救急車の病院収容時間などをグラフ化してみる

2010/11/27 19:30

救急車総務省消防庁は2010年11月26日、2010年版の消防白書を発表した。それによると119番通報を受けてから対象患者を病院に搬送するまでの全国平均時間は、2009年中においては36.1分であったことが明らかになった。これは昨年の35.0分より1.1分遅い計算になる。また通報を受けてから現場に到着する時間は7.9分となり、これは昨年の7.7分より0.2分遅い。軽傷での緊急出動要請の増加による救急体制のオーバーフロー的な状況や、【歯医者は一般病院の8倍近く・医療施設の数などをグラフ化してみる】でも指摘したように病院数そのものの不足などで、搬送先の病院がなかなか見つからないのが原因と推測される。

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消防白書は現在【消防庁内の収録ページ】にて閲覧が可能。まずここから、26日に発表された2010年版・データ内部は2009年中のものを含む、さかのぼれる1998年中以降における「救急自動車による現場到着時間平均と病院収納時間平均」をグラフ化する。

↑ 救急自動車による現場到着時間平均と病院収容時間平均
↑ 救急自動車による現場到着時間平均と病院収容時間平均

冒頭でも触れたように、「現場到着時間」とは通報を受けてから現場に着くまで、「病院収容時間」とは通報を受けてから現場に到着し、対象患者を収容して病院に収容するまでの時間を意味する。いずれの時間も年々増加の傾向を見せている事が分かる。

ただし「病院収容時間」には「現場到着時間」も含まれるため、いまいち違いが分かりにくい。そこで「現場到着時間」と、「現場到着後病院収容までの時間」を計算して積み上げグラフにしたのが次の図。各年の赤と青によって構成された棒全体の長さが「病院収容時間」となるわけだ。

↑ 救急自動車による現場到着時間平均と現場到着後病院収容までの時間
↑ 救急自動車による現場到着時間平均と現場到着後病院収容までの時間

現場に到着するまでの時間も、そしてその後病院に収容されるまでの時間双方とも少しずつだが伸びていることが分かる。ちなみに「現場到着後病院収容までの時間」は「現場到着時間平均」の何倍かを算出したが大きな変化はなく、「現場に到着するまで」「現場に到着してから」のどちらか一方だけに、収容されるまでの時間が伸びている要因が存在するというわけではなさそうだ。

↑ 「現場到着後病院収容までの時間」は「現場到着時間平均」の何倍か
↑ 「現場到着後病院収容までの時間」は「現場到着時間平均」の何倍

時間が伸びている原因はいくつか推測でき、そのうちの大きなものが冒頭で挙げた「軽症患者による出動が増えて救急活動がオーバーフロー気味となっている」と「高齢者の呼び出しによる出動回数の増加」。それを裏付けるデータを過去の消防白書を元にグラフ化しておこう。

まずは傷病程度別運搬人員の状況。もっとも古い1998年のデータと、直近の2009年のデータを比較したものだが、明らかに軽傷程度の搬送人員比率が増加しているのが分かる。

↑ 傷病程度別搬送人員の状況
↑ 傷病程度別搬送人員の状況

ケガにしても病気にしても本人自身ではその重度が判断しにくいこともあり、「軽傷そうに思えるのなら救急車は呼ぶな」と乱暴なことを表するつもりはないが(当方自身の経験談として、数年前に入院した際には自分の足で病院までたどり着いたが、主治医から後になって「無理をせずに救急車を呼べ」と怒られた経験がある)、数字の上ではこのようなデータが出ていることを認識しておくべきだろう。

もう一つは年齢階層別区分。消防庁でもこの問題については近年になって注目しはじめたようで、データは2008年以降のものしかない。しかしながら1年の間においても、高齢者の搬送比率が増加しているのが確認できる。

↑ 救急自動車による年齢区分別事故種別搬送
↑ 救急自動車による年齢区分別事故種別搬送

もっともこれは1年のみの経年データであるため、増加云々については今後推移を見守る必要がある。もちろん人口比と参照してみれば、高齢者りの搬送比率が人口比より遥かに多いのは明らかである。病状の悪化やケガの発生比率を考えれば当然の話ではあるのだが、【総人口は横ばい、増えるお年寄り…高齢者人口推計をグラフ化してみる】を見ると人口比率の変移(0.6ポイント)と比べても高い上昇率を示しているのが気になるところだ。

今件については経年データによる検証が必要と考えられる。次年以降も新たな白書が発表された上でデータを積み重ね、状況の変移を見ていくことにしよう。

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