ほぼ漸減中…小学生や中学生の数の推移(最新)

2024/03/15 02:39

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2024-0310高齢出産の関係で少しながらも出生率は上昇を示す動きもあったが、【出生数77万759人…日本の出生率と出生数(最新)】などのデータにもある通り、日本では中長期的に見ると少子化が進んでいる。人口そのものの減少はもちろんだが、若年層向けの市場縮小との観点で、多くの関連産業がその現実を直視し、業績低迷の理由の一つとして少子化を掲げている。それでは具体的に、子供達の人数はどのような変化を見せているのだろうか。今回は小学生や中学生の数の推移を通し、その移り変わりを見ていくことにした。

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半世紀前からほぼ半減した小学生数


データ取得元は文部科学省発表の【学校基本調査】。ただしこちらのページは数年分のデータしか掲載されていないため、総務省の公開データベース【e-Stat】から「学校基本調査」を探し、年次統計を選択。そこから各種必要なデータを選んで取得していくことになる。

なお【「小学生は生徒にあらず」という話】でも言及しているが、小学生は児童、中学生は生徒となる。ちなみ高校生も生徒で、大学や高専は学生である。

まずは小学生。数そのものと前年度比のグラフを作成する。

↑ 小学生数(国公私立合計、人)
↑ 小学生数(国公私立合計、人)

↑ 小学生数(国公私立合計、前年度比)
↑ 小学生数(国公私立合計、前年度比)

この類の人口統計グラフにありがちな話だが、対象期間内(事実上戦後)2つほど大きな山が形成されている。これはそれぞれ第一次・第二次ベビーブームの影響によるもの。第二次ベビーブームの後はなだらかに減少を続けているが、意外な事に2000年度前後以降は減少幅が小さめとなっている。減少率・数はむしろ1980年度代から1990年度代、さらにいえば1960年度代の方が大きかった。

21世紀に入ってからは持ち直しを見せる動きもあったが、この10年強の間は前年度比マイナス2%以内のマイナス圏の中での動きに終始している。前年度比でマイナスの圏域にあることに違いはなく、小学生の数は減少する一方。戦後最大数を記録した1958年度の約1350万人(入学した数ではなく、その年に小学生として存在している数であることに注意)と比べ、直近の2023年度は約605万人。半分足らずにまで減少している。

中学生も半世紀でほぼ半数に


続いて中学生。大まかな状況は小学生と変わりない。

↑ 中学生数(国公私立合計、人)
↑ 中学生数(国公私立合計、人)

↑ 中学生数(国公私立合計、前年度比)
↑ 中学生数(国公私立合計、前年度比)

やや起伏が大きな感はあるものの(前年度比の縦軸の区切りが小学生のグラフと比べて大きめになっていることに注意)、やはり第一次・第二次ベビーブームの影響による大きな山が確認できる。それとともに減少が昨今に始まったものではないこと、むしろ2000年度前後以降は減少幅が少なめどころかプラスに転じている年度もあることが把握できる。

また人数に注目すると、小学生同様ピークの年と比べて直近の人数は4割強にまで縮小している。クラス編成人数が減り、学校そのものも廃校、あるいは合併するところが出てくるのも当然の成り行きか。

なお人数そのものが小学生の半分位でしかないのは、単純に小学校が6学年なのに対し、中学校が3学年だからに他ならない。また人数のピークが小学生と比べて数年遅れで到来しているのは、第一次・第二次ベビーブームで生まれた子供が成長し、小学校、そして中学校に入学するまでに、数年の差異が生じるからである。



子供向けの市場(玩具や教育機材、学習塾など)では業績悪化の理由として「少子化の影響で云々」との言い回しが使われている。しかし統計値で確認した限りでは、直接市場に影響しうる小中学生の数の減少は第二次ベビーブームの影響があった1980年度代以降継続している。

小中学生に代表される子供の数が減少しつつあるのは事実だが、少子化の影響云々を理由とするのなら、すでに10年単位で、それこそ1990年代時点で大きく問題視され、関連業界はその対策を講じていなければならない。にもかかわらず、動きが緩やかになってきてから「昨今の少子化が市場に大きな影響を」と主張しても、首を傾げざるを得ない。

むしろそれらの市場にネガティブな動きが表れているのなら(実際その通りなのだが)他の要因、例えば子供そのものやその保護者における消費性向の変化、選択肢の拡大、流通経路の多様化などに主要因があると考えた方が間違いはなく、対処を講じることでより確実な成果が期待できるというものだ。


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