【更新】コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる(後編:全体編)

2010/12/16 06:15

先に【出版物の売り場毎の販売額推移をグラフ化してみる】で記したように、出版物の販売額の調査データを収録した書籍【2010年版『出版物販売額の実態』を調達】し、それを元に各種データの精査を行う不定期連載記事。今回は2009年(最新データ)における、コンビニエンスストアでの出版物販売額などに関する分析・後編。今回はコンビニ業界全体としての、出版物の販売状況について精査してみることにする。コンビニそのものの動向は【25年に渡るコンビニ店舗数推移をグラフ化してみる】【コンビニ四天王の売上高などをグラフ化してみる(2010年版)】で、出版物販売全体に対するコンビニのポジションについては【出版物の売り場毎の販売額推移をグラフ化してみる】で解説しているので、そちらも合わせて目を通して欲しい。

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まずはコンビニにおける出版物売上高とコンビニ店舗数。店舗数を併記したのは、単に売上だけの推移だと「店舗数の増減も売上と関係するため、コンビニにおける出版物のポジションの変化がつかみにくい」という問題をクリアするためのもの。コンビニ店舗数が増加傾向にあるのは周知の通りだが、それに反してコンビニでの出版物の販売額は減少の一途をたどっている。これについては一部ではあるが【出版物の売り場毎の販売額推移をグラフ化してみる】の最後で解説した通り。

↑ コンビニの店舗数とコンビニにおける出版物売上高
↑ コンビニの店舗数とコンビニにおける出版物売上高

店舗数増加傾向はこの1、2年で再び加速化を見せている。一方で出版物の売上高は2003年以降は漸減、2006年以降は加速的な低下傾向を見せている。この原因について以前の記事では

・インターネットや携帯電話の本格的普及時期と重なるため、ハードルの低い時間つぶしが「コンビニでの雑誌(特にファッション誌や週刊誌、コミック廉価版など)」からネットやケータイに奪われた結果
・家計単位での雑誌販売額の減退によるもの(【新聞や雑誌の買われ方はこの10年でどのように変化したのか......週刊誌や雑誌、書籍の支出額をグラフ化してみる(追補編)】)
・コンビニで販売されている機会が多い雑誌、ビジネスやマネー誌、HowTo関連などは売上が急降下状態
・コンビニでしか買えない雑誌の類があまり無い
・コンビニで販売されるタイプの雑誌における、付加価値や情報そのものの陳腐化
・コンビニにおける利用客の消費性向の低迷(お弁当などと一緒の「ついで買い」をする余裕がなくなってきた)

などをその可能性として挙げた。その後、もう一つの可能性を見い出せたのだが、それは後ほどまとめて触れることにする。

ともあれ店舗数と総店舗の売上が出たので、これで単純計算ながらも「1店舗当たりの出版物売上高」を算出できる。

↑ コンビニの1店舗当たり出版物売上高(万円)
↑ コンビニの1店舗当たり出版物売上高(万円)

全体額同様、2003年以降は漸減、2006年あたりから減少幅を大きくしていることが改めて分かる。【コンビニ四天王の売上高などをグラフ化してみる(2010年版)】で記したように、コンビニそのものの総売上(出版物以外の全物品・サービスを合わせた売上)は漸増しているから……

↑ コンビニ業界全体に占める上位4チェーンの売上高(兆円)(ローソンアニュアルレポートより)
↑ コンビニ業界全体に占める上位4チェーンの売上高(兆円)(ローソンアニュアルレポートより)(再録)

当然、全売上に占める出版物の売上比率もグンと下がることになる。全体額が増えて、対象額が減れば、全体比率が減少するのは当然の話。

↑ コンビニの総売上に占める出版物取扱い比率(売上)
↑ コンビニの総売上に占める出版物取扱い比率(売上)

雑誌そのものの媒体力、集客力が低下している事は否めない。それにしてもこの下落ぶりは驚くべきもの。来年の調査結果でこの急落が継続するのかも含め、注視する必要があるのは言うまでも無い。

コンビニで出版物の売り上げが減少した「もう一つの原因」の可能性
コンビニで出版物が2006年あたりから急激に売上額を減らした件について、上記にいくつか「ありえる原因」を列挙した。これは以前の記事の焼き直しに過ぎないのだが、もう一つ加えるべきかもしれない原因をここに提示しておく。これはあくまでも推測であり、具体的な数字は見つからなかったのだが、大きな影響を及ぼし得るものとして、考慮に値する。

成人向け雑誌コーナーそれは以前【18禁雑誌立ち読み防止強化シールが倍増、色も目立つ青色に】で解説した、コンビニ・一般書店などで販売されている成人雑誌に対して行われた、立ち読み防止用シールの施策(も含めた、該当書籍に対する販売規制の強化)。具体的にはその前年2004年の7月から自主規制の形で封印シールが導入され(【成人向け図書の封印シール(楽天人生)】なども参照のこと)、その規制が2005年10月20日に強化。同年11月中旬以降に順次履行されている。

各コンビニの決算資料や今回の「出版物販売額の実態」では、出版物販売額の明細は公開されていないが、コンビニの経営者やアルバイトの方々が執筆されているブログやウェブサイトを見る限り、いわゆる「成人向け図書」の売上が出版物全体において大きな割合を示していたこと、そして同時にコンビニ利用者からの問題指摘もあり、ジレンマに陥っていたこと、コンビニ業界内でも自主規制や出版業界への働きかけがあったことなどが確認できる([資料の一つ、2005年5月の横浜市における有害図書の青少年への販売防止対策検討委員会のまとめ(PDF)])。

その後、体感している人も多いはずだが、コンビニそのものにおいていわゆる「成人向け図書」の取扱いそのものが目に見て分かるように、絶対数・出版物全体に占める比率共に減少傾向を見せている(もっとも雑誌販売スペースそのものが減少していることもあるが)。これがコンビニにおける出版物の売り上げを減少せしめる要因の一つとして挙げるのは、こじつけに過ぎるのだろうか。

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