各国の合計特殊出生率推移をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/11/25 05:15

2016-1124先に【先進諸国の出生率や離婚率などをグラフ化してみる】で先進諸国の直近における合計特殊出生率を、【日本の出生率と出生数をグラフ化してみる】で日本の合計特殊出生率の推移を、【アメリカ合衆国の人種別出生率の詳細をグラフ化してみる】でアメリカ合衆国の合計特殊出生率の推移をチェックした。そして先日別件で出生率周りを調べていたところ、主要諸国の合計特殊出生率の推移を把握できるデータを見つけることができた。そこで今回はその内容について精査をしていくことにする。

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該当するデータとは2016年11月24日までに内閣府が発表した、2016年版となる「少子化社会対策白書(旧「子ども・子育て白書」「少子化社会白書」)」のHTML版((【少子化社会対策白書】)。ここには主要国の合計特殊出産率の推移が示されている。

さて「合計特殊出生率」だが、この言葉は一人の女性が一生のうちに出産する子供の平均数を示している(計算対象を一般的な出産可能年齢である15-49歳にの女性に限定している)。単純計算でこの値が2.0なら、夫婦二人から子供が二人生まれるので(男性は子供を産まない)、その世代の人口は維持されることになる。実際には多種多様なアクシデントによる減少があるため、人口維持のための合計特殊出生率は2.07-2.08といわれている(これを人口置換水準と呼ぶ)。

↑ 合計特殊出生率(人)(-2014年)(再録)
↑ 合計特殊出生率(人)(-2014年)(日本、再録)

公開されている資料では元ページでは主要国の1950年-2014年までの推移が1年区切りで、アジア諸国が1970年以降5年区切り+αで2014年まで収録されている。まずは前者、主要国の値の確認を行う。

↑ 主要国合計特殊出生率
↑ 主要国合計特殊出生率

↑ 主要国合計特殊出生率(2014年)
↑ 主要国合計特殊出生率(2014年)

1960年代までは主要国は対象国でほぼ人口置換水準を超えていたものの、経済発展やそれに伴う子供の養育コストの増大、結婚や出産に対する価値観の変化、避妊の普及、そして出産後の乳幼児の死亡率低下の影響があり(出産した子供が命を落とさなければ夫婦はその子を養育する必要が生じるため、再び出産へリソースをかける余裕が無くなる)、一様に低下。そして前世紀末期あたりからは国毎に異なる動きを見せているが、差異はあれど回復傾向にある。特に大きな上昇が確認できるフランスやスウェーデンでは先の記事でも触れたように「嫡出でない子」の割合の増加、子育てや就労に関する選択肢の増加と、環境の整備(経済面だけでなく保育サービスの充実や社会制度上での補助)、高齢出産に係わる技術的な進歩が大きく貢献している。

なお日本では1966年に特異な下落が見られるが、これは丙午(ひのえうま)による減少に他ならない。他国で同様の動きが無く、日本独自の動向であるのが分かる。

続いてアジア諸国の動向。収録データの事情で、やや年数経緯が粗めとなっている。またタイは2014年分が未取得のため、今回は暫定的に2013年の値を適用している。

↑ 主要国合計特殊出生率(アジア諸国)
↑ 主要国合計特殊出生率(アジア諸国)

↑ 主要国合計特殊出生率(アジア諸国、2014年)
↑ 主要国合計特殊出生率(アジア諸国、2014年)

アジア諸国に限定しても動向はあまり変わりはない。経済的な伸張が進むとともに合計特殊出生率は減少し、いずれも人口置換水準を割り込んでしまっている。出生率の低下は日本だけの問題ではないことがあらためて認識できる次第ではある。



出生率の低下は経済発展に伴う子供の養育コストの増大、結婚や出産に対する価値観の変化、乳幼児の死亡率低下など、先進国共通の傾向を起因とするもので、いわば先進国病とも呼べるもの。そしてそれを補い得るものとして一部諸国で顕著化しているのが、「嫡出でない子」の増加。また、最後のグラフにあるように、アジア諸国では婚姻内での出生にこだわる社会文化の影響が強く、それが経済発展と共に出生率が低下したままの状態を生み出しているものと考えられる。

人口少子化傾向を食い止めるには、日本のかつての風習を再度活性化する、今風にアレンジする、欧米の手法を参考にする、色々な手立てが想定でき、そしてどれか一つのみに限る必要は無い。少子化対策は中長期的・戦略的な視点で先人の成功例を参考にし、断行すべき問題ではある。即効性は無く、劇的な変化が見られないので敬遠されがちだが、数年、数十年後に石つぶてを投げられないためにも、なすべき最優先事項であるに違いない。


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