喜んでスピード規制を守りたくなる標識
2010/12/13 07:17


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↑ The Speed Camera Lottery - The Fun Theory。
普通のスピードカメラはスピード違反をした車両のデータを取得し、後でお叱りをしたり、罰金を支払わせたりする。しかし今件の「The Speed Camera Lottery」は少々違う。スピード違反者のペナルティは当然行うが、それと同時にスピード規制を順守した自動車を撮影し、その中から抽選で賞金をプレゼントしてしまおうという仕組み(だから「宝くじ(Lottery)」なのである)。賞金は違反者の罰金の一部があてがわれることになる。

↑ スピードカメラが撮影した写真
これは【Facebook上のThe Fun Theoryのファンページ】などでも紹介されているが、今年の頭に「楽しさが人を変えていく」方法についてアイディアの募集が行われ、その最優秀賞に選ばれたもの。従来は「スピード違反は罰金」だけだったのに対し、このシステムが導入されると「スピード違反は罰金」に加え「スピード制限を守ったら賞金がもらえるかも?」となる。当然運転手の順法速度へのやる気は賞金付きの方が高くなる。守ってもふところの変化がゼロなのと、守ればゼロだけでなくプラスのチャンスが得られるとしたら、後者を選ぶのは当然の話。

↑ 順法速度で該当するスピードカメラを通り過ぎると、抽選で賞金がゲットできる。これはその「賞金を差し上げますよ」との通知の例

↑ 「こりゃいいネ。スピード守って賞金稼げる。完璧だヨ」運転手たちもご満悦
スウェーデン・ストックホルムで行われた今回の実験は、3日間に渡り実施され、その間の自動車らの平均スピードは22%(これまで時速51キロだったのが40キロに)も減少したそうな。
「宝くじ」の賞金は罰金から当てるため、余計な予算を用いることも無い。一見完璧そうに見えるアイディアだが、一つだけ弱点がある。皆が宝くじ目当てにスピード規制を順守し、違反者が少なくなると、スピードカメラの運営側(つまり行政側)としては「徴収額が減り、支払い額が増える」ことになり、予算が足りなくなってしまいかねない。奇妙なジレンマに悩まされるわけだ。もっとも行政側としては運転手達がスピードを守ってくれるのが一番なので、スピード違反者が減って賞金用のプール資金が減っても、それを補充するだけの意義は十分にある。単なる一企業の発想としてではなく、行政自身がサポートし、もっと大規模に、長期間に渡って試用しても良いような気さえしてくる。
話はやや余談になるが。「違反者には罰金」というわけではないものの、選挙の投票率を高めるアイディアの一つとして、「投票した人には抽選でプレゼントを」というものが良く提示される。実際には法的な問題もあるし、今回の「The Speed Camera Lottery」のように義務を果たすのではなく権利の行使なのだから、そこまでする必要はないという意見で打ち消されてしまう。しかし今回の実験を見ると、「一度社会実験として試してみてもいいのでは」と思えてならない。
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