本屋の場所、大きさ別・雑誌やコミックの売上全体に占める割合をグラフ化してみる

2010/12/15 06:10

先に【出版物の売り場毎の販売額推移をグラフ化してみる】で記したように、出版物の販売額の調査データを収録した書籍【2010年版『出版物販売額の実態』を調達】し、それを元に各種データの精査を行う不定期連載記事。今回は2009年(最新データ)における、「店舗・書店の規模」や「立地条件」でどのような種類の本が売れる傾向があるのか、書店全体の売上に対し、どのくらいの比率を占めているのかについて見ていくことにする。

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まず出版物の区分だが、元資料には「雑誌」「コミック」「文庫」「新書」「児童書」「学参」「辞典」「実用書」「地図旅行」「文芸」「ビジネス」「専門書」「その他」と13区分が行われている。このうち書店規模別で大きな違いが確認できる「専門書」、そして売上全体の6割強を占める「雑誌」「コミック」「文庫」の3項目、合わせて4項目を単独で抽出。残りを全部まとめて「その他」に再集計する。

まずは店舗の規模別。

↑ 店舗規模別、分類別売上高構成比(一部、2009年)
↑ 店舗規模別、分類別売上高構成比(一部、2009年)

「一部」とグラフ題名にあるのは、印刷物の区分をある程度まとめているため。個人経営の小規模書店のイメージにある通り、「雑誌」「コミック」「文庫」の3項目は書店規模が小さいほど売上全体に占める割合が大きい。店舗面積が大きくなるほど他分野の、そしてその多くは回転率が低い出版物も配せるが、小規模店舗ではそれらを置く満足なスペースを確保することが難しいわけだ。

小規模書店しかし【出版物の種類別売上の変化をグラフ化してみる】でも触れているように、それでも「コミック」「文庫」は小規模店舗の方が(十分な品ぞろえを確保できないからか機会損失も大きいようで)売上減少率は大きい。「限られたスペースの中で多くを割いて配した商品の売上が大きく落ち込んでいる」のなら、小規模書店の経営が厳しくなるのも納得がいくというもの。

また、書店規模が大きくなるにつれて「専門書」の売上比率が伸びているのも注目に値する。501坪以上では実に2割近くに達している。これは「雑誌」「新書」などとは逆の性質……「賞味期限」が比較的長い、単価が高め、一度その書店で取り扱っていることが認知されれば定期購入してもらえる可能性が高い、「広く浅く」取り扱っていないと集客・販売効果は限りなく小さくなる……などがあり、これらを活かすには面積の大きさが求められるからと考えて良い。

一方立地別では、あまり大きな違いは無いように見える。

↑ 店舗立地別、分類別売上高構成比(一部、2009年)
↑ 店舗立地別、分類別売上高構成比(一部、2009年)

「ビジネス街」の店舗ではあまり「雑誌」は売れていない。一方で「コミック」の売上がそれなりに大きな領域を占めているのが意外といえば意外。「文庫」も数字的に大きいのは、仕事の合間に読む人向けということだろうか。ちなみに「ビジネス街」での「ビジネス書」の割合は6.0%。立地区分別では一応最多比率ではあるものの、それでも1割に満たない。



コミック実店舗における書店の最大のライバルは、インターネット書店。【ネット通販で買うものトップは本、次いで食品。ではその理由は……?】などで解説しているが、品揃えの良さや気軽さでは、実店舗は叶うべくもない。さらに翌日配送などが浸透し、「本屋ならその場ですぐに手に入るが、ネット通販だと『欲しい』と思ってから手に入るまで時間がかかる」という実店舗のメリットも縮小しつつある。

小さな売り場の本屋に、大面積を誇る大型書店やインターネット書店と同じサービスを求めるのには無理がある。面積以外に立地や周辺環境などさまざまな条件、置かれている状況を十分把握した上で、品揃えの最適化とサービスの提供をすることが求められよう。それは何も書店に限ったことではなく、小売全般に言えることではあるのだが。

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