチコミ」が上位を占めているが、アニメが先でその原作を読みたくなるというパターンも1/4程度が確認できる([発表リリース])。

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今調査はアイシェアが2010年12月22日から2011年1月5日の間、無料メール転送サービスCLUB BBQの登録会員(携帯電話による個人認証を利用したもの)に対してパソコンのインターネット経由で「漫画好き」と回答した人に行われたもので、有効回答数は1205人。男女比は50.6対49.4、年齢階層比は20代25.2%・30代36.5%・40代38.3%。

日頃から定期的に読んでいる漫画以外に、ふとしたきっかけで新しい作品と出合い、面白さにほれ込んで定期購読を始めたり、既刊の単行本を買い集める。そのような購読パターンは、誰もが一度や二度は経験したことがあるはず。優れた作品との出会いは、漫画であってもとても嬉しいものだ。

それでは面白い漫画が読みたいと思った時、何を手掛かりにするだろうか。「漫画好き」「インターネットをある程度使いこなす」という前提の調査母体の回答としては、トップが「書店・コンビニの陳列」、ほぼ同数で「まわりのクチコミ」という結果になった。

↑ 面白い漫画が読みたいと思った時、何を手がかりにするか(複数回答、漫画好き限定)
↑ 面白い漫画が読みたいと思った時、何を手がかりにするか(複数回答、漫画好き限定)

第二位・第三位の「クチコミ」という、商品との出会いの際には欠かせない要素が上位についている点はごく普通の結果だが、それ以上に実物を目で見て、場合によっては立ち読みで中身を確認することが、「面白い漫画を探す手掛かりになる」という結果は極めて興味深い。

また、「アニメ」の項目がそれなりに高い値を示しているが、これは「アニメを最初に観て、その原作が知りたくなって漫画に手を伸ばす」パターンを示している。アニメが原作のプロモーションの役目も果たしている事例として注目すべき値といえるし、高い視聴率を見せるアニメは原作も急激に売れる現象の裏付けともなる。

しかし一番手掛かりになる「書店やコンビニでの陳列」についてだが、ご承知の通り地域の中小書店の数は減退を続けている。そしてコンビニ数そのものは増加しているものの、コンビニに配される漫画をはじめとした出版物の減少率も著しい。

↑ コンビニの店舗数とコンビニにおける出版物売上高
↑ コンビニの店舗数とコンビニにおける出版物売上高(【コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる(後編:全体編)】より再録)

これでは新規の購読者を増やす機会が減ってしまい、縮小気味の紙媒体における漫画市場においては、さらなる追い打ちがかけられる事態となりかねない。

男女・年齢階層別に見ると、それぞれの属性の特徴が見えてくる。これもまた注目すべき内容といえる。

↑ 面白い漫画が読みたいと思った時、何を手がかりにするか(複数回答、漫画好き限定)(男女別)
↑ 面白い漫画が読みたいと思った時、何を手がかりにするか(複数回答、漫画好き限定)(男女別)

↑ 面白い漫画が読みたいと思った時、何を手がかりにするか(複数回答、漫画好き限定)(年齢階層別)
↑ 面白い漫画が読みたいと思った時、何を手がかりにするか(複数回答、漫画好き限定)(年齢階層別)

男女別では全般的に女性の方が色々な手掛かりを参考にしている、そして意外にもインターネットの口コミでは男性とほぼ変わらない値であるものの、書店・コンビニの陳列では男性より高い値を示している。

年齢階層別では歳を経るほどクチコミ全般への手掛かり度は減る一方、書店やコンビニへの陳列は高めの値を示すようになる。特に経年によるインターネット経由のクチコミの減退率が大きいところを見ると、「漫画好き」で「インターネットにある程度以上精通している」人であっても、インターネットの漫画関連への情報に対する信頼感は、歳と共に減る傾向にあるようだ。あるいは単に、自分の歳にあった情報の絶対量が不足しているのかもしれない。



本屋さん例えば20代に限れば「まわりのクチコミ」の方が上ではあるが、「書店・コンビニの陳列」が漫画にとって新規読者の獲得機会として非常に有益であることが分かる。本文中でも触れているように、この両方とも機会そのものが減少しつつあるのが現状。これが巡り巡って出版業界全体の縮小傾向の一因と考えられなくもない(あるいは「たまごとにわとり」の話なのかもしれないが)。

出版業界側としては、既存の「手掛かり」をいかに維持するかと共に、新しい「手掛かり」、具体的にはインターネットのクチコミをはじめとしたデジタル媒体によるアプローチを、いかに効果的に、読者予備軍に好まれる形で提供していくか。その点が市場を支える読者の維持と増大を握るカギといえるのではないだろうか。

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