重工業系で大きく勢いを減損・前年同月比でプラス4.7%(2010年11月分大口電力動向)

2010/12/18 19:30

電気事業連合会は2010年12月17日、2010年11月分の電力需要実績の速報を発表した。それによると同年11月の電力需要(使用量)は10社販売電力量合計で685億kWhとなり、前年同月比でプラス1.8%を記録した。産業用の大口電力需要量は前年同月比でプラス4.7%を記録し、これで12か月、つまり1年連続で前年同月の実績を上回ることになった(【発表リリース、PDF】)。

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今調査の概要および用語解説は過去の記事まとめページ【大口電力使用量推移(電気事業連合会発表)】で解説をしている。そちらで確認のこと。

2010年11月においては大口全体で前年同月比プラス4.7%。「前年同月比」というしばりがあるが、それだけ工場の施設の稼働率が(昨年の同じ月と比べて)増えたことになる。

大口電力使用量産業別前年同月比(2010年10-11月)
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比(2010年10-11月)

今月も前月に続き、すべての項目で前年同月比でプラスを見せている。数字がプラス値であること自身は頼もしい話ではあるが、昨年のこの時期は「リーマン(ズ)・ショック」で急激な下げを見せていただけに、安心はできない。リーマンショックの反動を超えたものではないという考え方ができる。絶対値の差異を見れば容易に理解できる(2009年11月の全体値はマイナス6.2%)。「繊維」「紙・パルプ」「非鉄金属」など複数項目で前月から勢いを増しているが、その一方で「鉄鋼」「化学」など重工業系で大きく勢いを減じているのが気になる。

先月比のグラフでは中長期の流れをつかむことは難しい。そこで記録保全の意味も含め、2007年1月以降の全産業別の前年同月比推移グラフを掲載しておく。

大口電力使用量産業別前年同月比推移
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比推移(2007年1月以降)

2010年11月の時点で大口電力使用量の観点においては、同年4月を天井に、3月までの状況回復傾向が失速期に転じた状況が確認できる。この半年ほどは「前年同月比」において、昨年の「マイナス20%、30%は当たり前」と比較した形での値が出るため、見た目は急速に回復していたように見えても、実はそれほど驚くべき内容ではない、繰り返しになるが「住宅の新築着工」などでも見られる「前年同月比のトリック」が発生している(去年の下げ方が異常な大きさなら、今年は下げていても「それよりはまだまとも」に見えてしまうという現象)ことに留意しなければならない。

昨年同月のデータを見ると、2009年11-12月くらいまでは前年同月比でマイナス値が確認されており、今年の12月まではその補正を考える必要がある。今回の11月分では全体値のプラスが4.7%にまで落ち込んでいる事、12月は2009年で前年同月比がプラスに転じている月であることなどを考えると、来月発表分の2010年12月分データあたりから昨今の動向が「真の回復」か否かがはっきりと分かる。

「3割減った後に3割増えても元には戻らない」のは一目瞭然。3割減少したあとに原状復帰するためには、3割では無くそれ以上(約4割2分)の回復が必要になる。昨今の状況はあくまでもリバウンドの域に留まり、回復までには至らない。しかもそれも収束しつつあるというのが大まかな流れ。

今件は国内景気(内需)を推し量る物差しとして注目すべき指標の一つ。「貯金」を使いはたしつつあるように見えるここ数か月のデータを見るに及び、来月以降はとりわけ、大口電力使用量への注視を行うべきである。

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