交通事故による2010年の死亡者、前年比マイナス1.0%の4863人に

2011/01/05 12:00

交通事故警察庁は2011年1月4日、2010年における全国の交通事故死者(事故発生から24時間以内に死亡)の数が4863人となり、昨年の4914人から1.0%減少した4863人であることを発表した。死亡者の減少は2001年以来10年連続してのもので、過去最悪だった「第一次交通戦争」と呼ばれた1970年の1万6765人の3割程度にまで減少している(【e-Statのリリースダウンロードページ】)。

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まずは以前の統計データや今回発表されたデータを照らし合わせ合算し、過去20年間における年間交通事故死亡者数の推移をグラフ化する。なお冒頭にもあるように、今データにおける「死亡者」は、事象発生から24時間以内に死亡した人数を指す。統計ではその他に30日以内の場合の「30日以内死者数」、さらには厚生労働省のデータとして「1年以内死者」も存在する(後述)。

↑ 過去20年間における年間交通事故死亡者推移
↑ 過去20年間における年間交通事故死亡者推移

多少の変動はあれど、確実に減少している様子が分かる。

これを元に、年間死亡者数の前年比(減少率)を算出したのが次の図。数字のプラスが大きいほど、死亡者数が減少している割合も大きいことを意味する。

↑ 過去20年間における年間交通事故死亡者前年比「減少」率推移(プラスが大きいほど死亡者数の減少割合も大きい)
↑ 過去20年間における年間交通事故死亡者前年比「減少」率推移(プラスが大きいほど死亡者数の減少割合も大きい)

前世紀末、2000年ごろまでは多少のぶり返しもあった。しかし今世紀に入ってから、特に2005年以降は一貫して減少率が上乗せされ、死亡者数が加速度的に減少している様子が実感できる。2008年以降は減少幅が落ち着きを見せ、直近データにおいては1.0%に留まっている(とはいえ、減少していることに違いは無い)。

先の定義にあったように、この数字はあくまでも「事故発生から24時間以内」のもの。中には「望みが無くとも24時間は延命させて、都合の悪い数字減らしをしているのでは」と考える人もいるだろう。しかし実際にはその考えは正確ではない。最新の2010年分を反映させたものは今月末あたりに更新されるだろうが、1年前の2009年分までのデータを盛り込んだ包括的な報告書【平成21年中の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締状況について】【警察庁の統計ページ】には用意されており、そこには「交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移」のグラフ確認できる。そのグラフでは24時間に限定せず、「30日以内」、さらには厚生労働省統計の「1年以内」の数も含まれている。そしてこれらの値を眺めれば、この15年前後来すべての値が減少しているのが把握できる。

↑ 交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移
↑ 交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移(再録)

↑ 交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移(昭和55年以降のみ抜粋)(ピンクは車両台数)
↑ 交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移(昭和55年以降のみ抜粋)(ピンクは車両台数)(再録)

大きめのグラフに文字を加えたが、1960-1970年における「第一次交通戦争」は経済発展のさ中で自動車、特に商用車の急速な普及と共に、立ち遅れた交通行政と自動車社会に対する啓蒙不足、法整備不足が原因。「第二次交通戦争」は自動車交通の加速化に対して行政の対応が間に合わなかった(環境整備予算、人員数、若年層への啓蒙)とする意見が有力。

しかし第二次交通戦争以降は

・車両台数は増加、その後十年強の間は横ばい
・事故発生件数、負傷者数は上昇、その後横ばいから、直近数年間は減少の傾向
・死者数(24時間以内、30日以内、1年以内)は一環して減少

の様相を見せている。特にこの過去10年間において事故の発生件数と負傷者数が横ばいから、直近5年来は低下傾向にある一方、各種死者は一様に急速に減少しているのは注目に値する。

これら一連の減少傾向について警察庁のレポートなどによればその原因として、

・シートベルト着用者率の向上(【シートベルトとエアバッグのデータをグラフ化してみる-「戦後の交通事故・負傷者・死亡者をグラフ化してみる」後日談】なども参照)
・事故直前の車両速度の低下(安全運転の徹底化や取り締まり・法令強化、警告装置の充実)
・悪質・危険性の高い事故の減少
・歩行者の法令遵守
・自動車技術の進歩(エアーバック、ABS、車体構造、シートベルト)
・シートベルト着用、飲酒運転などに関する交通ルールの規制強化
・医学、生存技術の進歩による事故死の減少(事故数と負傷者数が比例していることも裏づけ)

などの複合効果による成果としている。一つ一つはさほど大きなものではないかもしれないが、これらの対策が積み重なることで、確実に交通事故による悲劇を減らしている。それは上記の各種データからも明らか。

なお、やや蛇足ではあるが、交通事故全体の死亡者数は減少傾向にあるものの、自転車におけるそれは全体の減少と比べて減少率が緩やか。結果として交通事故全体に占める自転車事故の事故件数・死傷者率は増加傾向にある。自転車は自動車と比べて利用ハードルが低く、安全装置の類も自動車と比べて設置しにくいため、「万が一」の時の対応が難しい。「自転車だから」と油断すると、大変なことになるので、くれぐれもご注意されたい。

もう一つ蛇足として、今回減少率が1.0%と少なめになったことについて警察庁長官はコメントで「しかしながら、交通事故死者数の対前年比減少率はこの10年間で最も小さく、いまだ飲酒運転等の悪質違反に起因する交通事故によって多くの尊い命が犠牲となるなど、交通事故情勢は依然として厳しいものがあります」とし、現状の再確認とさらなる状況の改善の決意を表していることを記しておこう。

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