「若者は自分勝手で他人より自分のことばかり」は本当か(最新)

2022/07/05 02:57

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2022-0620当事者の多分はそのような自覚もなく、むしろその指摘に遺憾を覚えている事例が多いのだが、世間一般(実際には中年層以降)からは「若者は自分勝手で他人より自分のことばかり考えている」との認識がある。その説は本当なのか否かを検証する、資料の一つが統計数理研究所・国民性調査委員会による定点観測的調査【日本人の国民性】。その調査において2021年10月29日付で、第14回目となる2018年版の結果が発表された。今回はその最新値を反映させた上で、過去のデータも合わせ「若年層の身勝手さは本当なのか」について見ていくことにする。

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今調査は統計数理研究所が1953年以降5年ごとに実施しているもので、各回ごとに微妙に細部は異なるものの、基本的に20歳以上の男女個人を対象にした標本調査。層化多段無作為抽出法で2254人から6400人の標本を抽出し、個別面接聴取法で実施している。

今回確認していくのは、「好きな暮らしは自分のためか人のためか」の項目。行動様式に関する質問の部分である。

まずは全体の反応を時系列で追いかけた結果が次のグラフ。おおよそ自分本意(人のためにならなくても自分の好きなこと)が4割前後、他人献身(自分の好きなことか否かはともかく人のためになること)が5割強、その他や無回答・不明が合わせて1割足らずというところ。

↑ どちらの暮らし方に賛成か
↑ どちらの暮らし方に賛成か

経年での変化はあまり感じられない。中期的にはいくぶん自分本意の回答が増えたように見えるが、数%ポイントでは誤差の範囲ともいえる。直近の2018年では自分本意が大きく減り、その分他人献身が増えているのが目にとまる。

そこで次に年齢階層別の他人献身、つまり「自分の好きなことか否かはともかく人のためになること」をする暮らし方に賛成する人の割合の推移を折れ線グラフで表すことにした。ただし今件は現時点で直近2018年分の値が開示されておらず、前回の2013年分までの値の動向を示したものとなる(問い合わせ中)。

↑ 「自分の好きなことか否かはともかく人のためになること」の比率
↑ 「自分の好きなことか否かはともかく人のためになること」の比率

2013年時点のデータでは、70代以上が抜きんでており63%と高い値を示している。しかしそれ以外の年齢階層では45%から55%の間で集約しており、実質的にほとんど差はない。むしろ20代は40代や50代よりも高い。若年層を指して「若者は人のためより自分本位だ」との指摘は、少なくとも昨今では困難に違いない。

確かに以前は若年層の方が低い値を示していた、つまり他人への貢献度が低い状態にあった。しかし20代・30代において、前世紀末期から直近データで10%ポイント内外の増加が確認できる(やや太く描写している線)。明らかに若年層の間で考え方の上で変化が起きていることは間違いない。他方50代以降は1998年がピークで、それ以降は漸減-横ばいの流れなのも分かる。特に50代から60代、いわゆる団塊の世代が該当する世代での減退が顕著ではある。

もっとも直近2013年分においては、30代の減少と20代の急激な増加が目にとまる。それぞれ7%ポイントの減少、10%ポイントの増加といった、非常に大きな動きが見られる。後者はともかく前者は過去数回の流れに反するもので、少々気になるところ。

ちなみに1つ注意したいのは、各調査年における回答した年齢階層が、調査年を経ても同じ年齢階層ではない点(調査年における年齢階層で区分をしている)。ややこしい話ではあるが、例えば1983年に20代の回答層は、30年経過した2013年の時点でも20代として回答するわけではなく、(原則)50代(20+30=50)での回答となる。歳とともに考え方に変化が生じるのか、あるいは年齢階層ごとの思考パターンは歳を取っても継承されるのか、その実態はケースバイケースではある。今件調査項目で、今世紀に入ってから50代以降の値が減少気味、40代以下の値が伸びているのも、その回答世代間のギャップが一因かもしれない。



このデータが世間一般のすべてを明確に表しているとは言い切れない。だが少なくとも「若年層は社会貢献への意欲・意識が薄い」とする、一部の意見(そして往々にそれが「世間全体の意見」として語られる)が的外れの可能性が高いことは、具体的に調査結果の上で数字として表れている。それが把握できただけでも、今データは貴重なものに違いない。


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