いわゆる「未婚の母」による出生率をグラフ化してみる(2016年)(最新)

2016/11/15 05:15

先に【アメリカ合衆国のいわゆる「未婚の母」による出生率をグラフ化してみる】において、アメリカ合衆国の出生率が高い原因の一つに、「結婚していない女性による出生した子供(婚外子、非嫡出子)」の増加があることについて触れた。その際、日本の事情も少々説明したが、具体的なデータは提示していなかった。今回はその「日本における婚外子の比率」などに関して状況の確認を行い、検証をしていくことにする。

スポンサードリンク


出生総数に占める非嫡出子率は約2%


日本の婚外子出生率は厚生労働省の「人口動態調査」の詳細データに収録されている。具体的にはe-Stat(総務省のデータベース)の「人口動態統計」の項目から「確定数」「出生」と選ぶと、そのファイル内に「嫡出子―嫡出でない子別にみた年次別出生数及び百分率」が確認できる。これには1947年からしばらくは5年おき、1995年以降は1年おきの、出生総数・嫡出子と嫡出でない子の数・それぞれの出生全体に占める比率がおさめられている。現時点では2015年分までが公開されているので(2016年9月8日付で確定報として更新)、その値など各種パラメータを抽出。算出時に使われた原値があるので、それを用いて再計算を行い小数点第二位まで計算し、各年における「出生総数に占める、嫡出でない子の割合」をグラフにしたのが次の図。

↑ 出生総数に占める嫡出でない子の割合(-2015年)
↑ 出生総数に占める嫡出でない子の割合(-2015年)

↑ 出生総数に占める嫡出でない子の割合(2001年-2015年)
↑ 出生総数に占める嫡出でない子の割合(2001年-2015年)

データ収録開始直後の1947年からしばらくは戦後の混乱期との事情もあり、嫡出でない子の比率は(日本としては)極めて高く4%近くに達していた。その後1975年から1980年の高度成長期までは低下を続け、その後再び増加を見せる。このタイミングは【30代前半でも男性未婚率は約半数・世代別未婚率の推移をグラフ化してみる(2016年)(最新)】【30代前半でも男性未婚率は約半数・世代別未婚率の推移をグラフ化してみる(2016年)(最新)】【日本の出生率と出生数をグラフ化してみる(2016年)(最新)】でも触れている通り、高度成長期であると共に日本の人口周りの数字におけるターニングポイントでもあり、非常に興味深い動きといえる。

直近の2015年においては非嫡出子率は2.29%。元のデータによれば嫡出子98万2645人、嫡出でない子は2万3032人とのことである。

諸外国の状況は!?


出生率の増減のカギを握る、出生全体における「嫡出でない子」の比率は、日本では極めて小さいことが確認できた。また今件記事のきっかけとなったアメリカ合衆国では特に、ヒスパニック系の人たちをはじめとした非白人の割合が高いことが確認できている。

↑ アメリカ合衆国の主要人種別「婚外子出生率」(再録)
↑ アメリカ合衆国の主要人種別「婚外子出生率」(再録)

これはアメリカ合衆国(をはじめとした諸外国)では「結婚しないまま子供を出産する」(非嫡出子)事象が社会的・文化的に容認されつつあること、国や社会全体が支援する仕組みを構築している(あるいは個人の「何とかなるだろう」との楽観的な考え方、「そうせざるを得ない」との悲観的状況の増加など)が要因。この非嫡出子の増加が出生率そのものを押し上げている。

それでは日本とアメリカ以外の状況はどうなのだろうか。OECDが公開しているデータベースOECD.statから、調査対象国における「その年の総出生者のうち結婚していない人による出生者数比率」、つまり非嫡出子比率を抽出した結果が次のグラフ。

↑ 諸外国の出生数における非嫡出子比率(OECD、2014年または各国の最新値)
↑ 諸外国の出生数における非嫡出子比率(OECD、2014年または各国の最新値)

収録国に関してやや偏りがあり、アジア方面の値がほとんど収録されていないことから、先の記事でも言及している「社会的、文化的特性から、太平洋・アジア文化圏では非嫡出子が容認されにくい環境にあり、結果として値も低くなる」との裏付けがし難いものとなっている。それを差し引いて考えれば、これらの国の多くは日本より婚姻率が低いにも関わらず、出生率は高い。その要因として嫡出でない子の存在が挙げられる。



国の経済的な発展(先進国化)と少子化は、先の記事や【少子化社会白書・平成16年版内「補章 少子化の国際比較」(国立国会図書館・デジタルコレクションより、PDF)】で語られているように、いわば「先進国病」的なものとして常に連動して発生する。同白書で「世界的にみれば、ほとんどの先進国が少子化社会となっているが、北部ヨーロッパのアイスランド、アイルランド、西部ヨーロッパのフランス、北アメリカのアメリカ合衆国が、比較的高い合計特殊出生率の水準を維持している」とあるが、それらの国は押し並べて「嫡出でない子」の比率が高く、それらが深い関係にあることが分かる。

子供また、第一生命が以前に発表したレポート【日本における「結婚」へのこだわりと婚外子(PDF)】では、日本は婚姻内での出生にこだわる社会文化があり、これがいわゆる「できちゃった婚」の増加の一因であると推定すると共に、「婚姻率の相対的な低さを事実婚や同棲の一般化が補っている部分があり、非婚カップルに生まれる婚外子出生率の高さが、全体の出生率低下に歯止めをかけていると指摘されている」と言及している。これも納得のいく解説といえよう。また同レポートでは同時に、スウェーデンにおける婚外子へのサポートの厚さをはじめ、社会制度の柔軟さの解説があり、興味深い。

ともあれこれらの事例を見る限り、半ば先進国病ともいえる出生率の低下と、それを補うような形で浸透しつつある「嫡出でない子」の増加。これが出生率の維持・増加のカギであるのは間違いない。そして日本(に限らずアジア全般)では社会文化などから、これらの値が低いままであり、それがアジア諸国において先進化すると出生率が急速に低下する要因とも考えられよう。


■関連記事:
【理想と予定、子供の数の推移をグラフ化してみる…(下)理想数まで子供を持たない理由(最新)】
【子供が欲しい人6-7割、理想の数は1.9人】
【各国の合計特殊出生率推移をグラフ化してみる】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2016 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー