出版社と売上高の関係をグラフ化してみる

2010/12/17 07:13

先に【出版物の売り場毎の販売額推移をグラフ化してみる】で記したように、出版物の販売額の調査データを収録した書籍【2010年版『出版物販売額の実態』を調達】し、それを元に各種データの精査を行う不定期連載記事。その最後となる今回は2009年(最新データ)における、出版社の業界全体としての売り上げやその推移を見比べてみることにする。単年の検証については以前帝国データバンクが呈した資料を元にした【出版業界の決算状況をグラフ化してみる】があるので、それと見比べるのも興味深い。

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さて最初は出版社総数と、それらの出版社全体の総売上高。なお各年の売上高は定価換算の総売上(出版物以外に印税や不動産収入、映像関係、玩具などその他諸々を含め)に、マージンを考慮し0.6895を換算値として当てはめた結果によるもの。例えば2009年は2.32兆円とあるが、ベースとなる総売上額原値は3兆3695億円(うち出版物実売金額は1兆9925億円)、それに0.6895をかけて2兆3232億4700万円となる次第。

↑ 出版社数と総売上高推移
↑ 出版社数と総売上高推移

この10年間で売り上げは3割強も減少。出版社数も漸減しているが、それ以上のペースで売上が落ちているのが分かる。後述しているように出版社は(他業界同様に)かなり企業規模・売上が少数大手に偏っているためあまり意味はないのだが、一応参考までに1社あたりの平均売上高を算出すると、売上の減り具合があらためて認識できる。

↑ 1社当たりの平均売上(億円)
↑ 1社当たりの平均売上(億円)

より意味がありそうなのは次のグラフ。売上高と企業数それぞれについて、前年比をグラフ化したものだが、企業数推移がマイナス1%前後に留まっているのに対し、売上高の推移がそれを遥かに超えたマイナス値で動いているのが見てとれる。「企業数が減っているのだから売上高も減って当然」という理由、説明は付きにくいわけだ。

↑ 売上高・企業数前年比推移
↑ 売上高・企業数前年比推移

当然といえば当然だが、売上高前年比が企業数前年比を上回っている2004年・2006-2007年は、平均売上が前年比でプラスに転じているのが分かる。「1社当たりの平均売上」だけを見ると少々誤解をしかねないが、注意が必要だ。

最後は出版社の売上順位別に見た、売上高占有比。

↑ 出版社売上順位別売上高占有比(金額は億円)
↑ 出版社売上順位別売上高占有比(金額は億円)

2009年は計測対象の出版社は3902社。そのうち売上上位5社だけで売上の2割強を占める。6位から50位までを合わせると1.2兆円ほどとなり、過半数に達してしまう。この類の統計でよく見られる「上位100社」の区分にすれば、1.49兆円・64.2%。ほぼ三分の二。つまり「上位2.6%の企業が売上の64.2%を占める」計算になる。

【出版業界の決算状況をグラフ化してみる】でも触れられている通り、売上上位の企業の方が業績が良い傾向がある。淘汰可能性を考えれば、今後もこの傾向は拡大傾向を続け、寡占化は進むだろう。出版業界全体の動向を推し量れば、規模の拡大化によって難局を押し切るのも一つの方法論であり、悪い話ではないかもしれない。



以上何回かに分けて「2010年版『出版物販売額の実態』」をもとにデータを精査し、推測などを行ってきた。特にコンビニと出版物の関係においては、新たな事実も判明し、非常に有意義なデータを得ることができたといえる。

同小冊子の発売日は2010年9月末日。2011年版が販売されるのは来年の同じ時期と考えられる。その時が来たら是非とも最新版を入手し、2010年との対比も合わせ、さらなるチェックを試みることにしよう。

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