全項目で前年同月比でプラスだが・前年同月比でプラス5.7%(2010年10月分大口電力動向)

2010/11/20 07:11

電気事業連合会は2010年11月19日、2010年10月分の電力需要実績の速報を発表した。それによると同年10月の電力需要(使用量)は10社販売電力量合計で714億kWhとなり、前年同月比でプラス4.8%を記録した。産業用の大口電力需要量は前年同月比でプラス5.7%を記録し、11か月連続で前年同月の実績を上回ることになった。プラスの連続には違いないが、やや下げ基調が見受けられる(【発表リリース、PDF】)。

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今調査の概要および用語解説は過去の記事まとめページ【大口電力使用量推移(電気事業連合会発表)】で解説をしている。そちらで確認のこと。

2010年10月においては大口全体で前年同月比プラス5.7%。「前年同月比」というしばりがあるが、それだけ工場の施設の稼働率が(昨年の同じ月と比べて)増えたことになる。

大口電力使用量産業別前年同月比(2010年9-10月)
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比(2010年9-10月)

今月も前月に続き、すべての項目で前年同月比でプラスを見せている。数字がプラス値であること自身は頼もしい話ではあるが、昨年のこの時期は「リーマン(ズ)・ショック」で急激な下げを見せていただけに、安心はできない。リーマンショックの反動を超えたものではないようだ。絶対値の差異を見れば容易に理解できる(2009年10月の全体値はマイナス11.2%)。また、「鉄鋼」の急速な回復は注視したいが、それ以外の項目において前月と比べて勢いが衰えているのが分かる。失速か、という雰囲気がうかがえる。

先月比のグラフでは中長期の流れをつかむことは難しい。そこで記録保全の意味も含め、2007年1月以降の全産業別の前年同月比推移グラフを掲載しておく。

大口電力使用量産業別前年同月比推移
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比推移(2007年1月以降)

2010年10月の時点で、大口電力使用量の観点においては、同年4月を天井に、3月までの状況回復傾向が失速期に転じた状況が確認できる。この半年ほどは「前年同月比」において、昨年の「マイナス20%、30%は当たり前」と比較した形での値が出るため、見た目は急速に回復していたように見えても、実はそれほど驚くべき内容ではない、繰り返しになるが「コンビニの売り上げ」などでも見受けられた「前年同月比のトリック」が発生している(去年の下げ方が大きければ、今年は下げていても「それよりマシ」に見えてしまうという現象)ことに留意しなければならない。

昨年同月のデータを見ると、2009年11-12月くらいまでは前年同月比でマイナス値が確認されており、今年の12月くらいまではその補正を考える必要がある。また今月は鉄鋼が目立つ形で大きく伸びているが、これも昨年データを見ると、鉄鋼の下げ方が他項目と比べてやや遅れていたことが確認できるため、「単に遅れて『前年同月比のトリック』が生じている」のが分かる。今年の11月-12月あたりから、昨今の動向が「真の回復」か否かがはっきりと分かるものと推測できる。

「3割減った後に3割増えても元には戻らない」のは一目瞭然。3割減少したあとに原状復帰するためには、3割では無くそれ以上(約4割2分)の回復が必要になる。ここ半年ほどの状況はあくまでもリバウンドの域に留まり、回復までには至らない。しかもそれも収束しつつあるというのが大まかな流れ。

今件は国内景気(内需)を推し量る物差しとして注目すべき指標の一つ。「貯金」を使いはたしつつあるように見えるここ数か月のデータを見るに及び、大口電力使用量はこれまで以上に注意深く見守り続けねばなるまい。

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