「若者は自分勝手で他人より自分のことばかり」は本当か

2014/11/04 08:13

当事者の多分はそのような自覚も無く、むしろその指摘に遺憾を覚えている事例が多いのだが、世間一般(実際には中堅層以降)からは「若者は自分勝手で他人より自分のことばかり考えている」との認識がある。その説は本当なのか否かを検証する、資料の一つが統計数理研究所による定点観測的調査【日本人の国民性】。その調査において、先日2014年10月30日付で、第13回目となる2013年版の結果が発表された。今回はその最新値を反映させた上で、過去のデータも合わせ「若年層の身勝手さは本当なのか」について見ていくことにする。

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今調査は統計数理研究所が1953年以降5年毎に実施しているもので、各回ごとに微妙に細部は異なるものの、基本的に20歳以上の男女個人を対象にした標本調査。層化多段無作為抽出法で2254人から6400人の標本を抽出し、個別面接聴取法で実施している。今回確認していくのは、「好きなくらし方か人のためか」の項目。行動様式に関する質問の部分である。

まずは全体の反応を時系列で追いかけた結果が次のグラフ。自分本意が4割、他人献身が5割強、その他・無回答が1割足らずというところ。

↑ どちらの暮らし方に賛成か
↑ どちらの暮らし方に賛成か

経年での変化はあまり感じられない。中期的にみればいくぶん自分勝手さへの回答が増えたように見えるが、数%ポイントでは誤差の範囲ともいえる。そこで次に世代別の「他人献身」、つまり「自分の好きなことか否かはともかく人のためになること」をする暮らし方に賛成する人の割合の推移を折れ線グラフで表すことにした。

↑ 「自分の好きなことか否かはともかく人のためになる事」の比率
↑ 「自分の好きなことか否かはともかく人のためになる事」の比率

2013年時点のデータでは、70代以上が抜きんでており63%と高い値を示している。しかしそれ以外の世代では45%から55%の間で集約しており、実質的にほとんど差は無い。むしろ20代は40代や50代よりも高い。若年層を指して「若者は人のためより自分本位だ」との指摘は、少なくとも昨今では困難に違いない。

確かに以前は若年層の方が低い値を示していた、つまり他人への貢献度が低い状態にあった。しかし20代・30代において、前世紀末期から直近データで10ポイント内外の増加が確認できる(やや太く描写している線)。明らかに若年層の間で考え方の上で変化が起きていることは間違いない。他方50代以降は1998年がピークで、それ以降は漸減-横ばいの流れなのも分かる。特に50代から60代、いわゆる団塊の世代が該当する世代での減退が顕著ではある。

もっとも直近2013年分においては、30代の減少と20代の急激な増加が目に留まる。それぞれ7%ポイントの減少、10%ポイントの増加という、滅多に起きない動きが見受けられる。後者はともかく前者は過去数回の流れに反するもので、少々気になるところではある。

ちなみに一つ注意したいのは、各調査年における回答世代が、調査年を経ても同じ世代では無い点(調査年における年齢で仕切り分けをしている)。ややこしい話ではあるが、例えば1983年に20代で回答した回答世代層は、30年経過した2013年の時点でも20代として回答するわけではなく、(原則)50代(20+30=50)での回答となる。歳と共に考え方に変化が生じるのか、あるいは世代ごとの思考パターンは歳を経ても継承されるのか、その実態はケースバイケースではある。今件調査項目で、今世紀に入ってから50代以降の値が減退気味、40代以下の値が伸びているのも、その「回答世代層」間のギャップが一因かもしれない。



このデータが世間一般のすべてを明確に表しているとは言い切れない。だが少なくとも「若年層は社会貢献への意欲・意識が薄い」とする、一部の意見(そして往々にそれが「世間全体の意見」として語られる)が的外れの可能性が高いことは、具体的に調査結果の上で数字として表れている。それが把握できただけでも、今データは貴重なものに違いない。


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