若年層で「いらいら」が増す現代社会、理由はさまざま

2014/11/05 08:31

情報に係わる技術の進歩発展に伴い、人の生活はより効率的で便利になっているはずだが、それは同時に各人に要求する時間的な拘束がより強まることをも意味している。当然、個人が覚えるストレス、いらいら感もより一層の高まりを見せることが容易に想像でき、実態感を覚える人も少なくないはず。今回は統計数理研究所による定点観測的調査【日本人の国民性】の最新版として2013年調査分が2014年10月30日付で反映されたことを受け、その「いらいら感」の実情を確認していくことにする。

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調査要件などは今調査に係わる先行記事【「若者は自分勝手で他人より自分のことばかり」は本当か】を参考のこと。今回焦点を当てるのは、「一か月の間にいらいらしたか」との設問に対する答え。1993年以降の調査結果が確認できるので、それをグラフ化する。

↑ この一か月の間に「いらいら」したか
↑ この一か月の間に「いらいら」したか

地味ではあるがほぼ確実に増加傾向にある、いらいら感が募る状況にあるのが分かる。1993年から2013年の20年間で12%ポイントの増加。最新調査結果ではついに「いらいら感を覚えた」人が「していない」人を上回る形となった。

これを世代別に見ると、全体的な「いらいら」感の底上げは、各年における若年層、特に20代から40代によるものであることが分かる。

↑ ”この一か月の間に「いらいら」したか”で「はい」の回答率
↑ ”この一か月の間に「いらいら」したか”で「はい」の回答率

1993年-1998年にかけてはすべての階層で増加しているが、1998年以降は「50代以降は横ばい」「40代以下は急勾配で上昇」しているのが分かる。つまりこの10年間において、「40代まではいらいら感が増す」「50代以降はこれまでと変わらない」社会的な変化が起きたと考えてもおかしくはない。また直近の2013年では上昇派に50台が加わる一方で、60代以降は逆にわずかではあるが減少する動きさえ示している。いらいら感の世代的二分化、そしていらいら感ありの若年層の年齢的区切りが少しずつ上昇している雰囲気を覚えさせる。

その「変化」に関するヒントとなりうるのが、2008年発表時に「結果のポイント」として特記解説されていた、他の項目とのクロス集計結果(クロス集計そのものは原則非公開で、公開データのみでは推し量る事は出来ない)。

↑ 「いらいら」の回答と関係する要因の例(2008年)
↑ 「いらいら」の回答と関係する要因の例(2008年)

経済面の不満・仕事や職場への満足感・生活全体への満足感の3項目で、不満・不安度別に「いらいら」を感じたか否かを再集計したものだが、見事に各項目で不満や不安を多く抱える人ほど、いらいらを覚える割合が高まっている。元資料では「またこのような関係は、程度の差こそあれ、どの年齢層でも認められる」とあるが、結果として「いらいら」感の推移が一つ上のグラフに出ている通りである以上、少なくとも経済・職・生活全体の面において、20-40代、直近ではそれに加えて50代の間に、不平不満が高まりを見せていると考えてよさそうだ。そしてその感情が「いらいら感」というシグナルの形でで表れているのだろう。



今件はあくまでも特定母体に対する調査結果なため、世間全般に対する傾向と完全に一致すると断定することはできない。とはいえ類推するための材料としては十分以上に確証度は高い。

前世紀末期以降若年層から中堅層の間に増加する「いらいら」が、何に起因するものなのか。同じ年代を生きているにも関わらず、「いらいら」率が増えない50代以降、直近ならば60代以降との違いを探せば、そして最後のグラフに掲げた3項目について考え直せば、おのずから結論は導き出せるに違いない。


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